美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

三島由紀夫『文章読本』と映画『少年時代』の感想 (再掲載・美津島明)

2015年12月08日 21時44分35秒 | 日記
日記がわりですみません
今日は、文学の読書会と映画鑑賞会という趣味的に充実した催しを楽しむ一日を過ごしました。文学の読書会は、もうかれこれ四年になるでしょうか。気心の知れた仲間と地味に続けています。普...




当文章中で、「三島由紀夫が、〈自分が読んだ中で最も神に近い美人をあげろと言われれば、それはリラダンの「ヴェラ」である〉といっている一節が妙に記憶に残ってしまったので、ぜひ読んでみたい」という意味のことを言いました。その後、岩波文庫の『フランス短編傑作選』(山田稔編訳)に収録されているのを見つけたので、さっそく買ってきて、読んでみました。短編ながらも読みごたえのある小説でした。じっくりと読み進めると、最愛の美しい妻を亡くしたダトール伯爵の哀しみが、読み手の心を少しづつ浸してゆき、おぼろげながらも、その女性のイメージが浮かんでくる仕掛けになっています。いまでも、この小説の余韻に身を任せようとすると、切ない気持ちが、地下水のように音もなく自ずと湧いてきます。巻末の作者紹介を引いておきましょう。

オーギュスト・ヴェリエ・ド・リラダン(一八三八~八九):名門貴族出身の伯爵。ブルターニュ地方に生まれ、後にパリに移住。詩才をボードレールに認められ、彼を通じポオやワグナーを知りつよい影響をうけた。またヘーゲル哲学にも傾倒した。没落貴族として、ときには浮浪者にまで身を落とすほどの極貧を経験したといわれるが、精神の高貴さを失うことなく、十九世紀後半のブルジョア的功利主義、物質主義、科学主義を呪いつづけ、反俗的な夢想、超自然的世界の賛美のうちに孤高を守った。最期は施療院で友人マラルメに見とられて窮死。生前はボードレール、マラルメ、ユイスマンらごく一部の人にしか認められなかったが、死後、象徴主義の先駆者として高く評価された。「ヴェラ」は一八七四年に「神秘的な物語」という副題つきで雑誌に発表され、後、彼の代表作の短編集『残酷物語』(一八八三)におさめられた。(後略)

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