ペドロランド日記

スペインの国際村「ペドロランド」を中心にフランスとイギリスに発信地を移しながら、日々の出来事を綴っています。

前時代に逆戻り

2007-01-29 12:55:04 | スペインの生活
ときどきクリスマス以来の暖かな晴天がついに崩れてしまった。気温は日中でも10度前後、おまけに強風が吹き荒れ、それにときどき大雨が加わったりして、この4日間これまでに見ない悪天が続いている。

今後8ヶ月にわたると思われる留守の期間を前に、ブロードバンド会社を替えることにした。現在の会社・テレフォニカ(スペインの国営電信電話会社)では、ブロードバンド料金が月42.56ユーロ(約6,700円)なのだが、12月から頻繁に勧誘の電話をかけてくるya.comだと、最初の3ヶ月は月々9.95ユーロ、その後は月々19.95ユーロ(約3,100円)とテレフォニカの半額以下である。8ヶ月間使わないのに月々高い料金を払い続けることを考えて、切り替えることにしたのだが、契約確認のための電話をya.comにしてみると、なんと実際の料金は36.95ユーロプラス付加価値税ということで、テレフォニカと比べてみるとたいして安くない。この地域ではブロードバンド回線が難しいので、プロモーション価格が適用されないのだと。だったら、なぜ再三勧誘の電話をかけてきたのか。電話番号から特別料金の適用されない地域であることは一目瞭然だっただろうに。これはまさしく詐欺である。

この会社に対する苦情は、地元の英字新聞のコンピュータ欄にたびたび載っているのだが(残念なことに、記事が一週間ずつ後手にまわっているので、警告にはならなかった)、特別料金の19.95ユーロが適用される地域というのがあるのかどうかすら、疑わしいようだ。このコラムの執筆者が試しに手当たり次第に地元の新聞に載っている電話番号をya.comのサイトで入力したところ、19.95ユーロという特別格安料金が表示されたことはなかったということである。ちなみに、イギリスにはOFTELという通信関係の会社のサービス・料金体系を監視する機関があるのだが、スペインにはそれがなく、このような不正にも消費者は泣き寝入りするしかないのだそうだ。

さっそくキャンセルをしたのだが、困ったことには、この会社、すでに回線切り替えの手続きをしてしまっており、(契約書にサインもしていないのに)、先週の金曜日からインターネットの接続を絶たれてしまった。接続切り替えはルーターの交換と同時に行われるので、インターネット接続の中断はないという電話勧誘員・アンヘルの言葉も嘘だったわけである。テレフォニカに戻りたいと言うと、それには客のほうからテレフォニカに再申請しないといけないと言う。が、この会社がすでに回線を占有してしまっており、回線を明け渡すまでに1週間から10日間かかるので、再申請しても再接続は回線明け渡し以降になるそうだ。というわけで、スペイン滞在残り1週間はダイヤルアップ接続でしのぐことを余儀なくされることになった。

1週間くらいのことなので、私用はインターネット接続をメールに限定して、ダイヤルアップ接続で乗り切ることも可能だが、仕事のほうが困る。最近は、ファイルのやり取りや仕事の進捗状況のチェックなど、すべてインターネット経由になっている。ブロードバンドの常時接続とスピードに慣れてしまうと、ダイヤルアップは忍耐力が試されることになるだろう。

というわけで、この記事もオフラインで完成させてから、インターネットにダイヤルアップ接続して、一気に投稿という形をとっている。先週まではスペインを離れるのが名残惜しかったのだが、この悪天候とブロードバンド接続剥奪のおかげで、週末の移動が待ち遠しい気持ちになりつつある。

パーフェクト・デー

2007-01-24 12:05:46 | スペインの生活
ご無沙汰していてすみません。ご心配してくださったみなさま、ありがとうございます。イギリスは先週は嵐(強風+大雨)で、今週は雪だの路面凍結だのと大荒れの天気ですが、ペドロランドはクリスマス以来暖かな晴天が続いています。が、天気予報によると、今週後半にはアリカンテ地方で最低気温は零下1度になるということで(最高気温は17度)、ついにペドロランドにも本格的な冬がやってきそうです。

日曜日はご近所のイギリス人モーの誕生日だった。前日にイギリスから彼の親戚や友達がやってきて、ペドロランドはモーの知り合いであふれかえっている。

友人経営のバーを貸しきって夜8時から始まった誕生パーティーのテーマは、ギャングとそのガールフレンド。というわけで、黒い帽子に黒いシャツ、白いネクタイに派手な色のサスペンダーといういでたちの男性たちときらきらに着飾った女性たちが集まった。1930年代の雰囲気が漂っている。思ったよりもみなさん力を入れていて、各人の衣装を見ているだけでも楽しいパーティーとなった。まるでギャング映画のシーンのようである。ベストドレッサー賞も男女それぞれ1名ずつに与えられた。

この日は、パーティーの前に午後5時キックオフで、アーセナル対マンチェスターユナイテッドの試合があった。結果は2対1でアーセナルの勝利。しかも、1対0で先制点を許した後、残り時間10分を切ってから同点に追いつき、ロスタイムに逆転という劇的な展開だった。アーセナルのファンのモーにとっては、最高の誕生日プレゼントだ。

写真は、イギリスに一時帰国していたマギーが持って帰ってきたバースデーケーキ。もちろん、特注である。イギリスではこのような手作りバースデー市場が定着している(空港警備の厳しい昨今、こんな大きなケーキを持って帰ってくるのはさぞかしたいへんだっただろう)。たいてい、中身はイギリス伝統のヘビーなフルーツケーキなのだが(日持ちするからではないかと思う)、意外にもこれはスポンジケーキであった。ただし、日本のスポンジケーキよりはずっとヘビーだ。バタークリームと薄いイチゴジャムの層を中に挟んだ形になっている。昨日(火曜日)におすそ分けしてもらったが、バースデーケーキにしては美味であった。




スペインのサンタクロース

2007-01-05 17:42:29 | 異文化・風俗・習慣
1月6日はキリスト教で公現日にあたり、この日の朝、スペインの子供たちはプレゼントをもらう。公現日はもともと東方の3賢人がキリストの誕生を祝うプレゼントを持ってベツレヘムを訪れたことを記念することから、スペインの子供たちにプレゼントを持ってくるのは、東方の3賢人ということになっている。この日は国民の祝日でもある。

地元の英字新聞に載っていた統計によると、スペインの子供の46パーセントが3賢人からプレゼントをもらい、38パーセントはサンタクロースと3賢人の両方からプレゼントをもらって、14パーセントはサンタクロースからだけプレゼントをもらうということだ。習慣の国際化を示す数字といえよう。もともと、サンタクロース(イギリスではファーザー・クリスマスという名前のほうがかつては優勢だったが、最近は変わってきた)はスペインの習慣にはなかった。が、移民が増えたり、テレビや映画を通じて、外国の風習が入ってきたためだろう。ハロウィーンといい、子供に都合のよい習慣が広まるのに時間はかからない。ちなみに、サンタクロースからプレゼントをもらう場合は、12月25日の早朝にプレゼントが届けられることになっている。2週間のうちに2度もプレゼントをあげるなんて、親の懐も痛いだろう。そのうち、12月6日のサンタクラウスの日に子供にプレゼントあげるオランダの習慣も入ってきて、1ヶ月の間に3回も子供がプレゼントをもらうなんていう日も来るかもしれない。

ペドロランド近辺の町では、1月5日の夕方に3賢人(スペインでは王と呼ぶ)のパレードがあり、沿道に並ぶ子供たちにお菓子が配られる。スペインの田舎では、この日の夜は、旅をする王たちの馬のために、子供たちは靴に藁やにんじん・大麦などをつめて、窓際に置いてから眠りにつくそうである。24日の夜にブランデーとミンスパイをサンタクロースのために用意しておくイギリスの習慣に似ている。25日の朝になるとミンスパイとブランデーが姿を消しているのは言うまでもない。3人の王がどんな経路をたどってやってくるかについてはそれぞれ地方バージョンがあるらしくて、ペドロランドから南に50キロほど下った、スペイン海軍の基地のあるカルタヘナでは、3人の王は船に乗ってやってきて、海辺に上陸するそうである。

1月6日の昼には市役所や町役場主催のお祭りがあり、子供たちが広場など一箇所に集められ、3人の王からプレゼントが配られる。

そして、家で「王のケーキ」を食べるということだ。砂糖のかかったリング型のケーキで、アンゼリカなどの砂糖かけのお菓子で飾られているということであるが、わたしが一度だけ買ったケーキはパンと言ったほうがふさわしいような代物であった。全体に砂糖はかかっておらず、いくつかの小さなパンを輪型につなげたような形のパンの表面に砂糖がけのフルーツが飾りについていた。パン屋から買ったから、パンだったのかもしれない。ケーキ屋で買うとケーキっぽいものが出てくるだろうか。正直なところ、パン屋から買った「王のケーキ」はとりわけおいしいものではなかった。ただのパンという感じ。それだけでは味がなくて、ジャムでもつけたい気分である。中には陶器でできた、飼い葉おけに横たわるイエス・キリストの赤子姿が入っていた。おもちゃや景品が入っているケーキもあるらしいが、わたしはこちらのほうが宗教的でよろしいような気がする。でも、うっかり包丁を入れたら、イエス様がまっぷたつなんてことになったら、あまりいい気持ちがしないだろう。

追記:1月6日、この日は毎週土曜日のマーケットの日に当たったので、歩いて2分ほどのマーケット通りに出かけた。重要な祭日なので、マーケットは休みかと思ったが、規模は普段の3分の2ほどだったものの、多くの出店が並んでいた。普段は3つほど出ているケーキ屋の屋台がこの日はたった1つだったが、期待通り王のケーキ(Rosco'n またはRosca de Reyes)を売っていた。やっぱりケーキ屋バージョンはパン全体に砂糖がかかっていて、パン屋バージョンよりもっと茶色くて多少おいしそうだった。化粧箱に入って金色の帯までかかっており、高そうだったので、買うのはあきらめた。たいしておいしいものではないのはないので(わたしは砂糖がけの干しフルーツが苦手)、食べずに写真だけ撮って腐らせても惜しくない値段だったら買ったかもしれない。わたしがかつて買ったパン屋バージョンでは、飾りの砂糖がけのフルーツは小片だったが、こちらはオレンジの輪切りなど大きな塊が表面に飾り付けられていて、ずっとカラフルで見栄えがした。

ペドロランドの正月

2007-01-02 14:44:32 | スペインの生活
明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。

大晦日は再びヴァルとジムのバーでのパーティーに参加した。今度もほとんど友人ばかりだったが、人数が増えて総勢30人近くに達した。

参加したのはイギリス人がほとんどで、スペインの新年と1時間遅れのイギリスの新年と2回に渡って祝う。12時になると同時に、隣の中華料理店が主催した花火が次々と上がった。

スコットランドでは昔から新年の訪れを盛大に祝うのを除くと、ヨーロッパでは正月はあまり重要な意味を持たず、イングランドでは元日でもかつては祭日ではなかったほどである。が、近年は新年を祝うのがだんだんと流行ってきており、12時の時報と共にあちこちで派手に花火が打ちあげられることが多くなった。

スペインでは12時の鐘と共に、ブドウを食べる習慣がある。伝え聞くところでは、鐘が1つずつ打たれるごとに1粒ずつブドウを食べ、鐘が鳴り終わるまでに12個食べ終えると1年間無病息災に過ごせるということらしい。が、これがなかなか至難の業なのである。特に、大粒の種ありブドウだったりすると、種を噛まずに吐き出そうとしているうちに次の鐘の音が聞こえてくるという具合である。もちろん、日本人のように皮を剥いていたりしたら、とても間に合わない。ブドウを皮ごと食べるヨーロッパ人でこそできる業である。最近は、新年を祝うためのブドウの缶詰がスーパーに出回るようになった。12粒入りの小さな缶で、ブドウは種無しである。

午前1時になると、DJのリッキーが録音されたビッグ・ベンの鐘の音を流し、みんなでイギリスの新年を祝う。みんなで手をつないで「蛍の光」を歌い、"A Happy New Year"の挨拶とともにキスが交わされる。イギリスの夫の家族に携帯で電話をするが、もちろんつながらない。

午前3時少し前にわたしたちは家に帰ったが、何人かはその後さらにバーをはしごしたらしい。スペインのバーは大晦日は閉店するところが多いようだが、この辺りで唯一朝まで開いていたアルゼンチン人経営のバーはたいへんな賑わいであったそうだ。翌朝のイギリスのテレビニュースでは、今年の元旦、飲酒の絡んだ暴力事件や急性アルコール中毒で救急車のお世話になった人の数はこれまでで最高だったということである。パブの24時間営業が認められるようになった結果であろう。

翌日の元旦は、イギリス人の友達とビーチに繰り出して、バーベキューをした。合計で20人ほど集まる。暖かな一日であった。イギリスでは初泳ぎが各地で行われるが、この日海で泳いだのはジルだけ。いくら太陽は暖かくても、さすがに海水は寒かったようだ。

というわけで、正月はこれで終わり。どこも今日2日から通常営業に戻り、わたしも今日が仕事始めである。ヨーロッパの正月はあっけない。

2007年がみなさんにとってすばらしい年になりますように。