曙ブレーキ工業は、新車組付用ブレーキにおける
国内マーケットシェアが46%、グローバルでは
21%の大手メーカーです。
1月30日に、私的整理の一つである事業再生ADR
(裁判以外の紛争解決)を使って、金融支援を
要請しました。借入金を、計画通りに返済でき
なくなったようです。
躓いた原因は、2009年に行った独部品大手
ボッシュの米国工場の買収でした。日本企業
による海外買収の成功率は3割と言われています。
東芝の経営危機も、米国企業の買収が引き金と
なりました。
曙ブレーキ工業の全従業員9,457人の地域別内訳は、
北米が3,648人と最大。続いて日本が3,175人、
アジアが2,269人、欧州が365人。売上高は、
海外が72%、うち北米が53%、日本が28%です。
ユーザー別売上高依存度のトップ5は、GM28%、
日産15%、トヨタ11%、ホンダとフォード
各7%です。GMの次期モデルの失注が業績悪化の
主因と報じられています。
2016年3月期に営業損失38億円を計上しましたが、
北米の赤字が112億円でした。さらに、米国工場の
固定資産の減損損失処理などにより、2期連続して
当期純損失を計上しました(2015年3月期△61億円、
2016年3月期△195億円)。その結果、財務の安全性が
大きく低下していました。
日本のトップメーカーだから安泰、などとはいかない
ようです。