NHK放映「トマ・ピケティ講義」第2回・「所得不平等の構図~なぜ格差は拡大するのか~」(美津島明)NHK放映「トマ・ピケティ講義」第2回・「所得不平等の構図~なぜ格差は拡大するのか~」(美津島明)前回、当講座第1回をアップしたところ、ある方から「ぜひ続けてくれ。勉強になる」...
今回も「付録」をつけましょう。
次に掲げるのは、新自由主義的グローバリゼーション批判の急先鋒として知られるスーザン・ジョージの「なぜ1%にも満たない富裕層が世界を支配するのか グローバリゼーションによる格差拡大を止めるには」というインタヴュー記事の一節です。女史は、「新自由主義のグローバリゼーション」と「真のグローバリゼーション」とを厳密に分け、私たちがこの30数年間経験してきたのは「新自由主義のグローバリゼーション」であり、他方、「真のグローバリゼーション」とは、「普遍的な、ユニバーサルな福祉国家に向かってさらに進むこと」であると言います。それを私なりに言いかえると、「真のグローバリズム」とは、世界の諸国家が一致協力して一般国民を幸せにする国民経済重視の流れを作り出すことである、となります。当記事の一部分を引きますので、ご興味を持たれた方は、下記のURLをクリックしてみてください。掲載日は2012年2月13日とやや古いのですが、内容的にはまったく古びていません。http://diamond.jp/articles/-/16095
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――つまり、いま我々が直面している危機を起こしたのは、多国籍企業の、新自由主義のエリートということでしょうか。
そうです。私はそれを「ダボス階級」と呼んでいますが、グローバリゼーションはそういう非常に少数の階級の人にだけ完全な自由を与え、彼らはできるだけ速く大儲けをするべく規制を緩和し、国営のものを民営化するためにその自由を利用してきたのです。
しかもこのシステムは長期的なフォーカスを持っていません。長持ちする、包括的なシステムとしては考えられていないのです。市場は万能であり、自己規制が働くというのはまったくのナンセンス。民営化すると何でもうまくいくというのは、完全に間違っています。
私が言う真のグローバリゼーションは、一種の普遍的な、ユニバーサルな福祉国家に向かってさらに進むことであり、いま起きている「新自由主義のグローバリゼーション」ではありません。グローバリゼーションの成功とは、ユニバーサルな福祉国家の実現のことです。