美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

量子力学の「コペンハーゲン解釈」についての雑感

2018年12月17日 23時25分11秒 | 科学



高3生に小論文を教えていたら、テキストに「量子力学のコペンハーゲン解釈」という文言が出てきました。「ん?」と思い授業後調べてみると、興味深い事実が出るわ出るわ。みなさんとそれを共有したいと思い、筆を執った次第です。

断るまでもなく、私は、量子力学の門外漢です。だから初歩的なお話が多くなると思われます。その点、笑って見逃していただければ幸いに存じます。

量子力学とは
まずは、量子力学が扱う「量子」について。原子や分子のように、物質を形づくる素材にあたる小さいものを量子と呼びます。量子の中には原子や分子、電流の正体である電子とか、光子(光のこと)とか、いろんな種類があります。話題のニュートリノも量子です。

目に見えるくらいの大きさのものに関して「どういうルールで動くのか」は、おおむね分かっています。玉がどう転がるかとか、固体に熱を加えると液体になって、もっと熱すると気体になるとか。中学生のときに教わる、氷から水、水から水蒸気への状態変化。そういうことはおおむね分かっているわけです。

だけど、それよりも小さい単位である量子になると、これまでのルールが全然通用しません。今までの感覚からするとまったくもって意味不明な動きをする。おのずと「じゃあ、量子はどういうルールで動いているんだ」という疑問が湧いてきますね。その疑問に答えようとする学問領域が量子力学である、ということだそうです。

観測問題
量子力学の「観測問題」について述べるには、まず「2重スリット」実験に触れる必要があります。


http://hp.vector.co.jp/authors/VA011700/physics/2slits.htmから拝借しました。

上記のように、電子銃から電子を発射して、二本のスリットを通過させると、その先の感光板(写真乾板)で、干渉縞が発生します。これは電子が波の性質をもつことを示唆するそうです。
このことを理解するには、波の「回折」(かいせつ)と「干渉」についての基礎的な理解が必要みたいなので、気になる方は、次のURLでご確認ください。
https://phys-and-program.com/entry/doubleslitexperiment




複数の電子を同時に発射するのであれば、複数の電子が相互に干渉するのはわかりますね。
では、電子を一つずつ発射したときは、どうでしょうか?
普通に考えれば、電子は一つだけなのだから、干渉するはずがない。干渉するにも、干渉する相手がいないからです。
ところが、干渉が起こる
つまり、電子を一つずつ発射しても、それらの電子をたくさん蓄積すると、感光板には同じような干渉縞が現れるのです。
実験事実は以上の通りなのですが、これについての解釈が問題となります。
とりあえず次のように考えられたそうです。
「一つずつ電子が発射されても干渉縞が生じるのは、電子が二つのスリットを同時に通過したからだ」
しかし、これは、あまりにも不自然ですね。というのは、「一つの粒子が二つのスリットを通る」というのは、「一つの粒子が同時に別の場所に存在する」と言っているのに等しいから。
では、どう考えるべきなのでしょうか。
ということで、これが量子力学の「観測問題」です。

コペンハーゲン解釈
「観測問題」をめぐって有力な仮説が登場しました。それが、「コペンハーゲン解釈」です。
それは以下のようなものです。
電子が発射されたあとでは、電子の存在確率が、波動関数で示される。途中で二重スリットを通り抜ける時点でも、電子は波動関数で示されるので、存在確率が雲のように拡散しながら、二重スリットを通り抜ける。その後、波動関数が感光板に達すると、観測される。観測された時点で、波動関数が急激に収束して、電子は一点に決定される
ちょっとかみくだけば、《粒子はどこにでも確率的に存在できる。観測した瞬間に確率が収束してある一点に存在するようになる》と言っているわけです。ざっくりと言えば、電子は見られると粒になるが見られていない時は波になっている、となります。
これが量子力学の主流だそうですが、正しいことが証明されているわけではありませんし、異説もあるようです。
***
自然科学は、世界を主観と客観とに二分する近代的〈知〉を土台に展開されてきました。
そうして、物理学は自然科学の雄です。
実験の精度が上がることによって、従来の物理学では説明できない現象があれこれと出てきました。
それらを説明するために、量子力学という20世紀の物理学が誕生した。
つまり量子力学は、近代的〈知〉の根幹である主客二分論のサラブレッドなのです。
ところがそのサラブレッドは、「観測問題」をめぐって、主客二分論を超えた言説フィールドをのびやかに駆け回っている。
これが驚かずにおられようか、というわけです。


参考にしたURLを掲げておきます。どうもありがとうございます。
http://hp.vector.co.jp/authors/VA011700/physics/2slits.htm
https://phys-and-program.com/entry/doubleslitexperiment
http://www.buturigaku.net/main01/Quantum/Copenhagen_interpretation02.html


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