美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

自民党衆議院議員・安藤裕、消費増税を語る 

2019年10月03日 16時21分54秒 | 政治


*自民党衆議院議員・安藤裕氏の後援会である「安裕会」から毎月「ひろしの視点」という会報が送られてきます。当方が、安裕会の会員だからです。

九月の「ひろしの視点」には、10月1日から実施された消費増税にふれた文章がありました。以下に、それを紹介します。保守・リベラルの区別なく、なるべく多くの方に読んでいただきたいと思ったからです。


***

10月1日からいよいよ消費税が増税されます。安倍内閣になってから消費税は倍になることになります。今回は軽減税率の導入、ポイント還元など、様々な景気対策が盛り込まれました。それでも、かなり混乱するでしょうし、特に中小企業にとっては、ただでさえ増税が転嫁できずに粗利が減少するだけではなく、軽減税率導入による事務処理負担、ポイント還元のためのキャッシュレス導入促進による手数料負担増といったこれまでの増税時には存在しなかった費用が発生することになり、非常に厳しい状況に追い込まれるのではないかと危惧しております。

また、理論上は違うとされていますが、事実上、消費税は中小企業にとって「外形標準課税」に等しいものです。利益に人件費、減価償却費を上乗せして税率をかければ、大雑把ですが納税額を算出できます。つまり、人件費課税と同じ効果があるのです。だから人材派遣会社がこれだけ増えてきているのです。人材派遣にすれば、人件費を外注費化できるので消費税が節税できます。

*「人材派遣にすれば、人件費を外注費化できるので消費税が節税できる」。これを例示しておきましょう。サービス業A社が、自社の従業員に給料を300万円支払っているとします。これには消費税はかかりません。これを人材派遣に切り替えると、300万円×10%=30万円の消費税が新たに発生します。この30万円は、A社が納付すべき消費税からまるまる控除されます。つまりA社は、人材派遣会社に330万円支払うことによって、消費税を30万円節約できるのです。人件費の外注費化には、ほかに社会保障費の負担減や固定費の変動費化というメリットがあるので、それらのことと相まって、今回の消費増税により、正社員の削減の流れが加速化されることが予想されます。パソナの会長さん、ウハウハものです。

私は以前から、消費増税には反対し、できれば減税すべきだと主張してきました。日本経済再生のためにも、個人消費に大きくブレーキをかけてしまう消費税は減税すべきですし、そのほうが経済も活性化し、法人税や所得税などの税収も上がることが予想されます。

さらに、現在は増税するタイミングとしても最悪です。今年に入ってからの実質賃金は、すべての月でマイナスを記録しています。

一月マイナス0.7、二月マイナス1.0、三月マイナス1.9、四月マイナス1.4、五月マイナス1.3、六月マイナス0.5、七月マイナス1.7、とすべての月で前年を下回っています。

消費税増税は、言うまでもなく実質賃金を強制的に下落させますから、購買力は当然下落します。

ただでさえ、実質賃金が下がり続け購買力が低下しているというのに、消費増税でさらに購買力を低下させるわけですから、間違いなく個人消費は落ち込むことが予想されます。仮に、ポイント還元で落ち込みが少なかったとしても、ポイント還元期間が終了すれば増税がもろに効いてくるために、その時点から落ち込むでしょう。ポイント還元等の増税対策は所詮時限装置であり、恒久的措置ではありません。それに対して、増税は恒久措置ですから、消費抑制効果はずっと続くことになります。

この影響がどの段階で明らかになるか。それは分かりませんが、野党は消費増税を大きな失点として攻めてくるでしょう。いくら3党合意で増税は決定したとは言え、2回にわたって増税延期をし、実際に増税を実行したのは現内閣ですから、その批判は受けても仕方ありません。

野党の動きも目が離せません。先の参議院選挙で「消費税廃止」を掲げて選挙を戦った「れいわ新選組」の山本太郎代表は、この九月から全国行脚を始めています。そこで消費増税批判をし、日本の財政危機は嘘であることを暴き、過去の消費増税分は法人税や所得税の減税の財源となっていて、「全額社会保障に使います」と言っていた政府の説明は嘘だったことが広まっていくと、政府の立場は大変苦しいものとなり、国民の支持も離れていくでしょう。そんな中で、消費税減税で野党がまとまることがあれば、自民党内閣はかなり厳しい状態に追い込まれます。

*安倍総理は、バカなことをしでかしてしまいました。今回の消費増税は、結局、一般国民に塗炭の苦しみを味わわせることになり、内閣支持率は著しく低下し、憲法改正など夢のまた夢となることでしょう。「消費増税凍結、消費減税3%」で衆参同時選挙を敢行しておけば、自民党は圧勝し、悲願の憲法改正を実現できたものを。

そうならないために、MMT(現代貨幣理論)をはじめ、使える理論はきちんと使って、消費減税を自民党が言い始める必要があります

また、今政府では「全世代型社会保障制度改革」について議論を始めています。この改革を行うにしても、「実際に日本の財政は破綻するのかしないのか」「国がどの程度負担するのか」という議論をしなくては、今まで通りの「国の財政が厳しいので自己責任、自己負担増」という結論になってしまい、国民の政府に対する信頼が損なわれる結果となります。そのような結果になることは絶対に避けなくてはなりません。

また、日本の全世帯のうち、金融資産ゼロという世帯が30年ほど前は5%程度だったものが、現在では30%を超えています。世帯所得もピーク時に比べて135万円も下落しています。これだけ国民は貧困化しているのです。

そんな中で、負担増や給付減という案を出すわけにはいきません。この問題を解決するためにも、MMT現代貨幣議論をうまく使う必要があるでしょう。

幸い、10月から11月にかけて、京都大学主催で全国会議員向けのMMTの勉強会が国会内で開催されることが決まっています。

7月にステファニー・ケルトン教授が来日しましたが、その一環で10月にはランダル・レイ教授、11月にはビル・ミッチェル教授が来日します。これにより、国家の財政政策の在り方を根本的に変えることができれば、既存の概念にとらわれない新しい解決策を提案することができるようになるでしょう。これが実現できるように、私も尽力していきたいと考えています。

要するに、MMTの考え方を採れば、年金問題など一気に解決します。年金の原資が足りなければ、国が補填すればいいのです。老後の年金に2000万円の不足が生じるのであれば、その不足分を国が全額補填すればいいのです。国にはそれだけの力があり、そういう力を発揮することが国家なるものの存在根拠なのです。これは、私が勝手に極論を展開しているのではなく、安藤議員が別の「ひろしの視点」で展開しているものの要約です。そうして、これはMMTの正当な理解によるものです。

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