貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

不如帰は冥途の鳥?

2021-06-03 14:26:44 | 日記

不如帰は冥途の鳥?

令和3年6月4日(金)

 今朝から小雨が降り注ぐ。

時折突風がきしんだ音を響かせる。

 さあ、芭蕉に、死の影がはっきり

出ている句だ。

  杜鵑 

  鳴く音や古き 

      硯ばこ

  前書きは、

「不卜(ふぼく)一周忌琴(きん)風(ぷう)興行」

   故人愛用の古い硯箱を前に、

杜鵑の鳴く音を聞くにつけ、

懐かしさでいっぱいになる、

の意。

 元禄五年(1692)の作。

 冥途の鳥ともいわれ、和歌ではその音が、

昔を偲ばせると詠まれる。

 時鳥のイメージを活用したもの。

 「杜鵑」の固い表記が、追悼興行の場に

相応しく、「古き」が上下に掛かる語法も

技巧臭を感じさせない。

◎ 古くから友人が遺品として、

残した硯箱を懐かしんで眺めている。

 すると、亡き友の姿を思い出させる

ように、ほととぎすが血を吐く声で

鳴きながら去って行ったか。

 そのため、一層故人のことが思い出され、

古い硯箱を見つめて故人の摺った

墨のあとを眺めている。


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