ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ウッドストック (Woodstock)

2005年08月13日 | 名盤

 
 ヒッピー文化などの1960年代カウンター・カルチャーの象徴、「ウッドストック・ミュージック&アート・フェスティヴァル」は、1969年8月15日(金)から18日(月)午前までの4日間、ニューヨーク州郊外のサリバン郡ベセルにある小高い丘で開催された。もともとは、ボブ・ディランなど多くの芸術家が住んでいた同州ウッドストックで行われる計画だったという。現在このコンサートが「ウッドストック」と呼称されているのはそのためである。


       
     『Woodstock』                 『Woodstock 2』 


 今では半ば伝説と化しているこのロック・フェスティヴァルの概要を少し記しておきます。
 ☆出演者は合計32組。
 ☆観衆は約30万人とも、40万人とも言われている。
 ☆料金は、3日間通しで18ドル。ただし聴衆の半数以上は入場料を払わなかった。フェスティヴァルが始まると金網を破壊して不法に入場する者が続出し、途中から事実上の無料コンサートになったためである。
 ☆会場は、マックス・ヤスガー氏所有の、600エーカーもある広大な農場。
 ☆期間中、死者3名、出産2件。病人は5000人。
 ☆暴力事件は報告されていないという。


     
     『Woodstock』(DVD)


 当時はベトナム戦争の真っ只中であり、反戦平和運動もまた激しさを増していた。また黒人の公民権運動や女性解放の機運も高まっていた。日本では学生運動や、赤軍派の活動が激しさを極めていた頃である。
 ちなみに、アポロ11号が月面着陸に成功したのはこの年の7月であった。


 そうした空気の中、「愛と平和と音楽の3日間」と銘打たれて行われたこのフェスティヴァルには、理想郷の形成を目指していた若者たちも多く集まっており、出演者と観衆が平和への願いを音楽に託して、ひとつになった3日間でもあった。


     
     ジミ・ヘンドリックス


 このフェスティヴァル、当初の予想をはるかに超える大観衆が集まったために、食料、医薬品、トイレなどが不足して、州知事から非常事態宣言が出されたり、また二日目の夜には激しい雨が降り続くなど、環境は劣悪だった。
 しかしトラブルによる警察の介入などはついに一件も起こらず、参加した人々は互いに助け合ってフェスティヴァルを無事に終了させたのだった。(ただしバック・ステージでは様々なトラブルがあったようだ)


 ぼくは中学生の頃、音楽的にとても早熟だった友人の家で「ウッドストック」のレコードに出会った。3枚組だった。その頃のぼくはサンタナとフーをほんの少し知っているくらいで、出演者の大半を知らなかった。ベトナム戦争の本質や、当時のムーヴメントの政治的な側面など、何をかいわんや、である。


 音楽的にも、技術的にも成熟していなかった頃の演奏で、非常にプリミティヴな部分もあったが、たしかに演奏は熱く、それは映像を見ても一種の感動を覚えるくらいだ。現在ではCDが2種類(ウッドストック パート1&2)と、DVDで、このフェスティヴァルの一部を堪能できる。


 まず素晴らしい、と感じたのはサンタナだった。とくにカルロス・サンタナのギター・ソロと、弱冠17歳のマイケル・シュリーヴのドラム・ソロには釘付けにさせられてしまった。(この時のサンタナはまだレコードも出していない無名の存在だったが、この時の熱演で一挙に名をあげた)


     
     サンタナ


 ザ・フーの演奏も印象に残っている。ピート・タウンゼントの、よくドライブするギターと暴力的なパフォーマンス、カリスマ的雰囲気を漂わせたロジャー・ダルトリーの熱唱には圧倒されたものだ。


     
     ザ・フー


 クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングの演奏する「木の舟」もよく聴いた。
 テン・イヤーズ・アフターを率いるアルヴィン・リーの早弾きも忘れ難い。彼の演奏を見て、「ギターを買う時はギブソンのセミアコ!」と決心したものだ。


     
     アルヴィン・リー(テン・イヤーズ・アフター)


 年を重ねるにつれ、無謀ではあったが理想に燃えていた熱い頃を思い返すと、えも言われぬ懐かしさがこみあげてくる。
 このCDやDVDからも似たような何かが感じ取れるのである。


     
     ジェファーソン・エアプレイン



【出演者】

<8月15日(金)>
リッチー・ヘヴンス/Richie Havens
スウィートウォーター/Sweetwater
バート・ソマー/Bert Sommer
ラヴィ・シャンカール/Ravi Shankar
メラニー/Melanie
アーロ・ガスリー/Arlo Guthrie 
ジョーン・バエズ/Joan Baez

<8月16日(土)>
ザ・クイル/The Quill
カントリー・ジョー・マクドナルド/Country Joe McDonald 
ジョン・セバスチャン/John Sebastian
サンタナ/Santana
キーフ・ハートリー・バンド/Keef Hartley  Band
インクレディブル・ストリング・バンド/The Incredible String Band
キャンド・ヒート/Canned Heat
マウンテン/Mountain
グレイトフル・デッド/Grateful Dead 
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル/Creedence Clearwater Revival 
ジャニス・ジョプリン/Janis Joplin
スライ&ザ・ファミリー・ストーン/Sly & The Family Stone
ザ・フー/The Who
ジェファーソン・エアプレイン/Jefferson Airplane

<8月17日(日)~8月18日(月)午前>
グリース・バンド/The Grease Band
ジョー・コッカー/Joe Cocker 
カントリー・ジョー & ザ・フィッシュ/Country Joe & The Fish 
テン・イヤーズ・アフター/Ten Years After
ザ・バンド/The Band
ブラッド・スウェット & ティアーズ/Blood Sweat & Tears 
ジョニー・ウィンター feat. エドガー・ウィンター/Johnny Winter feat.  Edgar Winter
クロスビー、スティルス & ナッシュ/Crosby,Stills,Nash & Young 
ポール・バターフィールド・ブルース・バンド/Paul Butterfield Blues Band 
シャ・ナ・ナ/Sha-Na-Na
ジミ・ヘンドリックス/Jimi Hendrix




     
         おまけ




コメント (2)
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