鎌倉市東南部、安国論寺から南に下って行くとますます鄙びた景色にな
ります。今の季節、金糸梅や紫陽花がきれいです。
横須賀線の線路を渡ると、「名越の切通し」という立て札が出てきます。
切通しは山や丘を切り開いて道を作った所で、どこにでもありますが、
鎌倉の7つの切通しは有名です。朝比奈の切通し、化粧坂の切通し、
釈迦堂の切通しなど。ここ名越の切通しは逗子へ抜ける道です。
ひどく険しいので「難越」と呼ばれそれが「名越」になったとか。重機も
ない時代、よくこんな岩山を切り開けたものです。
敵が攻め入りづらいように、大きな岩を道の真ん中に置いたとか。世界史で
習ったテルモピレーの戦いを思い出しました。その昔、ギリシャ中部のテル
モピレーの峠の隘路で、スパルタ王レオニダスが大群のペルシャ軍と雄々し
く戦い討ち死にしたという逸話です。テルモピレーもこんな峻険な山道だっ
たのでしょう。洋の東西を問わず、人間は戦い好きな動物です。
軟弱な私は狭い切通しを登るだけでも、ヒーヒー。戦いになったら最初に討ち
死にでしょうね。そんな昔に思いを馳せながら、逗子へと下りて行きました。