植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

蜂はどこへ行った?

2019年03月20日 | 植物
数日前、今年初めてのアゲハ蝶を見かけました。まだ小さな個体で羽化したばかりなのでしょうか。卵を産み付けて幼虫が柑橘類を食害するとはいえ、そっとしておきます。

アーモンドの花


ネクタリンの花


プラム(サンタローザ)の花


バイオチェリーの花


アーモンドの花が咲き、プラムとネクタリン、貴陽、モモと次々に開花しています。幼木なので、特にまだ収穫を気にする必要もなく(本当は、育てた果実が食べたい)、ただぼんやり花を眺めていればいいのですが。植物の花が結実するには、大きく二通りあって、風媒花と虫媒花ですが、圧倒的に後者の割合が多いのです。寒い時期に咲く花は、虫がいないので、風媒花が多いこともあるでしょうね。ブドウみたいにびっしりと花が付くのも風任せで間に合うでしょう。問題は虫媒花。農家さんでは、ハイブリッドなんかで作出した新品種は花粉が少ない(無い)ことが通例なので、果樹などは人工受粉させることも少なくないですね。本来であれば、もうこの時期にはミツバチなんかが飛び始めてもいいのに一匹も来ません。それどころか、昨年は一度見つけただけでした。園芸を始めて8年位経ちますが、ミツバチは見かけず、クマンバチばかりですね。ウチで育てているものの中に、「キンリョウヘン(金稜辺)」という蘭があります。この、およそ蘭らしからぬ名前の植物は、養蜂家にはよく知られています。地味な赤茶色ぽい花をつけるのですが、すごいフェロモンを出すらしく、こいつにミツバチが群がると言います。それで、養蜂用の蜂を集めるらしいのですが、去年咲いた時に、ミツバチは来ませんでした。この界隈にはほとんどミツバチは居ないのではないかと考えています。庭に梅の古木がありますが、何十年か前には朝、蜂の羽音で花が咲いてのに気づいたと家内が言っておりました。

 かのアインシュタインが、「ミツバチが居なくなると、人類は滅亡する」と予言したらしいです。ミツバチが、植物を繁殖させる(受粉させて果実をつける)象徴的な存在として、種子が無くなると大部分の植物が個体数を減らし、人間や動物の口に入る実が、大幅に減ることを危惧したのでしょうか。滅亡は極端としても相当な食糧危機や自然界の破壊が進むでしょうね。
 では、どうしてミツバチがいなくなったのか。これには、諸説ありいろんな要因が複合的に関わっているとは思いますが、その中で有力なのが、殺虫剤によるダメージです。それが、日本では割と最近、使われだしたネオニコチノイド系農薬ですね。ワタシも、農協でハンコをついて、モスピランという同系の農薬を使用しています。毒性が強いものや使用に制限が厳しい農薬類は、言うまでもなく身分証明書を提示して買い、保管責任も生じるわけですが、例えばモスピラン水和剤は、普通にホームセンターに売っています。この種の薬品は、昆虫全般に強い効き目があり、浸透性があり(根や葉から植物全体に成分が行きわたる)、残留期間が長い、という特性があって、日本の農家さんでは、非常に重宝しているようです。例えば、米作には、コメの等級を落とすとしてカメムシ駆除に撒かれています。大規模な米作農家は空中散布するそうですね。そして世界的なミツバチの大量死や失踪が発生し、各国が原因究明した結果、そのひとつがネオニコチノイド系農薬であることが明らかになったのです。

 これにより、害虫はおろか、昆虫はほぼ全種がその毒素にさらされているわけです。さらに、人体にも大きな健康被害を生じることも起きています。欧米を中心に、このネオニコチノイド系農薬は原則禁止や使用制限に動いていますが、わが国では、むしろ、緩和する方向に行っています。生産者および消費者の健康や、自然界への深刻な脅威に、警鐘を鳴らす科学者さんや政治家の先生はあまり聞かないのです。
コメント
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