ビル・ファン氏
証券最大手の野村ホールディングスは29日、米子会社による、顧客との取引に起因する多額の損害が生じる可能性があると発表しました。想定される損害額は、約20億ドル(約2200億円)にも上ります。そのため、野村の株価が16%も暴落しました。
その動きを受けて一部に「第二のリーマンショックの始まりか」という憶測が飛び交っています。
野村の株価は、リーマンショックの前には2500円から3000円の高値を付けていました。リーマンショック後は約10年間、600円前後の低空飛行が続きました。ところが最近、全般的な株高基調に乗ったのか、700円を超えていたのです。
しかし、今回の2200億円騒動によって、一日で600円ちょっとに下落し、元に戻ったことになります。
今回の2200億円損失騒ぎの張本人は、アルケゴス・キャピタルのヘッジ・ファンド・マネージャーをしているビル・ファン氏です。
彼はかつて取引要注意人物で、金融界のブラックリストに載っていました。ところが、いつの間にか、クレディスイスやゴールドマンサックスやモルガンスタンレーなどという名だたる投資銀行が、ファン氏に巨額の資金を貸し付けるようになっていたのです。
ヘッジファンドが株を売り買いし、投資銀行がその現金や株券を預かり、それを担保にヘッジファンドに資金を貸す、プライム・ブロー・カレージという金融手法で、ファン氏は、巨額の資金を手にすることになりました。
ヘッジファンドは、貸与された資金で大きなポジションを持つことになります。それを資金供与といい、投資銀行にとって、着実に金利収入を得られるオイシイ業務です。
ビル・ファン氏は、テンセントなどの中国株を大量に保有していたそうです。26日、野村がファン氏から預かっていた中国株が暴落し、ファン氏は強制売却を余儀なくされることになりました。それを、金融用語でマージン・コールというそうです。
強制売却の仕方をブロック取引といい、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーが目下、マーケット外で買い手を探しているのですが、まだ見つかっていないそうです。そのままの状態が続けば、最悪、アルケゴス・キャピタルは倒産します。そうなると、投資銀行からすれば、巨額の貸与金が返ってこないという最悪の事態に直面します。
野村証券HDは、時価総額2兆円の巨大企業です。その株価が16%下落したのですから巨額の損失です。また、同グループの年間売り上げも2兆円弱で安定的に推移してきたのですが、2200兆円の損失は売上の10%以上にのぼり、これまた巨額の痛手となります。
いまのところ、断定的なことはなにも言えません。が、2008年のリーマンショックも、いわば、なにげなくはじまったのです。それを思えば、いまは静観をするよりほかはないでしょう。
では、及川さんの動画をごらんください。
2021.03.29【日本•経済】《速報》第二のリーマンショックくるか⁉️野村HDが2200億円の損失‼️【及川幸久−BREAKING−】