ペドロランド日記

スペインの国際村「ペドロランド」を中心にフランスとイギリスに発信地を移しながら、日々の出来事を綴っています。

いよいよフランス

2006-07-28 15:55:55 | イギリスの生活
おとといついに車が修理から戻ってきたので、フェリーを予約することにした。今回は、イギリスのニューヘイブンというブライトンに近い南海岸の港とフランスのディエップを結ぶ航路にした。航行時間は4時間と長いが、フランスに着いてからの走行距離を200キロばかり短縮できる。運行しているのはフランスのフェリー会社なのだが、うちの夫がどこからか仕入れてきた統計によると、この航路は座礁回数がもっとも多いのだそうだ。2回も車が故障して(おまけに修理から戻ってきたらラジオが故障していることに気がついて、今日も朝から夫が修理工場に出向いている)フランス行きにけちがついた後、今度は船が車ごと沈んじゃったりして。

暑いことを除けばイギリス滞在もそれほど悪くないのだが、いざフランスに行くと心が決まってしまうと、イギリスにいるのがもどかしい気がする。フランスにいるときは、早くフランスを離れたくてたまらなかったのだが。今度はもっとフランス滞在を楽しめるような気がする。とりあえず最初の2週間くらいは。たぶん。

フランスの何が嫌いかというと、薄暗くて陰気臭くて汚い家だ。これは夫の「プライド・アンド・ジョイ」なので本人には言わないが、中にいると陰鬱な気分になる。薄暗いのは、たぶん夏の太陽と暑さを遮断するための建築上の配慮なのだろうか、鎧戸だけでは足りないかのように、窓には木枠がたっぷり入っている。窓ガラス掃除が容易なように、木枠は取り外すことができるのだが、これがないと室内に入ってくる光の量はだいぶ違う。台所の窓も申し訳程度についているくらいで、とても小さい。そして、ここにも木枠が入っている。

フランスを発つ前に、夫がお向かいのイギリス人カップルの家で近隣のゴシップを仕入れてきた。それによると、この家に住んでいたご夫婦のうち、奥さんは心臓発作で亡くなり、その後まもなくご主人が後追い自殺をしたそうである。ロマンチストの夫は、妻無しでは生きていけなかったなんて、なんと美しい純愛と感動しながら、この話をわたしにするのだったが、わたしは怖くて「この家の中で自殺したの?」とは聞けなかった。遺産相続売りだったので、売り手の両親は亡くなっていて、もしかするとそのうちの一人は最近この家で亡くなったかもしれないが、病気で亡くなったものとしか予想していなかった。自殺というのは思ってもみなかったことだ。自動車事故かなにかでよそで亡くなったことを祈る。

幸いわたしには霊感というものがない。金縛りっぽいものはときどき経験したことがあるのだが、これは起きたいけど眠くて起きられないという単なる睡魔との闘いなのか、よく区別がつかない。それはともかく、この先も幽霊を目撃することはないと思うのだが、わたしが感じるこの家の陰気臭さはもしかすると前家主の死と関係があるのか、ちょっと気になるところである。もっとも、急いで真相をつきとめたいとは思わないのだが。

バタフライブッシュのバタフライ

2006-07-28 15:08:10 | イギリスの生活
カエルさんのブログに触発されて、生物の写真を撮ってみました。でも、こちらは芸術性もテクニックもないんだけれどど。

うちのお隣の庭に咲いているバタフライ・ブッシュ(日本語ではフジウツギというそうです)には、その名のとおり、訪れるチョウが後を絶たない。毎日お客さんでにぎやか。時には2羽も3羽もとまっていたりすることがある。チョウチョのパラダイス。ラベンダーにはマルハナバチが群がっている。気温も高くて雨の少ない今年のイギリスの夏は、昆虫たちには極楽のようだ。

猛暑は続く

2006-07-25 18:09:12 | イギリスの生活
のち熱波はまだまだ居座っている。ショッピングセンターに行くという手段は金がかかるので、今度は海辺に行ってみた。が、この日は前日とは風向きが変わり、風がまったくなくて、海辺と言っても内陸部と暑さはあまり変わらない。というわけで、早々に引き上げてきた。トレーラーハウスに戻ると、午後2時半。これからが暑さのピークである。

この暑さで、道路が溶けて大型トラックが立ち往生するという事件があった。大雨には強いイギリスの道路だが、暑さには弱い。スペインの道路とまったく逆である。

今年は早くから熱波が予想されると暑さ対策が訴えられてきたが、それでもすでに暑さによる死者が出ているという。

明日が今週の熱波のピークだそうだ。今度はどうやって乗り切るか。

木曜日がイギリス出発の目標だったが、まだ車がなおってこないので、さらに延期かもしれない。もっともフランスがここより涼しいという保証はない。ボルドーは明日は39度という予想である。よろい戸が取り付けられていたり、家の作りはトレーラーハウスよりずっと涼しくできているので、少しはましかもしれないが。

猛暑の過ごしかた

2006-07-20 14:46:49 | イギリスの生活
ときどき昨日の最高気温は36.3度まで上がり、7月の気温としてはイングランドの至上最高気温となった(ウェールズでは、36.7度という記録があるらしい)。

火曜日の暑さでもう十分と、熱波のピークが予想されていた昨日は、仕事がないとわかるや早々にトレーラーハウスを脱出し、ショッピングセンターに行くことにした。ヨーロッパ最大のブルーウォーターである。ここなら全館冷房完備で気持ちよく過ごせることであろう。

先週から夏休みが始まっている学校もあるわりには、館内はそれほど混んでいなかった。内陸部よりは気温も若干低めの海辺に繰り出した人たちも多かったのかもしれない。

暑い日に商業施設に繰り出すというのは、スペインではよく行われる暑さ対策である。気温が上がるとスーパーマーケットに涼みに来るスペイン人家族の話をよく聞く(実際にペドロランド付近で見たことはないけど)。特にスーパーマーケットの生鮮食料品売り場は寒いくらいだ。このため、夏には退役軍人病(バクテリア性肺炎の一種)がよく発生する。菌がスーパーの空調の通気管を通して伝わり、その真下で涼んでいる人々が直接汚染された空気を吸い込むことになって、大量の感染者を出すことがしばしばある。熱射病は避けられても、もっと重大な病気になりかねないので、この避暑方法にはリスクも伴うといえるだろう。

イギリスでは、2年前の猛暑でお年寄りを中心に多くの人が亡くなった経験から、今年は熱波の予報が出ると、早々に対策を人々に訴えかけている。カーテンを閉めて太陽を避けましょう、外に出ないようにしましょう、電灯は消しましょう、十分に水分を取り、アルコールやコーヒーは避けましょう、などなど。昨日は、脱水症状になるのを避けるため、路上で渋滞に巻き込まれた人たちに水を配るというサービスも行われたそうである。

今日は風があるので、昨日よりは過ごしやすい。が、天気予報では熱波はまだまだ続くということだ。熱波の影響は悪いことばかりではなくて、夏物の洋服がよく売れているということだが、わたしがイギリスに住んでいた頃は、暑い日は年に合計10日程度しかなくて、夏物を着る機会があまりなかった。だから、1つのシャツやブラウスが10年くらいもったものだ。やっぱり地球温暖化は確実に進んでいると思う。

ここでまた近況報告。本当は今日イギリスからフランスに移動するはずだったが、修理から一度戻ってきた車がまたすぐに故障して(今度は別の箇所だけど)、現在再び修理中である。イギリスの熱波とも今しばらくつきあっていかないといけない。

フランス片手鍋の不思議

2006-07-14 11:43:24 | フランスの生活
今日のイギリスの天気はときどき

フランスにいる間に気づいたことで、まだ書いていなかったこと。何もないフランスの家では、一から生活必需品をそろえないといけなかった。調理器具もその1つ(なにしろ、夜開いているレストランが少ないので、外食には頼れない)。

イギリスでトレーラーハウスを購入したときには、デパートに行ってテフロン加工のしてある鍋一式というのを買った。4つの大きさの異なる片手鍋が1つの箱に入っているもので、一個ずつ買うよりも安い。同様のものをフランスで探していたのだが、困るのが蓋が付いていないということである。個別に売られている片手鍋も見てみたが、蓋付きのものはない。煮込み料理用の両手鍋にはもちろん蓋が付いているのだが、片手鍋となると、蓋付きのものは皆無なのだ。6つのスーパーマーケットを回ってみたが(そのうち2つは同じチェーンの異なった店舗)、蓋の付いた片手鍋は見つからなかった。イギリスで購入したセットは、ミルク沸かし用の一番小さな鍋以外、すべてそれぞれに蓋が付いていた。しかも、フランス・ティファール社製である。

もっとも、蓋が手に入らないわけではない。万能蓋というのがあって、大きめのまっ平なアルミの蓋に、直径16センチ・18センチ・20センチなど異なった組み合わせの3つのサイズの輪が溝になって刻まれている。これを鍋にかぶせると、適したサイズの溝の中に鍋のふちが納まり、蓋がされるというわけ。サイズの異なる鍋で1つの蓋を共用するというのが、もともとの発想のようであるが、1食の調理に1つの鍋しか使わないということはありえないのではないだろうか。

で、結局新しく鍋を買い足したときには、やっぱり蓋ももう1つ必要になるのだった。が、その店にはこの鍋のサイズに合う万能蓋がなかった。1つの蓋が3つのサイズをカバーしていることが多いのだが、この店にはちょうどこの鍋の大きさをカバーする万能蓋がなかったのである。なんと腹立たしいことか。とりあえず鍋は買っておいたが、現在のところ、2つ鍋があっても蓋は1つだけでなので、2つ同時に使うことができないわけである。蓋探しの旅は続く。

とても不思議なのは、家でかなり調理をしていると思われるフランス人が、こんな粗末な万能蓋に甘んじていることである。鍋のサイズに合ったお揃いのデザインの蓋を作ることくらい、メーカーのコストとしてはたかが知れているだろう。消費者だって、蓋の分節約できてうれしいと思う人は少ないような気がする。なぜフランスの片手鍋には蓋が付いてこないのか?謎は深い。

熱波ふたたび

2006-07-12 16:21:26 | イギリスの生活
わたしが今どこにいて何をしているのかを知るために、このブログをチェックしてくださる友人・親戚のみなさんが多いので、今日は近況報告を。

フランスからイギリスに来て2週間になろうとしている。今回のイギリス帰国の目的は、(1)3月に夫が弟から購入した車をフランスに持っていく、(2)フランスでは手に入らないもの、入りにくいものをイギリスで買って持っていくということである。

が、肝心のその車が動かないので、現在のところ、買い物にも行けないし、会いたい人にも会いに行けない、ましてやフランスにも戻れないというわけである。が、やっと修理の見込みが立ち始めてきたので、今週中に車が修理から戻ってくれば、来週の木曜日にはフランスに向けて出発する予定だ。その後はたぶん8月中旬までフランスに滞在して、またイギリスに戻ってくるつもりである。

イギリスに来た当初はちょうど熱波が到来していて、熱の伝導性がよいトレーラーハウスの中は午後になるとまるでオーブンのようだった。しかも、この時期イギリスは午後9時過ぎまで日が沈まないので、たっぷり午後8時過ぎまでこの暑さは続く。幸い、日が暮れるとすぐに涼しくなり、夜は過ごしやすい。先週後半から涼しくなりしばらく過ごしやすい日が続いたが、昨日からまた気温が上がり始めた。週末に向けてさらに気温は上がるという予報である。イギリス人には太陽崇拝者が圧倒的に多いので(水不足にもかかわらず)、この予報を歓迎する人が多いようだが、わたしには週末が思いやられる。

イギリスの風景

2006-07-10 12:45:38 | イギリスの生活
向こうの丘の紫が日を重ねるにつけ、濃くなってきた。作付け面積を増やしたのか、今年はさらに紫が広がったような気がする。金曜日にロンドンまで出かけたが、電車から見えるラベンダー畑が目を引いた。去年は見られなかった風景だ。イギリス南東部は昨年から水不足が続いている。降雨量も南フランス並みになってきて、ますますラベンダー栽培に適してきたということかもしれない。

トレーラーハウスのあるケント県のヨールディングというところはなぜか雨に縁がない。先日も雷雨の予報がロンドンからケント県一帯に出ており、東ロンドンでは集中豪雨のため、洪水の被害まで出たというのに、我が家ではお湿りにもならなかった。毎日雨乞いをしているのに降らない。今日もどうせ降らないだろうと金曜日は外に洗濯を干したら、雨が降ってあわてて家の中に取り込むことになった。なにもこういう日に限って、降ることはないだろうに。

イギリス南東部では今年は早くも春先からホースの使用が禁止されている。ホースを使った庭の水まきも禁止なら、ホースを使っての洗車も許されない。ただし、ライセンスを取れば(つまり余計に金を払えば)、使用を許可されるそうだ。普通の家庭ではそこまではしないだろう。今年は暑くても、子供たちにビニールのプールを使わせることもできないと友人が嘆いていた。バケツでプールに水を汲むというのなら、ルール違反にはならないだろうが、なかなかの重労働になりそうだ。夜にこっそり、ホースを使って庭の水撒きをする不届き者もいるらしいが、一軒だけ緑も鮮やかな芝生だったりすると、近所の人が水道会社に密告することもあるらしいから、悪いことはできない。

イギリスに来るとほっとする。まっ平らな大地がどこまでも続くという、典型的なフランスの風景は広大すぎて落ち着かない。イギリスの田園風景は、畑や牧草地が一区画ずつ木や生け垣で囲まれていて、小ぢんまりとしている。そして、近くに迫る丘によって視界が閉じられる。島国根性と言われようが、こうした狭く閉鎖された風景のほうがこぢんまりとまとまっていて好きだ。とりわけ、山が近くに見えるところで育ったこともあり、山や丘のある風景は、家に帰ったような気分になって落ち着く。