ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

輝く星座~レット・ザ・サンシャイン・イン

2006年01月30日 | 名曲


 
 人種差別に対する抗議、徴兵制度や戦争、現代に生きる若者の価値観や感情を大胆に盛り込んだロック・ミュージカルが1960年代後半に大ヒットしました。そのタイトルは『ヘアー』。ヒッピーなどの若者の長髪がそのタイトルの由来です。この作品は、従来のブロードウェイ・ミュージカルの枠を破った異色作・意欲作と言えるものです。
 1967年10月からオフ・ブロードウェイで上演されて評判となり、1968年4月29日からはブロードウェイで1742回に渡って上演されました。さらに、日本を初めとして、世界各国でも上演されるなど、大ヒットを記録しました。
 このミュージカルの中で歌われていたのが、「輝く星座(アクエリアス)」です。


 「輝く星座(アクエリアス)」は、劇中ではロナルド・ダイソンによって歌われていました。この曲を、同じく『ヘアー』の挿入歌である「レット・ザ・サンシャイン・イン」とメドレーにしてヒットさせたのが、「フィフス・ディメンション」という黒人R&Bヴォーカル・グループです。





 たまたま我が家に、レコード会社の企画物で、カヴァー曲専門のインストゥルメンタル・レコードがありました。いろんなロック、ポップスが収められていたレコードです。その中にこの曲が入っていて、メドレー部分のカッコよさに惹かれたものでした。
 その頃(高校時代です)、よく通っていたレコード店の顔なじみの店員さんに「アクエリアスって知ってますか?」と聞いてみると、「レコードは在庫にないけれど、よかったらぼくの家にあるレコードを貸してあげるよ」という温かい返事。そして貸して貰ったのが、「フィフス・ディメンション」のベスト・アルバムだったんです。


 その頃のぼくにとっては、黒人のコーラス・グループはちょっとした「大人のサウンド」で、正直良さがわからなかったんです。だから、せっかく借りたレコードもひと通り聴いただけですぐ返してしまいました。
 何年かして、これもレコード会社の企画モノの、LPレコード10枚組くらいの「ポップス大全集」(よく新聞紙上に広告が載っていますね)を買った時に、久しぶりにこの曲に接してみて、改めて「アクエリアス」にハマったんです。


 黒人コーラス・グループに対して、何かしら固定観念を持っていたぼくにとって、スペーシーなイントロ、ちょっとエキゾチックな歌い出しは少し意表を突かれたものでした。メロディーやホーンのアレンジもとくに「黒っぽい」わけではなく、まさに「ミュージカル」的な、洗練されたものだからです。
 しかし対照的に、後半の「レット・ザ・サンシャイン・イン」では、強力なグルーヴ感を醸し出しているベース・ライン、リズミカルなホーン・セクション、ゴスペルっぽいコーラス、ホットにフェイクしまくっているリード・ヴォーカルがダイナミックな、とってもファンキーな世界が広がっています。
 メドレーならではの、前後半の対比がまたカッコいいんですよね。





 「Aquarius(アクエリアス)」とは水瓶座のことで、星座占いでは1月21日から2月19日までに生まれた人を指しますね。水瓶座は10月中旬の夕方、南の中天に見える星座です。
 ギリシア神話によると、トロヤに全身が金色に輝くガニメーデという美少年がおり、その美しさを気に入った大神ゼウスがワシに姿を変えてガニメーデをさらい、自分に酌をさせるため天に連れ帰った、ということです。ガニメーデの持つ水瓶には神々の英知の源となる飲み物があふれんばかりに湛えられています。つまり水瓶座人は、水瓶から注がれた神々の恩恵を与えられている、というわけです。
 ちなみに水瓶座人は判断力に富み、推理力と科学的知恵にあふれ、人間の自由という価値観と、芸術を愛する心を大切にしているそうです。


 フィフス・ディメンションは、1966年から1970年半ば頃まで活動を続けました。のちメンバーのうちの二人が「マリリン・マックー&ビリー・デイヴィスJr.」として独立しています。


[歌 詞]
[大 意]
月が第七宮にあり、木星と火星が並んだ時
その時こそ平和は惑星を導く
そして愛が星座を動かし進める
これが水瓶座の時代の黎明だ

調和と理解 同情と信頼
虚偽や嘲笑はなく 理想の夢が輝く
神秘的に澄んだ神の黙示 そして心の真の解放
水瓶座、水瓶座よ

 
 
◆輝く星座~レット・ザ・サンシャイン・イン/Aquarius~Let The Sunshine In
  ■歌
    フィフス・ディメンション/5th Dimension
  ■シングル・リリース
    1969年3月8日
  ■作 詞
    ジョージ・ラグニ & ジェームス・ラド/George Ragni&James Rado
  ■作 曲
    ガルト・マクダーモット/Galt MacDermot
  ■プロデュース
    ボーンズ・ハウ/Bones Howe
  ■録音メンバー
   [フィフス・ディメンション/5th Dimension(vocals)]
     ●ビリー・デイヴィスJr./Billy Davis Jr.
     ●マリリン・マックー/Marilyn McCoo
     ●ロン・タウンソン/Ron Townson
     ●ラモンテ・マクレモア/Lamonte McLemore
     ●フローレンス・ラルー/Florence LaRue
    トミー・テデスコ/Tommy Tedesco(guitar)
    デニス・ブディミール/Dennis Budimir(guitar)
    ラリー・ネクテル/Larry Knechtel(keyboards)
    ジョー・オズボーン/Joe Osborn(bass)
    ハル・ブレイン/Hal Blaine(drums)
  ■収録アルバム
    輝く星座/The Age of Aquarius(1969年)
  ■チャート最高位
    1969年週間チャート アメリカ(ビルボード)1位(1969年4月12日~5月17日 6週連続)、イギリス13位
    1969年年間チャート アメリカ(ビルボード)2位
 

フィフス・ディメンション『輝く星座~レット・ザ・サンシャイン・イン』/Aquarius~Let The Sunshine In



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4 コメント

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ろ~ずさんこんにちは☆ (MINAGI)
2006-03-31 16:13:59
2006-02-01 10:03:28



>うお座

 川岸を散歩していた時に怪物に出会った美の女神アフロディテと息子のエロスが、魚に姿を変えて川に飛び込んで逃げました。魚座はこのアフロディテとエロスのことだそうです。

 「柔らかくて素直で、優しい心の持ち主。ロマンティストで芸術的感性が豊か。芸術作品に対して的確な批評ができ、自分でも創作活動を行う」のが魚座人の性質だそうですよ。



 そういえば1970年前後はいろんなロック・オペラやロック・ミュージカルが上演されていましたよね。ポピュラー音楽の可能性を広げた動きだと思います。

返信する
星座は (ろ~ず)
2006-03-31 16:12:39
2006-02-01 01:36:45



なるほど、星座は今まさにアクエリアスなのですねえ。

ちなみに私は次にくるうお座なのですが。。



この輝く星座、70年代前半にはよくラジオで聴きましたね。

いいですよね、この曲。

もちろん映画のものだというのは知っていたのですが、映画をみたのはビデオで今からたぶん10数年前です。

その時になって初めて映画の内容も知り、重い内容だったんだなあと思いました。



マリリン・マックー~ フィフス・ディメンションからだとは知らなかったです。
返信する
moondreamsさんこんばんは☆ (MINAGI)
2006-03-31 16:11:10
2006-02-01 00:44:59



 ロマンチックな曲、好きなのです。それはぼくがロマンチストだからなのでしょうか。やっぱりね~(笑)

 この曲(輝く星座/レット・ザ~)、たしか70年代後半か80年代初めにカセット・テープのCMに使われた時に、シングルで再発されましたね。それも買いました。B面に「ビートでジャンプ」が入っている豪華版でした。
返信する
マリリン・マックー&ビリー・デイヴィスJr (moondreams)
2006-03-31 16:10:07
2006-01-31 20:04:49



こんばんは!

『ヘアー』は映画もミュージカルも見たことがないです。でもこの曲は聞いたことがありました。



マリリン・マックー&ビリー・デイヴィスJr.の

「星空のふたり」"You Don't Have To Be a Star(To be in My Show)"1977全米№1がロマンチックですきでした。”輝く星座”から2人になったから”星空のふたり”なのかな~。





ロマンティストのMINAGIさんにはぴったりの曲?
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