ペドロランド日記

スペインの国際村「ペドロランド」を中心にフランスとイギリスに発信地を移しながら、日々の出来事を綴っています。

スペインのエイプリルフール

2012-01-05 12:29:08 | スペインの摩訶不思議なローカルニュース
今日のペドロランドの天気は

このカテゴリー(スペインの摩訶不思議なローカルニュース)でのエントリーはしばらくなかったのだが、久々にとんでもないニュースを先日、地元の英字新聞で見かけた。

サントス・イノセントス省の大臣(ここで気づくべきだったのだが)の発表によると、12月28日に新しい法令が公布され、これ以降は、レストランのメニュー・デル・ディア(昼の日替わり定食)はスペイン住民だけに限られ、スペインに別荘を持つ外国人や観光客は、アラカルトしか食べられないことになる。外国人の住民は、納税者番号か、住民証明書・税申告書など、スペイン定住者であることを証明するものを提示しないとメニュー・デル・ディアを注文することはできない。(昼ごはんを食べるのに、納税証明書を持ち歩けってか?)

もともと、メニュー・デル・ディアは、スペイン人労働者が安く昼食を食べられるようにという計らいで、フランコ総統時代に始まった。が、最近はツーリストやスペインに別荘を持つ外国人までがこの安い食事制度を利用するようになり、レストランの収入が伸び悩んでいる。そこで、新しい法令により、外国人の利用を禁止することで、観光・飲食収入の増大を図ろうというわけである。

もちろん、この記事を読んで、とんでもない!こんな差別が許されるのか!(でも、スペイン人だったらやりそう)とわたしと夫は激怒し、ご近所のイギリス人の友人にまで、新聞を持っていって、一緒に怒りまくった。

でも、よーく記事を最後まで読んでみると、「急いで12月28日にこの法令を成立させる理由は?」という問いに対して、大臣は、「この日にちこそ意味があるから。その理由は、近所のスペイン人に聞いてみるように」と答えたとある。

どうやら、12月28日はスペインのエイプリルフールにあたるようだ。スペインに引っ越して11年が経とうとしているが、こんな習慣があったとは今までまったく知らなかった。(たぶん、クリスマスと正月の間に挟まって、すっかり見過ごされていたのだろう)常に新しく学ぶことはあるものだ。

スペインの法律改正

2011-04-06 15:51:32 | スペインの摩訶不思議なローカルニュース
今日のペドロランドの天気はたりたり

スペインでは今年1月2日から完全禁煙法が実施された。4年前に部分的な禁煙法が導入され、一定以上の規模のレストランやバーでは、喫煙席と禁煙席とを分離し、喫煙席にはエアコンを設置しないといけないことになったが、それ以下の小さな店では、喫煙を認めてもいいし、禁煙にしてもよい。というわけで、ほとんどの小規模レストラン・バーでは、それまでどおり喫煙可となっていた。

が、1月2日からは、すべての公的な場所で禁煙となっている。喫煙者の多いスペインでは、これによって、バーの売上に大きな打撃が与えられ、廃業に追い込まれるバーが増えることが懸念された。法に逆らって喫煙を認めるバーもあったが、裁判所による宣告を受け、閉店を余儀なくされている。この例を受けて、法に挑戦しようというバーの店主はいなくなったようだ。

ペドロランド近辺のバーでは、屋外に喫煙テントを設けたり、天井をスライド式に開け閉めできるようなテラスを設けたりして、喫煙者の客を引きとどめる対策をこらしている。ボタンを押すと、大きなプラスチックのチューブが天井から降りてきて、喫煙者を囲みこみ、煙を吸い上げるというような最新鋭の装置を導入したところもあるそうだ。

幸い、ペドロランド近辺は気候が温暖なため、外で喫煙することができることから、禁煙法の影響はそれほど厳しくないようである。バーの外の舗道にテーブルや椅子を並べて、舗道を営業に利用する場合に課す税金を90パーセント引き下げることを決定した市もあり、地方自治体でも、禁煙法の影響を緩和するための配慮を施している。

もう1つ、スペインで今年になって変わったのが、高速道路のスピード制限。これまで、(雨の降っていない場合)120キロだったのが、110キロに引き下げられた。燃料節約のためということで、省エネがその理由だそうだ。3月16日より実施された新しい制限スピードであるが、この効果についてはすでに疑問の声も上がっている。

民主主義的解決

2009-01-23 15:04:24 | スペインの摩訶不思議なローカルニュース
今日のペドロランドは

マドリードに仕事で来た義理の弟が足を伸ばして、昨夜我が家にやってきた。マドリードからは400キロほどで、飛行機だと1時間ほどである。が、予約しておいたアリカンテ行きの便がキャンセルになり、夕食+4時間後のアリカンテ便という航空会社の申し出に対して交渉した結果ムルシア行きの便に変更してもらったと言う。われわれとしては、ムルシア空港のほうがずっと我が家に近いので、かえってそのほうが都合がいい。ところが、それがまた30分の遅延。やっと離陸し、しばらくして急に下降を始めた後、どうやら行き先を変更して、アリカンテ空港に着陸することにしたというアナウンスがあったようだ。

機内にはため息や舌を鳴らす音が漏れ、ぼそぼそとした会話が乗客の間で交わされた。明らかに乗客はみな不満である。スチュワーデスがやってきて、機内後部に座っていた航空会社社員と思われる乗客と言葉を交わした後、("No!"という短くきっぱりした声が航空会社社員から聞かれたそうだ)スチュワーデスがコックピットに消え、その後やっぱり予定通りムルシア空港に到着するというアナウンスがあったということである。

一方、ムルシア空港まで迎えに行っていたわたしと夫に、空港の案内係が近づいてきた。マドリードからの便はアリカンテ行きに変更されたということだ。ムルシア空港は午後11時で閉まるからという理由。アリカンテ空港からムルシア空港まで、乗客はタクシーかバスで連れてこられるということである。やれやれ、それではさらに1時間くらい待たないといけないだろうなとため息をついていると、再び案内係がやってきて、今マドリードからの便が着陸したということだった。11時15分ほど前のことである。

乗客の反対にあった航空会社が行き先変更決定を撤回したわけである。義理の弟はたいへん民主的でよろしいと感動していたが、11時前に到着できるなら、簡単にあきらめずに最初からムルシア空港に行くよう努力しろよと突っ込みたい気分だった。でも、最初に予約していたアリカンテ便がキャンセルされ、結果的にずっと我が家に近いムルシア空港のほうに行けることになり、終わりよければすべてよしということにしておこう。

こんなことが許されるのか?

2007-03-02 16:57:05 | スペインの摩訶不思議なローカルニュース
のちこのところ、更新が滞っていてたいへん申し訳ありません。わたしの親戚や友人の方々がわたしがどこにいるのかをチェックするためにもこのブログをご覧くださっているようなので、一応近況報告をしておきます。2月9日に到着して以来、イギリスに滞在しています。が、予定がまったく狂ってしまい、いつまでイギリスに滞在するか、いつフランスに向けて出発するか、まったくわかりません。7月か8月から2ヶ月程度、10月末までの間はイギリスにいるだろうということだけは、ほぼ確かなようです。

イギリスの今年の冬は記録が始まって以来、もっとも暖かい冬だそうである。土手一面に咲いた水仙の黄色が目に鮮やかだ。暖かいのはありがたいが(わたしは寒いのが嫌い)、とにかく雨が多い。昨日に続いて今日も珍しく晴れたが、昨日の天気予報によると今日は雨のはずだった。天気予報が毎日変わるのも最近の傾向。が、今晩からまた雨降りになるらしい。雨が多いおかげで、貯水池は満水になり、昨日からホースの使用が解禁となった。これでホースを使って洗車をしたり、庭の水やりをしたりできるわけである(この時期、この天気では水遣りはまったく必要ないが)。一方ペドロランドのほうは、現在天気に恵まれているようで、インターネットの天気予報を見ると、連日晴天で最高気温は20度を越え、明日は26度にまで上がるようである。

そのスペインからおととい電話があった。近所に住むイギリス人の友人からである。この1ヶ月間郵便の配達がまったくないと言う。ペドロランドの住民全員の郵便受けが空なのだそうだ。そこで、住民管理委員会の副会長が郵便局と市役所に行ってみたところ、住所が指定したものでないため、地元の郵便局が配達を拒否しているということがわかった。

そういわれてみれば、クリスマスの直前に郵便局からの通知が来ていたのに思い当たる。現在いろいろな住所が使われているが、今後は下記の住所を使うように、これ以外の住所が封筒に書かれていた場合、今後は配達をしないぞという内容がスペイン語とちょっとおかしな英語とで書かれていた。

わたしがスペインを出発した2月3日までは正常に(つまり1週間に1度ということ)郵便は配達されていたから、郵便局が配達をやめたのはきっとその後のことに違いない。郵便局指定の住所とは現在使っている住所に通りの名前とアーバナイゼーション(住宅地)の番号を加えたものである。現在使っている住所は道路に名前がつけられる以前のもので、確か管理会社に指示されたものだったと思う。このほかにも、電話会社は最寄の交換局の名前を使った住所で請求書を(たまに)送ってくるし、市役所は全然根拠のわからない住所を使っている。つまり、差出人がそれぞれ好きな住所を使っているというのが現状であった。それでも、過去6年間、郵便局はどんな住所でも一応届けていたのである(中には届かなかった小包もあるが、それは住所のせいではなかった)。が、突然郵便局は自分の好きな住所でない限り、配達をしないと決めたわけである。

で、その配達を拒否された郵便物はどうなったのかと言うと、郵便局が焼き捨てたそうだ。住民管理委員会の副会長が郵便局に問い合わせた結果の答えである。先進国では信じられないことだが、スペインだったらさもありなんと思った。欧州裁判所に持ち込んだら、絶対に人権侵害となるだろう。

というわけで、もし2月に何かお送りださっていたら、それは焼き捨てられている可能性が大です。また、わたしのスペインの住所をお持ちのかた、お手元の住所はもう使えませんので、もし何かお送りくださるときには、郵便局公認の住所をお問いあわせくださるとありがたいです。

ムハンマド風刺漫画問題の波紋

2006-03-03 19:16:44 | スペインの摩訶不思議なローカルニュース
ときどき最近写真がなかったので、1999年に撮った古い写真なのだけど、飾りに載せてみます。これは近くの町の教会前広場。

こんなところでも、ムハンマド風刺漫画問題の影響が出ている。今年も、バレンシア市を中心として行われる火祭りの季節がやってくるが、イスラム教徒の感情を害するような人形は祭りには出さないということで、人形作家たちの間で取り決めができたそうだ。イスラム教に関連した人物像がすでに2つの人形の一部となっていたのだが、これを取り下げたということである。

また、バレンシア州各地にはムーア人とキリスト教徒の祭りの習慣があるのだが(時期はそれぞれの地区によって異なる。ペドロランドの祭りは小規模だが、7月の最終土曜日に行われる)、最近行われた2つの町の祭りでは、Mahoma(ムーア人つまりイスラム教徒の兵士だが、ムハンマドとは関係がないとのこと)と呼ばれる張りぼての人形を焼く行事がカットされたそうである。

スペインの不法入国者対策

2005-11-18 21:18:35 | スペインの摩訶不思議なローカルニュース
のちローカルニュースではなくて、イギリスのラジオで聞いたニュースなのだが、国際連合はスペイン政府にもっと人道的な方法で不法入国者に対処するよう要請しているそうである。

北アフリカに2箇所スペインの領地があるのだが、ここでは、ヨーロッパへの足がかりを求めるモロッコからの不法入国者が絶えない。ここで捕まえたモロッコ人の不法入国者を、スペインの警察はサハラ砂漠で捨てている(ニュースではdumpという言葉を使っていた)というのが問題となり、今回の国連の要請となったわけだ。

イギリスでは、人権擁護派が幅を利かせており、法を破る者すら法で手厚く保護しないといけないという現状に不満をおぼえる人たちも多い。他人の家に侵入した泥棒を家主が捕まえて怪我をさせようものなら、国の負担で(つまり納税者の金でということだが)訴訟を起こせる制度を使って、泥棒のほうが損害賠償金を要求するような世の中である。

ペドロランドのドイツ人住民のウテが数年前に泥棒に入られた。シャワーから出たところで、泥棒(女性)と鉢合わせたのだが、驚くウテを見て、泥棒は逃げていったそうだ。今度泥棒を現場で取り押さえたらどうしたらいいかと事情聴取にあたったスペイン人警察官にウテが聞いたら、ご主人(ドイツで警察官をしている)の警棒で思い切り叩きのめして、死体は夜空き地に捨てるように、そのほうがわれわれ警察官の事務手続きが簡単で済むから、と言われたそうな。

同じような話を別の地域に住むイギリス人からも聞いた。まるで西部劇のような話だが、スペインのイギリス人の間ではたいへん好評である。


定期健診お断り

2005-06-02 22:28:46 | スペインの摩訶不思議なローカルニュース
ホセ・ガルシア・トーレス氏が地元ビレーナ(バレンシア州)の保健所に定期健診を受けに行ったところ、受付で断られた。理由は、2ヶ月前に近くのエルダ市の病院ですでに死亡しているから。亡くなった男性とは名前も身分証明書番号もまったく同じとのことだが、なぜ彼が死んだことになっているのか本人には説明をしてもらえなかったとのこと(スペインで原因を釈明されることはめったにない)。病院にすら行ったことのない健康な人だということで、どこでこんな間違いが起こったのかはまったく本人には心当たりがないそうだ。

ユーモアのセンスのある人だったので、本人は笑い話として済ませたそうだが、奥さんのほうは、夫が「生き返った」ことを証明するための必要書類を集めるのに奔走しなくてはならず(そりゃ、死んだはずの本人が手続きするわけにはいかないでしょう)、迷惑この上ない事件だったそうな。

お役所仕事もここまで来ると…

2005-04-13 19:41:28 | スペインの摩訶不思議なローカルニュース
地元の新聞によると、バレンシア州のカンペリョ市役所は、136ユーロ(約2万円)の罰金を払わない限り、6歳の少年の所有物を差し押さえすると言っているそうだ。この少年は1年ほど前に、(彼が所有しているとされる)メルセデス500を違法駐車した罪に問われている。両親によると、この子供は、自動車はおろか、最近やっと自転車に乗れるようになったばかりだということだ。

この少年が自動車を運転していたのは本人ではない旨を説明する手紙を市役所宛てに送らない限りは、市役所としてはどうにも手の打ちようがないと言っている。しかも、その手紙は、少年本人の手書きで、自身の署名がないといけないそうだ。6歳の少年がメルセデス500を運転できるかどうかは常識でわかりそうなものだけど。

スペインのお役所仕事といえば、最近こんな事件もあった。地中海に沿って走る国道332号線のバイパス工事が終わった。道路工事は予定より2ヶ月も早く完工したのだが(スペイン人は、一度やる気になれば仕事は速い)、完成した道路はそのまま放置されている。観光シーズンを迎え、交通量の増える時期がやってくるというのに、道路はオープンしない。事情を調査してみると、バレンシア州政府のお偉いさんも、マドリードの中央政府の建設省役人も忙しくて、開通式のテープカットに来られる立派な肩書きの人がどうしても見つからないというのが、その理由だった。この事件が地元の英字新聞各紙で取り上げられると、さすがに国際的な恥と思ったのか、その後すぐに新しい道路はオープンした。スペインは実より名を取る国である。その代わり、フィエスタ(祭り)とか儀式をやらせたら天才的だけど。