美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

牙を剥き出しにしたグローバリズム ~WHOの策謀~ (4)国際保健規則(IHR)の改定

2023年09月20日 22時05分26秒 | 世界情勢


以下は、前回・前々回と同様に9月3日配信「林千勝のこれが本当の近現代史」第114回「いま日本に差し迫る本当の危機」に基づいています。

***

前回は、パンデミック条約が、WHOによる各国政府を介さない直接世界統治の実現を目的としたものであると述べました。

ところで前々回に、パンデミック条約は2024年5月の世界保健総会において3分の2の賛成で可決されると述べました。反対の意を表明している国々が少なくないので、可決のハードルはけっこう高いと言えるでしょう。

それに対して、国際保健規則(IHR)の改定は5月の世界保健総会で過半数の賛成を得たならば可決されることになっています。現状では過半数の賛成を得ることは容易でしょう。

その意味では、こちらが「本丸」なのかもしれません。

では、国際保健規則(IHR)の中身に入ってゆきましょう。

まず、IHRとは、というお話から。

IHRとは、世界保健機関憲章第21条に基づく国際規約です。

そうして、国際交通および取引すなわち世界の経済活動に与える影響を最小限に抑えつつ疾病の国際的伝播を最大限に防止することが目的です。

また、すべてのWHO加盟国が拘束下にある国際法です。

「拘束下」という文言には注釈があって、基本的に加盟国が規則の一部または全体に対する留保または拒否を表明し、許可された場合を除き、すべての加盟国が拘束下にあるとみなされます。

現在の規則は2005年に改正されたもので2007年に発効されました。

次に、IHRの改定内容に踏み込んでゆきましょう。

たびたび申し上げたように、WHOは、「2005年国際保健規則」の改定を準備しています。

後に詳述しますが、この法的拘束力のある、改定された国際協定は、WHOに諸国家政府に対する前例のない権限を与え、国家主権を無効化するものです。

次に詳述する改正案は、WHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC・フェイク)」と判断した場合、各国各州の公衆衛生緊急事態上の権限や公衆衛生対応の管理をWHOに委ねることになってしまいます

では、作業部下において数次にわたって300カ所超の書き換えがなされた改正案の具体的な中身はどんなものなのか。列挙します。

「人間の尊厳、人権及び基本的自由を完全に尊重する」という第3条の文言が削除されている

いきなり、度肝を抜かれますね。私はこれだけで目の前が真っ暗になります。

WHOを、法的拘束力を持つ統治機関に変える。「拘束力のない」勧告からすべての加盟国を「拘束する」義務への変更をする

WHO事務局長が、任意に緊急事態を宣言できるようにする。潜在的緊急事態も対象とする。

〈ビル・ゲイツと巨大製薬会社が心ゆくまで金儲けするために、それに抵抗しようとする邪魔者を一掃してしまおう〉と私の耳には響きます。まあ、当シリーズを進めながら、その露骨な野望はずっと耳に響いています。

各国が健康対策に関して下した決定を覆す権限をWHOの緊急委員会に与え、緊急委員会の決定を最終決定とする。

国家主権の無力化の念押しをしているかのようです。

WHOに、健康診断、ワクチン接種証明、感染の疑いがある者の監視と隔離、感染者の隔離と治療、接触者の追跡、地域間の移動の制限などを各国に義務付ける権限(勧告)を与える。

行動や旅行を制限するために使用されるデジタル・ワクチン・パスポート(あるいはグローバルヘルス証明書)を導入する(2022年12月G20での宣言に基づく)。

当方には、世界の人々を強制収容所の囚人にしてしまおうとしているとしか思えません。

「検疫所」と呼ばれる「疑わしい旅行者の隔離、できれば入国地点から離れた施設での隔離を含む、極端な閉鎖措置を強要する。

WHO事務局長がワクチンなどの医療品の割り当て計画を通じて、生産手段と医療品供給を管理する。

WHO事務局長をグローバリスト勢力の番頭にしようというわけでしょう。

莫大な財政を、説明責任のない製薬・大病院・緊急事態産業の複合体に割り当てる。

いやあ、露骨このうえないですね。

緊急時に特定の薬剤の使用を義務付け、他の薬剤の使用を禁止する。

ウィルス感染症に対する高い治癒力と予防性が科学的に実証されたイベルメクチンの使用を法的に禁止し、治験中のワクチンの接種を世界中の人々に問答無用で強制する、と言っているのです。

WHOがどの国でも医療品を徴用し、他国へ移送し、知的財産権に関する法律から逃れることができるようにする。

改定IHR発効時点で、緊急事態を執行するためのインフラの構築、提供、維持を義務付ける(できるだけ早く、遅くとも5年以内)。

グローバリスト勢力が、WHOによる各国政府を介さない直接世界統治の実現を急いでいることがよく伝わってきます。

メディアやSNS等における誤情報や偽情報の拡散に対抗する。

仮に、パンデミック条約が否決されても、改定IHRさえ可決されれば、WHOをコマとして使っている勢力のねらいは実現されることが、以上からよくわかるのではないでしょうか。

あなたは、グローバリストたちが本気になって力づくでこの世界に現出させようとしている、彼らだけに都合の良いデストピアの住人になることを望みますか。いたしかたのないこととあきらめられますか。

当シリーズは、これで完結です。

次回からは、このデストピアの打開策をめぐってのお話です。
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牙を剥き出しにしたグローバリズム ~WHOの策謀~ (3)パンデミック条約の中身

2023年09月19日 22時52分35秒 | 世界情勢


以下は、前回と同様に9月3日配信「林千勝のこれが本当の近現代史」第114回「いま日本に差し迫る本当の危機」に基づいています。

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パンデミック条約の正式名称は、「パンデミックの予防、備え、および対応に関する条約」です。

同条約のねらいは、端的に言えば〈WHOによる、各国政府を介さない直接世界統治を実現すること〉となりましょう(その詳細については後で触れます)。

欧米の各国野党や欧州議会議員有志が目下反対運動を起こしています。

さらにブラジル・インド・ロシア・南アフリカ・アフリカ諸国もパンデミック条約に反対しています。

世界のそのような激しいせめぎあいと対照的なのが、「無風状態」でのんきにパンデミック条約推進の旗振り役をしている日本です。

異様です。

パンデミック条約をめぐるWHOの構えを見ておきましょう。

2023年5月14日のG6保健相会合で「パンデミック条約の制定を促すことを確認した」というコメントが出されました。

また、5月30日WHO総会で、テドロス事務局長は「加盟国の課題は、12カ月後に強力な条約に合意・可決できるよう交渉を進めることだ」と発言しました。

では、パンデミック条約の中身はどうなっているのでしょうか。

「全加盟国におけるパンデミック時の迅速なワクチン接種の体制構築を目的に、先進国から途上国への支援体制づくりを主眼としつつ、WHO事務局長がパンデミックを定義し宣言し、加盟国のロックダウンを決定・監視し、疾病の治療法を決定し、ワクチンの義務化と配布、ワクチンの知的財産権と利益の管理をする」との文言が見られます。

徹底的な全体主義的統治の実現を期しているようです。

また「第5条:ワンヘルス・アプローチ/監視システム」には「気候変動・土地利用の変更・野生生物の取引・砂漠化・薬剤耐性など、人と動物と環境の接点における疾病のパンデミックの予防と備えを統合する」という文言が見られます。

気候変動とパンデミックとどういう関係があるのかといぶかしい思いが湧いてきますね。それを抑えて、グローバリズム勢力の言い分に耳を傾けると、こういうことなのではないでしょうか。

〔人と全ての動物の健康と環境の健全性は、生態系の中で相互に密接につながり、強く影響し合う一つのもの、すなわち「ワンヘルス」である。例えば、自然林の破壊によって切り開かれた耕作地は、自然界にとどまっていたウィルスを人間世界に解き放ち人や動物の健康を損なう。だから、気候変動の原因となる二酸化炭素を大量に排出する農業を規制して、農地を減らしたり、家畜を減らしたりする指示を出す超国家的権限をWHOに与えるべきである。つまりパンデミックをコントロールするには自然破壊を、つまり農業をコントロールしなければならないのだ〕

おおむねそういうことが言いたいのではないでしょうか。

「第3・7・15条」には「男女平等を実現し、ジェンダーや多様性への配慮をしなければならない」という意味の文言が見られます。

またもや、パンデミックとジェンダーやLGBTと何の関係があるんだという考えが浮かんできます。

林千勝氏によれば、「医療施設の看護師は現状では女性が大多数だが、それを半々にすべきだ」とか、「医療スタッフの2%はLGBTにすることを義務化すべきだ」とか「医療スタッフのリーダーは現状ではほとんど男性だが、それを半々にすべきだ」とかいったことではなかろうか、と。そんなところでしょうか。

さらに「第18条」には「インフォデミック」「偽情報との闘い」「ソーシャル・リスニング」の文言が見られます。コロナウィスルの自然発生説に異を唱えたり、コロナワクチンの危険性を訴えたり、WHOの全体主義的な施策を批判する者を、インフォデミック(情報のパンデミック)の首謀者であり、偽情報の発信源であるとし、それらの反社会的分子を弾圧するために思想調査・検閲・思想統制をすべきであると主張しているのです。

正気か、と言いたくなりますね。

今回は以上です。
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牙を剥き出しにしたグローバリズム ~WHOの策謀~ (2)策謀の概略

2023年09月18日 19時29分30秒 | 世界情勢

テドロス・アダノムWHO事務局長

以下は、9月3日配信「林千勝のこれが本当の近現代史」第114回「いま日本に差し迫る本当の危機」に基づいています。

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2024年5月に開かれる世界保健総会で今後の人類の運命が決まります。その中身の概略は以下の通りです。

ひとつは、国際保健規則(IHR)の改定です。300カ所超の書き換えがなされ、しかも法的な拘束力をもったものにすることが目論まれています。

その具体的な作業は国際保健規則作業部会でなされていて、2024年1月の執行理事会で改訂内容がほぼかたまり、5月の世界保健総会で過半数の賛成を得たならば可決され、2025年6月に発効という運びになっています。

もうひとつは、いわゆるパンデミック条約です。政府間交渉会議(INB)でその中身が話し合われています。IHRと同様に2024年5月の世界保健総会において3分の2の賛成で可決され、2025年11月までに批准されることになっています。

ちなみに日本は、INBに副議長を送りだしています。パンデミック条約推進の旗振り役を買ってでていることになります。

これらの動きをとりあえず要するに、ワンヘルスのアジェンダの下、グローバリズム勢力は出先機関としてのWHOの権限の強化を推進しようとしています。「緊急事態宣言」より幅広の「パンデミック宣言」を定義とともに検討中なのです。全加盟国とその諸国民に対して強制力を有するWHOの実現を目論んでいるものと思われます(ワンヘルスについては、いずれきちんと取り上げます)。

もちろんバイデン政権や米国務省はWHOを後押ししています。

それに対して、前回少しだけ登場したテス・ローリーをリーダーとするWCH(世界保健会議)は、この危険な動きに異議申し立てをし、それを阻もうとしています。WCHは日本を含む世界45カ国以上に拠点を置く世界的な連合体です。当組織についてはいずれ詳しく触れましょう。

また、フリーダム・コーカスを中心とする米国共和党議員有志もWHOの目論見を厳しく批判しています。

それに対して日本の政界・言論界は無風状態と言っても過言ではありません。

異様なことです。

次回は、国際保健規則(IHR)の改定とパンデミック条約の中身により具体的に踏み込みます。
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牙を剥き出しにしたグローバリズム ~WHOの策謀~ (1)金の出どころ

2023年09月16日 20時15分13秒 | 世界情勢

ビル・ゲイツ

これからシリーズで、近年のWHO(世界保健機構)の動きが、今後の人類にとって脅威以外のなにものでもないという主張をいたします。それが単なる「懸念」やあるいは「陰謀論」なのか、それとも一定のリアリティを伴った「真実」なのか、その判断はみなさまに委ねます。

私としては、知りえた限りの情報とそれについての当方の考えをみなさまにお伝えするだけです。

まずは、WHOのお金の出どころについて。

組織へのお金の出どころはきわめて重要な論点です。なぜなら、ある組織に最もお金を出している者が、当該組織の実質的な権力者であるからです。少なくとも当該組織は、最大の出資者の意向を無視することはできません。

金は権力である、という当たり前の話です。これがピンとこない方は、これまでとても幸せな人生を送ってこられたのでしょう。

以下は、ダイレクト出版の機関紙『ルネサンス』2021年11月号に掲載された「緊急対談『武器』としての新型コロナワクチン 丸谷元人×福山隆」に基づいています。ちなみに、丸谷氏はテロ対策・危機管理コンサルタントで、福山氏は地下鉄サリン事件の対応の指揮を執った方です。

2018年~19年のWHOの予算を見ると、アメリカが15%、イギリスが7.8%、ドイツが5.7%、日本は2.7%を拠出しています。

ところが、それらの国家よりも多くの資金を提供している組織があります。それはビル&メリンダ・ゲイツ財団とCAVIアライアンスです。それらはどちらもビル・ゲイツが資金提供してできた団体です。

ゲイツ財団からは9.8%、GAVIアライアンスからは8.4%、合わせて18.2%です。

つまり、WHOの屋台骨を支えているのはビル・ゲイツである、となります。

WHOとビル・ゲイツといえば、次の動画は外せません。
 
https://www.nicovideo.jp/watch/sm41751167

当動画の核心を言えば、次のようになるでしょう。

当動画の主人公は、テス・ローリーという女医さんです。テス・ローリー女史は、2012年から2021年までWHOの外部コンサルタントを務めました。女史は、2020年当時、世界で毎日1万人以上の死者を出しているコロナ禍に対して医者として何かできないかと考えていました。そこで、2020年末にイベルメクチンの臨床試験結果のメタ評価を行いました。

その結果、コロナの死亡率がイベルメクチンによって62%減少し、予防効果が86%あることが客観的データとして判明しました。

そこで、WHOでコンサルタントをしていて、イベルメクチンを研究しているアンドリュー・ヒルというリバプール大学に所属する医者とコンタクトを取りました。WHOに、イベルメクチンの有効性を認めさせるためです。

Dr.アンドリューは、女史の趣旨に心から賛同の意を表しました。

ところがDr.アンドリューは、極めて重要な局面で態度を豹変させたのです。

その原因は、Dr.アンドリューが、ビル・ゲイツ財団から多額の資金を受け取ったことでした。

今回はここまでです。
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