ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

山下洋輔 & 福盛進也 at いんたーぷれい8

2019年08月05日 | ライブ

【Live Information】  


 山下洋輔(piano)と福盛進也(drums)の顔合わせ!
 ぼくとしては、好奇心に火がついただけでは収まらず、あたりにも飛び火して燃え盛るようなお知らせでした。


 このライブは、大阪は西天満のジャズ・クラブ「いんたーぷれい8」の60周年記念と、ママさんの誕生祝いを兼ねたものです。
 ママは86歳になったそうですが、とてもお元気。小柄な体から発するエネルギーと遠慮のない口調は、まるで往年のミヤコ蝶々さんを見ているようでした。
 「86になったらもうオトコにもモテんしなw」だってwww


     


 「いんたーぷれい8」は山下さんとも福盛くんとも縁の深いお店で、ママさんと山下さんとのお付き合いはそのうち50年になるんだそうです。
 山下さんの著書の中にも「いんたーぷれい8」の名前はちょいちょいでてきますね。
 最初に山下さんがここで演奏した50年前。
 ギッシリ満員だった客席が、山下さんのフリーな演奏が終わる頃にはたったの5人になっていたそうです。それでもママさんは山下さんの独特の音楽を大好きになり、応援し、それを貫き通してきました。山下さんのカーネギー・ホールでのライブにも駆けつけ、客席からハンカチを振りながら大声援を送っていたそうです。 
 福盛くんは、アメリカの大学を終えていったん日本へ帰り、ドイツへ行く準備をしている時から「いんたーぷれい8」にはなにかと応援してもらっているそうです。日本へ帰ってきた頃はミュージシャンの知り合いが誰もおらず、演奏しようにも共演者すらいなかった時に、温かく迎え入れてくれたんだそうです。


 この夜の「8」は、まさに立錐の余地もなく、自分が吸ってもいいぶんの酸素が残っているかどうかが心配なくらい。
 ぼくは山下さんを生で聴くのは初めてなうえに、ドラムはECMからリーダーアルバムをリリースしていっそう将来が楽しみな福盛くん。これが果たしておめおめ聴き逃せられましょうか


     

  福盛くんの顔を見るのは昨年の4月以来。
 実はこの日の昼、大阪駅でなんと偶然にも福盛くんとばったり(゚Д゚) (あまりの人混みだったので声をかけたけれど届かなかった)。
 あら~と思っていたら、お店に入る前にまたしてもばったりwww
 (ちなみに、ライブ前の腹ごしらえに入ったカレー屋さんで、15年ほど前に大阪でよく出演させていただいていたamホールの代表のKさんとこれまたばったり。あまりの偶然にビックリでした)


 ライブは、まずは山下さんのソロ・ピアノでオリジナルを2曲、そして「You Don't Know What Love Is」。
 4曲目に山下さんから呼び出され、福盛くんがドラム・セットへ。そして福盛くんのアルバムのタイトルチューン「for 2 akis」でデュオの幕が切って落とされました。
 そのあとは山下さんのオリジナル「ハチ」。タイトルはもちろんお店にちなんだものです。
 「ハチ」のあとは再び山下さんのソロでラヴェルの「ボレロ」。初演の時に聴衆のひとりが「ラヴェルが狂った」と口走ったと言われる、エキセントリックな名曲です。
 「ボレロ」が終わるや、間髪入れずに起こるアンコールの手拍子。そして山下さんからアナウンスされた曲名は、70年代山下トリオの名曲「キアズマ」!
 もう感激です。


     
     リハーサルのようす。(写真は福盛進也くんにお借りしたものです)


 日本のジャズを背負ってきた山下さんと、次世代のジャズを引っ張っていくであろう福盛くんのこの夜の共演は、大横綱の千代の富士に若き貴花田が立ち向かったあの伝説の一番を思い出させるものでした。
 もしかすると、この夜ぼくは「歴史のひとコマ」を見たのかもしれない。そんなことを思ったりしました。
 実際は、演奏中に試合とかバトルの類いの空気が出たのは一瞬たりともなく、お互いの音を聴き合い、お互いの歌にお互いの歌を重ね合わせる、まさに「共演」。素晴らしいコラボレーションでした。
 1曲終わるごとの大歓声、大喝采。
 フリージャズでこんなに胸がいっぱいになったことって初めてだ!
 ママさんも小柄な体全身で大喜びしておられました。「体調も良くなった」「帰られへん」、そうですw


 ライブのあとカウンターでハンバーグを食べていたら、隣に山下さんが座られまして。。。(*´Д`*)
 いやもう緊張して声なんてかけられなかったです。
 ハンバーグひとつ食べるのにあんなにドキドキするなんて・・・www


     






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