美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

昭和喫茶、雑感

2019年05月30日 18時40分46秒 | 文化
珈琲西武/新宿駅近くの由緒正しき純喫茶で憩いの時間を過ごす巻


ていねいな暮らし系女子が紹介する大きなコーヒーゼリー【らんぶる/新宿】#28/ Big coffee jelly ate in cafe.



タイトルの「昭和喫茶」とは、昭和の雰囲気を色濃く残した喫茶店というほどの意味合いです。それについて、ちょっと思うところがあり、雑文をしたためてみることになりました。

5月19日(日)第3回交観会BUNSO終了後、参加者のMさんと新宿の喫茶店「西武」に行ってみることにしました。そこの個室が当会の集いの場として使えるかどうかを確認するためです。「西武」には、これまで一度行ったことがあるのですが、個室があるとは知りませんでした。

「西武」に行ってみると、六つある個室がすべてふさがっていて、部屋の確認ができない状況であると、お店のスタッフから告げられました。それに加えて、個室を利用しようと待機している人たちが長蛇の列を成しています。私たちは、下見を断念せざるをえませんでした。個室以外の一般席も満杯状態のようでした。

せっかくここまで来たのだから、ということで、「西武」と同じく昭和の雰囲気濃厚の「名曲喫茶らんぶる」に行ってみることにしました。「西武」と「らんぶる」とは、目と鼻の先なのです。、

ところが、「らんぶる」もまた、驚いたことに、千客万来の状態だったのです。ちなみに「らんぶる」は、100名くらい余裕で受け入れることができるだけの座席がある地上一階・地下中1階・地下一階の大きな喫茶店です(お店の最大の魅力は、おそらく、地下中一階の存在でしょう)。私たちは、店に入ろうと列を成している五,六組の客の後尾に回り、一〇数分ほどして席に案内されました。

Mさんも私も業種は違うけれど、同じ第三次産業系の自営業者なので、「流行っているお店」に関しては、おそらく人一倍敏感な方なのではないかと思われます。で、二人してあれこれと、目の当たりにしたふたつの「昭和喫茶」の盛況ぶりについて話し合うことになりました。お客が揃いも揃って、若いこざっぱりとした服装の男女のカップルか、シングルであるという点も気になりました。

で、私たちはこう考えるに至ったのです。これは「令和現象」のひとつなのではなかろうか、と。

つまり、令和の御世になったことで、センスの良いおしゃれな若者たちにとって、「昭和」が明治・大正・昭和の「明治」のようなイメージになり、レトロとしての価値がグッと高まった。だから、「西武」や「らんぶる」などのような昭和テイストを色濃く残す存在が、とても素敵なプラス・イメージを帯びることになっているのではなかろうか、と。思えば、Mさんも当方も、今回の御代替わりを機に昭和・平成・令和の三世を生きてきた身となりました。前回の東京オリンピックだって、アップ・トゥー・デイトに体験しているのです。

「らんぶる」なんて、四〇年ほど前一介の貧乏学生だった当方からすれば、がらんとした地下に、モーツアルトなんぞを聴いている数組が物哀しく点在する、いつ潰れてもおかしくない感じの喫茶店だったのですよ。記憶のなかの「らんぶる」はそうなのです、正直なところ。世の中わからんものですね。

ちなみに、「らんぶる」は、コーヒー一杯七五〇円、とかなりの強気です。ウエイターやウエイトレスは、イケメン・「カワイ子ちゃん」の粒ぞろいでした。けっこうな応募倍率なのでしょう。

だからと言って、「これからは《昭和》の時代だ!」と早合点して、大慌てで昭和テイストを演出した店づくりやサービスを展開したからと言って、お店が流行ることなど、おそらくないでしょう。地道にまじめに「《昭和》をしてきた」物静かなお店に、上質で若々しい消費者の柔らかい洗練された視線が向けられるという社会現象が起こるだけなのでしょう。
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第3回「交観会BUNSO」を実施しました(3)

2019年05月27日 18時55分25秒 | ブログ主人より


3人目でラストの発表者は、村田一さんです。村田さんからのレポートは、宮本雅史氏と平野秀樹氏の共著『領土消失 規制なき外国人の土地買収』(角川新書)についてでした。

以下、当レポートの要点に触れましょう。

〇「はじめに」から
・本書の冒頭に日本列島の「逆さ地図」が掲げられている。



中国・韓国・ロシアから見ると、日本列島そのものが要塞の役割を果たし、それらの国々が太平洋に進出するときの大きな障害になっている。日本の地政学的な位置は、決して安穏としていられるようなものではない。

*この「逆さ地図」から、チャイナが太平洋に進出する場合、北海道と対馬と沖縄諸島が大きなポイントになることが分かります。北海道と沖縄とがチャイナにとって重要であるのは分かりやすいと思われますが、対馬は、日本海と東シナ海の交点に位置するという意味で戦略上重要なのです。

・著者の宮本氏の知人の在日中国人によれば、中国はひとつの目的を持って、25年前から沖縄を、20年前から北海道を狙ってきた。移民のためにこれからもどんどん北海道の土地を買っていく、という。

・諸外国と違い、日本には外国資本による不動産買収を規制するルールや法律がなく、これまで外国資本による国土買収を受け入れてきた。しかも、買収された農地や森林がその後どう活用されているのかの追跡調査もされていない。国家は、国民・国土・主権があってはじめて成立する。国土が外国資本に買収され続ければ、国家そのものの存在が危うくなる。

*宮本雅史氏の「第一部 止まらない国土の買収」には、時間の関係でほとんど触れられませんでした。取り上げられているのは、奄美大島・加計呂麻島、北海道、対馬の三つです。ルポライター宮本氏の「虫の目」でとらえられた、中国資本や韓国資本によるすさまじいばかりの土地買収の進行ぶりが、生々しい筆致でしかも淡々と描かれています。対馬は、わが故郷であり、この数年間で二度行った場所でもあるので、なにやら身につまされるものがありました。宮本氏の観察は、対馬に限っても的確であると言わざるをえません。北海道に関しては、著者の知り合いの中国ウォッチャーの弁――中国政府が北海道を一帯一路の拠点に位置付けていること、及び、20年前から北海道を狙っていること――がとりわけ目を引きました。

〇平野秀樹氏による「第Ⅱ部 領土保護、戦いの10年史」より
・2008年、民間シンクタンク東京財団内に、外国資本による土地取得の研究会が発足したが盛り上がらず。

・「アジア太平洋地域で、不動産投資に外資規制が皆無なのは日本だけ」(ロンドン大学LSE)
・2010年12月、外資による買収事実が国交省と林野庁によって公表されたが、国会もマスコミも対応は消極的。

*詳細は省きますが、外資による土地買収について、マスコミは、総じて楽観的で消極的であり続けてきました。さらには自治体の、土地買収を規制する条例制定の動きの高まりを牽制する動きさえありました。また、朝日新聞は、フェイクを交えた「水資源目的の買収は一件も確認されていない」との喧伝をしています(2012年12月25日)。それやこれやで昨今、朝日・毎日・読売・日経は、外資による土地買収を扱わなくなっていて、それを取り上げているのは産経のみ、という惨状です。

・外資保有の日本国土は、少なく見積もってもおおよそ総計10万ヘクタール。国公有地を除いた日本国土の0.4%に相当する。韓国の0.4%より高い。その真の所有者を追うことは、買い手がタックスヘイヴンを活用するので困難を極める。

・各国ともに国土がグローバル化(中国化)することに警戒感を強めはじめているのにもかかわらず、日本だけが相も変わらず「どんどん買ってください」とオールフリーぶりを続けている。
・その結果、アジア太平洋の14の国と地域(オーストラリア・中国・香港・インド・インドネシア・日本・マレーシア・ニュージーランド・フィリピン・シンガポール・韓国・台湾・タイ・ベトナム)の中で、不動産投資に外資規制が皆無なのは日本だけという現状に至る(『アジア太平洋不動産投資ガイド2011(ロンドン大学LSE)』)。

・ではなぜ日本は無策を続けるのか。それは以下の二つの箍(たが)が存するからである。

・第一の箍は、WTOのGATS(サービス貿易にかかる一般協定)。1986年から94年のウルグアイラウンド交渉において日本は、グローバル推進の立場から、「日本が外国人土地法に基づいて外資規制をすることは適当ではない」とし、中韓をふくめた160を超える国々・地域を相手に「外国人等による土地取引に関し、国籍を理由とした差別的規制を課すことは認められない」という約束を取り交わしている!

・第二の箍は、日本国憲法第二十九条。
 「財産権は、これを侵してはならない」。当条文は、当事者が外国人、外国法人であっても原則として財産権利が保障される、と解しうる。このことは、大日本帝国憲法第二十七條と比較するとよくわかる。「日本臣民ハ其ノ所有權ヲ侵サルルコトナシ」。

・憲法第9条の戦争放棄は有名だが、武器を持たない戦争すなわち「経済侵略」「国土侵略」に際しても憲法29条は事実上の自衛放棄を諸外国に対して約束してしまっている。

・「日本国土がチャイナ資本によって買収されたとしても、日本の領土であることには変わりないだろう」という意見は根強いものと思われる。以下に、東裕(日大法学部教授)の警鐘を掲げておく。

《国土の一部に外国人の居住区が形成され、その外国人に対して属人主義に基づき、所属国の法律が適用されるような場合、その地域ではその国の主権の作用が阻害(部分的に排除)されることになる。そのような事態が発生したとき、その地域に居住する外国人には本国法たる外国法が日本法に優先して適用されるから、その地域に居住する外国人が所属国の法に従うならば、日本国の法秩序が侵害され、日本国の主権(統治権)が侵害される。領土の一体性・完全性の侵害ともいえる状況が発生する。このような懸念は、中華人民共和国国防動員法(2010年)の制定により現実的な恐れとして存在する。同法は存外中国公民に対しても適用が予定されているからである。その場合、日本に在住する中国人は日本法よりも中国法に従うことになるからである》

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第3回「交観会BUNSO」を実施しました(2)

2019年05月24日 00時36分08秒 | ブログ主人より

MMT理論の急先鋒:ステファニー・ケルトン教授

次に、さいとうあやさんから近況報告がありました。
それは、5月17日に参加なさった、自民党衆議院議員・安藤裕氏主催の「日本の未来を考える勉強会」における三橋貴明氏の講演会「MMTポリティクス〜現代貨幣理論と日本経済」についての報告でした。
当講演会の模様については、youtubeにアップされているので、それを下に掲げます。

「日本の未来を考える勉強会」ーMMTポリティクス〜現代貨幣理論と日本経済〜ー令和元年5月17日 講師:経世論研究所 所長 三橋 貴明氏


当講演会の内容をかいつまんで申し上げると以下のようになります。



MMT(現代貨幣理論)に対する批判の多くは、「自国通貨を持つ政府は財政的な予算制約がない」と言っているのを「予算制約がない」という曲解のうえに成り立っている。三橋氏はそう述べます。MMTは、そんなことは言っていない、単に「財政的な制約がない」と言っているだけで、それとは別に「供給能力不足に起因するインフレ率という制約がある」と言っている、と。





上のふたつの図は、現代的な「銀行業」が成立した歴史的瞬間を概念的に表したものです。すなわち、ゴールドスミス(金匠)は、実際の貴金属の保有高とは「無関係」に、「金匠手形」という単なる紙っ切れ=「おカネ」を貸し出すことで、金利収入を得ることが可能になった、そのことに気付いた、という歴史的瞬間を。



中野剛志氏の『富国と強兵』で有名になった「万年筆マネー」です。銀行は、貸出をすることで、おカネを新たに生み出している、つまり「信用創造」をしている、ということです。以下の画像は、その貨幣論の正当性を印象付けるものです。



要するに、銀行は、何らかの借用証書と引き換えに、銀行預金という「おカネ」を発行している、ということです。文字通り「無から有を生んでいる」わけです。

これを言い換えれば、「預金が借金を生んでいるのではなくて、借金が預金=おカネを生んでいる」となります。以下は、その視点からの「日本の家計の預金と企業の借り入れと政府の借り入れ」との相互関係のとらえ直しです。







要するに、財務省の主張、すなわち「国民の預貯金が国債に当てられている」というのは真っ赤な嘘であって、「政府が国債を増やしているから、国民の預貯金が増えている」というとらえ方のほうが正しい、ということです。MMT貨幣論からすれば、そういうことになります。

以上を踏まえて、正統派経済学の「貨幣ベール観」=「おカネのプール存在説」に基づく諸見解が全くの嘘であると、三橋氏は主張します。



そのほか、興味深いお話はほかにもいろいろとありますが、それは本編に譲ることにして、掲げられたそのほかの画像を列挙しておきます。それを熟読するだけでも、頭のなかがリフレッシュされ、経済の本当の動きを目の当たりにすることができるのではないかと思われます。




以下のふたつの現象は、正統派経済学の貨幣観ではとうてい説明しきれないものです。「負債と金利とは関係ない」「日銀当座預金をいくら増やしてもインフレ率に影響はない」とするMMT理論によってはじめてすっきりと説明されうるものです。






上記のグラフは、下記のように、インフレ率は、金融政策ではなくて消費増税という名のマイナスの財政政策によってコントロールされるものであることも明らかにしています。



下の図から、2013年4月から約6年間続いている、いわゆる「異次元緩和」によって、日銀の国債保有率は、約46%という驚異的な数字に膨らんでいることが分かります。



MMTの、政府と日銀を一体とする「統合政府」という考え方からすれば、日銀保有の国債、すなわち1000兆円の46%は、政府発行の国債と相殺されます。財務省発大手マスコミ垂れ流しの「国の借金1000兆円」は、真っ赤な嘘、あるいは、悪質なデマ、となります。これは、MMTのみならずIMFが言っていることでもあります。







上記の画像にちなんで、三橋氏が、出席した議員さんたちに対して「あなたたちは、財源などまったく気にすることなく弱い人たちを救うことができる絶大な力を持っていることに気付いてほしい」と訴えているのが、とても印象的でした。

MMT理論の概要については、従来から三橋貴明氏や中野剛志氏の議論に親しんできた者としては、それほど新鮮さを感じないのではありますが、なにせ、「黒船MMT号」という強力な援軍を得たことは間違いないので、素直に喜びたいと思っております。

(次回につづく)
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第3回「交観会BUNSO」を実施しました(1)

2019年05月22日 18時36分11秒 | ブログ主人より

文殊菩薩

5月19日(日)、世界政経情報交換会改め、交観会BUNSOの第3回を実施いたしました。

辞書に「交観」なる言葉はございません。造語ですね。参加者それぞれの持ち場で育んだ世界観を取り交わし合う、という意味合いです。BUNSOは、英語やフランス語で、「文殊菩薩」を意味します。もちろん「三人寄れば文殊の知恵」の意味を込めました。当日の参加者の、文字通り「文殊の知恵」から誕生した会の名前です。

まずは、わたくし美津島から、藤井厳喜氏のCFR(ケンブリッジ・フォーキャスト・レポート)の最新情報と当月12日(日)に実施された藤井厳喜氏の白熱教室の模様をお伝えしました。その内容を以下に列挙します。

〇米中経済戦争は一向に収束せず、5月上旬にかえってエスカレートした。

トランプ大統領は、5月5日、2000億ドル(約22兆円)分のチャイナ成人に対する制裁関税を10%から25%に引き上げる方針を発表した。実施は5月10日からである。同13日に、米国政府は対中制裁関税の第4弾を発表した。約3000憶ドル(33兆円)分のチャイナ製品に最大25%の関税を課すという。これが実施されれば、チャイナの対米輸出品すべてに制裁関税が課されることになる。

〇上記のようなアメリカの対中強硬姿勢の原因は、最終的な妥協案を最後の瞬間にチャイナ側が拒否したためである。チャイナは明らかにアメリカに追い込まれている。

チャイナは、ライトハウザー通商代表と劉鶴副首相が5か月間もかけて作った詳細な合意案を最後の最後に拒絶した。ライトハウザーと劉鶴が一字一句おろそかにせず、訳文も逐一比較しながら精査して作成した合意文書は150ページもある詳細なものだった。ところが5月初めにチャイナ側が送り付けてきたものは100ページあまりに削除されたものだった。削除された約3分の1の中に、合意内容の詳細な実行を保証する法的枠組みが定められていた。つまり合意文書が、一般論を述べた文字の羅列に過ぎないものに変貌していたのである。それを目の当たりにしたライトハウザーとトランプは、この骨抜きの合意文書を拒否した、という経緯が事の真相である。
チャイナ側は、150ページの合意文書を 「不平等条約」と称して息巻いているが、そもそも履行プロセスまでも厳格に合意内容に書かざるをえなかったのは、チャイナ側が繰り返し約束を破ってきたからである。為替取引や資本移動の自由化に努めると言いながら実際にはそれと逆行し資本移動の規制はむしろ強化されている。特許をはじめとする知的所有権を無視して窃盗を繰り返し、国営企業に対する保護政策は維持されたままである。つまり、自国に有利な不平等条約を他国に強制してきたのはチャイナの側だったのだ。

〇米中経済戦争をめぐってのチャイナの選択肢は、①対米全面降伏か、②それを拒否して鎖国的社会主義体制に戻るかのいずれかしかない。

*私見によれば、共産党の既得権益の保持を至上命題とする中国共産党としては、②を選ばざるをえないでしょう。

〇米国は関税引き上げと同時に、ファーウェイ全面排除の強力制裁を発動した。

5月15日、トランプ大統領はアメリカ企業に対し、安全保障上の脅威がある外国企業から通信機器を調達し、また、そのサービスを利用することを禁止する大統領令に署名した。大統領令に個別の企業名はないものの、制裁の筆頭にファーウェイがくることは自明である。これは安全保障上の非常事態に対処する国際経済緊急権限法(IEEPA)に基づく措置である。同じ15日、米商務省は、ファーウェイに対する米国企業の全面的な輸出禁止を発表した。つまり、売る方と買う方の両方から、トランプ政権はファーウェイを徹底的に締め上げる方針なのである。ちなみにこれに先立つ5月9日、米連邦通信委員会(FCC)はチャイナ国有通信最大手チャイナ・モバイルの米国市場参入を完全に拒否する方針を正式決定した。現在までに明らかになったアメリカの国家意思は、ハイテクのサプライチェーンからチャイナをほぼ全面的に排除しようというものである。

*ちなみに米政府は、20日、ファーウェイへの事実上の輸出禁止について一部取引に猶予期間を設けると発表しました。それで、株価市場では米ハイテク企業の業績悪化懸念が和らぎ、アップルやインテルなどが上昇しました。中国売上げ高が大きい建機のキャタピラーや航空機・機械のユナイテッド・テクノロジーズの上げも目立った動きでした。当分、米国の株価は、米中経済戦争をめぐる当局の匙加減に一喜一憂した動きを示すことになるのでしょう。

〇激化する米中経済戦争への日本企業の対応
・アンテナ部品のヨコオは、2018年3月までに、チャイナからベトナムに生産の大半を移管した。
・ジーテクトは、従来チャイナで行っていたアメリカ向けの金型の製造を2018年4月までに国内に切り替えた。
・曙ブレーキ工業は、年間3億円のブレーキパッド(摩擦材)をチャイナからアメリカに輸出していたが、これを2019年3月までに米国内での調達に切り替えた。
・自動車ランプ大手のスタンレー電気は、チャイナからの輸入品の一部を米国内の現地調達に切り替えた。
*以下は、ほかの媒体から知りえた情報です。
・パナソニックは、カーステレオなどをチャイナの工場で生産し、アメリカに輸出してきたが、生産の一部を一時的にタイやマレーシアなどに切り替えた。
・クラリオンは、カーナビとカーオーディオの生産の一部をチャイナから日本に移した。
・東芝機械は、アメリカにある自動車部品メーカー向けに輸出していたプラスチック部品を作る機械を静岡県沼津市とタイの工場での生産に切り替えた。
・ダイキン工業は、アメリカ向けのエアコン部品のコンプレッサーの生産をチャイナからタイに切り替えることにした。
・富士通ゼネラルは、アメリカ向けのエアコン製造の一部をチャイナからタイに切り替えた。
・日本電産は、アメリカ向けの自動車用・エアコン用のモーターの生産の一部をチャイナからメキシコに切り替えた。
・富士フィルムは、アメリカ向けのデジタルカメラ用のアクセサリーなどの調達先をチャイナから切り替えることを検討している(どこの国へかは不明)。
・三菱電機は、アメリカ向けの半導体製品と産業用機械の生産の一部をチャイナから日本に切り替えた。

〇5月13日、内閣府が発表した国内景気の基調判断は6年2か月ぶりの「悪化」となった。それゆえに、消費増税延期の実現性が高まってきた。この場合、6月下旬ないし7月上旬に安倍首相は衆議院を解散し、ダブル選挙を7月に断行するであろう。自民党の圧勝が予測される。

*上記にちなんで、5月12日(日)に実施された、藤井氏厳喜氏の「白熱教室」のあいさつの言葉を掲げておきましょう。

「消費増税延期と衆参ダブル選挙 令和時代の日本の運命」
いよいよ令和の時代が始まりました。
それと同時ににわかに、消費増税延期とそれに伴う衆参ダブル選挙の可能性が高まってきました。
令和時代の日本の運命は、先ずこの増税が回避できるかどうかにかかっています。
増税が実施されれば、単に景気が悪くなるばかりではありません。
激動する世界情勢のなかで、日本は時代の潮流に取り残され、二流国家に転落してゆくでしょう。
やがては中華帝国の属国と化す道を転がり落ちてゆくことになります。

日本の再生のためには、新時代の劈頭に、政治指導者には正しい選択をしてもらわなければなりません。

一時期、増税回避はほとんど絶望的に見えましたが、筆者が警告を発してきたように、さまざまな経済統計が日本経済の不調を告げるなか、ようやく安倍首相とその周辺は、増税回避という正しい選択への決断を固めているように思われます。
増税回避は日本再生への道、増税実施は日本没落への道。
これ以上にはないほどに、明白な二者択一です。
暗愚な日本財界は、自ら繁栄を放棄して、転落への道を選択しています。財界指導者の劣化は目を覆うばかりです。
日本政財界のリーダーの過去30年の過ちの累積が、今日の日本の惨状となって表れています。この負の連鎖を断ち切り、新しい時代を開拓しなければなりません。

〇米大統領に名乗りをあげたバイデン前副大統領であるが、ウクライナ利権に続いて、ダーティなチャイナ・コネクションも暴かれている。氏の選挙は前途多難である。

バイデン前大統領の、ウクライナ政府との癒着関係については、つとに知られている。次は、チャイナ・コネクションの露呈である。氏の次男・ロバート・ハンター・バイデンが代表を務めるローズモント・セネカ・パートナーズという会社はチャイナの国営中国銀行子会社と10億米ドルを出資して、米中合弁投資ファンド「渤海華美」を新設している。ハンター氏は当ファンドの取締役会のメンバーである。彼は、上海自由貿易地域での自由な取引が許されている。これは、外国人としての特権的な地位を保持していることを意味する。これだけでもバイデンファミリーと中共との親密な関係が疑われる。彼は、新疆ウィグル自治区で住民を監視するスパイシステムにも投資している。人権弾圧で金儲けをしていることになる。

〇ロシアゲート疑惑問題でトランプ陣営の逆襲が開始された。ウィリアム・バー司法長官は、コネチカット州のジョン・ダーラム連邦検事を捜査責任者として指名し、2016年にFBIや司法省がトランプ陣営を違法に監視していたとの疑惑の捜査を開始する。ロシア疑惑を仕掛けた側に対する本格的な捜査が始まったのである。反トランプ陣営はパニック状態だ。

〇米露関係は順調に前進している。アフガニスタン・北朝鮮・ベネズエラなどの地域問題でも、米露間で妥協が模索されている。成熟した大国関係を構築しつつあるといえよう。

*藤井氏によれば、米露の分断は、チャイナと利害をともにする旧英帝国植民地派の策謀によるものです。同派は、トランプ大統領のロシアゲート疑惑をでっち上げた米国ディープステイトとも利害をともにしています。彼らをひっくるめていえば、「タックスヘイヴン派」というべきでしょう。

(次回につづく)
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第3回世界政経情報交換会

2019年05月18日 14時07分23秒 | ブログ主人より


*直前になってしまいましたが、明日の情報交換会の告知をいたします。内容にご興味をお持ちなら、どうぞご参加ください。『領土消失-規制なき外国人の土地買収』(角川新書)は、読んで来なくても大丈夫なように、レポーターの村田さんが配慮なさるはずです。

第3回世界政経情報交換会

下記の内容で、第3回世界政経情報交換会を実施します。
会の名前が堅苦しいので、当日会の名前をどうするかについても話し合いたいと思います。

*実施要項*
〇実施日時:5月19日(日)午前10時~午後1時
〇場所   高田馬場駅近くの喫茶店「Cafe Miyama」(銀座ルノアール系列)
 〒169-0075 東京都新宿区高田馬場2-17-4 菊月ビル地下1階
https://loco.yahoo.co.jp/place/g-BR4coDP31sI/map/?sc_e=sydd_spt_s_n_p_map
〇内容:
① 美津島明から 藤井厳喜『ケンブリッジ・フォーキャスト・レポート』の最新情報の報告と意見交換
5月12日(日)に藤井厳喜氏の「白熱教室」に参加するので、その模様も併せてご報告いたします。
② 村田一から 宮本 雅史・平野 秀樹 『領土消失-規制なき外国人の土地買収』(角川新書)のレポートと意見交換 

〇会費:場所代1650円×3時間分とドリンク代を参加者で均等割りします。参加者が5名に満たない場合、不足分は参加者で均等に負担します(ルノアール会議室規定)。また、メンバーが他のメンバーに配る資料のコピー代は一律一枚10円といたします。


*会終了後、ご希望の方はランチ(若干のアルコール付き?)を共にしましょう。
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