貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

菊の露を汲んで七百歳!

2019-02-05 08:50:28 | 日記

菊の露を汲んで七百歳!

平成31年2月5日(火)

 立春の暖かさ、春一番も的確に

吹く。

 暦実の妙味!

 今朝は、山中温泉菊乃湯へ。

 山中温泉の中心部にある共同浴場が

「菊の湯」。

 天平風の力強い外観の男湯、

「山中座」に併設しており、

優雅な曲線からなる屋根が

美しい女湯と、男女別棟で建っ

ている。

 芭蕉が、

「山中や 菊はたをらぬ 湯の匂」

と称賛したという湯だ。

  地元の高齢者の方々が、朝の湯を

楽しみにしておられる姿も垣間見

られた。

 さて、芭蕉。

「北海の磯づたひして、加州やまなかの

涌湯に浴ス。里人の曰、このところは

扶桑三の名湯の其一なりと、まことに

浴する事しばしばなれば、皮肉うるほひ、

筋骨に通りて心神ゆるく、偏に顔色を

とどむるこゝちす。彼桃源も舟をうしなひ、

慈童が菊の枝折もしらず。」

と、この湯を絶賛している。

 慈童とは、周の穆(ぼく)王に仕えた

慈童が、酈(れき)県の麓の山道で、菊の

露を汲んで、七百歳の寿を保った人。

 その慈童の長寿の菊を手折るまでもない

ことだと、この山中の徳を讃えての、

宿の主人桃妖への挨拶だったそう。

 真底魅了されたようだ。