貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

亡き母を偲ぶ・・・遺髪!

2021-10-07 11:05:02 | 日記
令和3年10月7日(木)
てにとらば消ん 
  なみだぞあつき 
       秋の霜
 母の遺髪を手に取ったら、熱い私の涙で、
秋の霜のように消えてしまうだろう、
の意。
 貞享元年(1694)の作。
「霜」・・・母の遺髪をたとえ、儚さを強調
する。
 紀行本文ではに、
「長月の初、古郷に帰りて・・・。」とあり、
兄から
「母の白髪おがめよ、浦島が子の玉手箱 
汝がまゆもやゝ老たり」
と遺髪を手渡されたとして掲載。
 八音からなる上句の字余りが
感情の高ぶりをよく表して効果的。
 この度は母の墓参を現実的な目的の
一つとするものであった。
 「北堂」というのは、古代中国では、
母は北ノ堂に住んでいたから、こう
呼んでみたのである。
 浦島というのは、兄から見れば、
故郷を遠ざかり、江戸に住む芭蕉を浦島
のように長く不在の人と見ていたからだ。
 兄弟ともに、年を取り、白髪が生え
だしたのだから、
我らの母も、すっかり白髪になっていた
のだと思う。
 そこで、母の残した遺髪が白く細い
ので、今にも消えてしまいそうで、
亡き母を偲んで、泣きながら墓参をした
という。