貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

幻住庵の由緒

2022-02-02 16:15:53 | 日記
令和4年2月2日(水)
①の現代訳
 石山寺のある石山の奥、
岩間寺の後ろに国分山という山がある。
 その昔、ここにあった国分寺の名を
伝えているのだろう。
 ふもとにある小川を渡って、
緑の山に登ること三曲がり二百歩で、
八幡宮が建っている。
 ご神体は阿弥陀の尊像、
阿弥陀如来だとか。
 唯一神道の社職の家では、
神仏混淆をたいそう嫌うと聞いていること
ではあるが、
ここは神仏一帯の両部神道のこととて、
仏菩薩が本来の威光を和らげ、
衆生の利益倍増で有り難いことだ。
 常日頃は参詣する人もないので、
神々しく物静かなその傍らに、
人の住み捨てた草庵がある。
 蓬や根笹生い茂って軒を囲み、
屋根は雨漏りし、壁は落ちて、
狐や狸の格好の寝床になっている。
 名を「幻住庵」という。
 住んでいたお坊さんは、
膳所藩の菅沼氏で、
俳号を曲水という潟の叔父であったが、
今は無くなって八年くらいになり、
文字通りはかない幻の世に住んだという
「幻住老人」の名だけを残している。