2つの大きなミスで2失点し自滅
2勝2分けの無敗だったアルビレックス新潟が、今季、ついに初の敗戦をした。
いや何も対戦した浦和レッズに冴えたパスワークがあったわけでも何でもない。単なるミスで負けたのだ。
しかもミスはミスでも「トライしてのミス」ではなく「不作為のミス」。自陣に何人もの敵に押し込まれ、攻め続けられているのに大きくクリアしない、という子供でもしない不作為によって、である。
このゲーム、新潟は幸先よく前半10分に先制する。
ペナルティエリア右にこぼれたボールをMF太田修介が収め、右足でボレーシュートをゴールに叩き込んだ。1-0のリードだ。ところがこのあとがいけなかった。
浦和に前半25分頃から自陣に押し込まれ続ける。しかも何度もCKを敵に与えた。ボールがこぼれ、新潟の選手が拾うと、自陣に何人もの敵がいるのにショートパスを繋ごうとする。で、奪われる。その繰り返しだ。
新潟の選手は「大きくクリアする」というプレス回避の手段を取らなかった。
そして新潟は前半25分から約20分間、自陣でそんな凡プレーを何度も犯す。その中で痛い2失点が生まれた。いや、彼らが浦和に2点を「プレゼントした」のだ。
クリアしていればなんでもなかった
まず前半35分。新潟が自陣からボールをクリアしないため、どうしても自陣の狭いゾーンで混戦になる。で、そのこぼれ球を拾った浦和の酒井宏樹が、ペナルティエリア右から豪快なゴラッソ。これであっさり同点になる。1-1だ。
もし新潟が敵陣に向けていったん大きくボールを蹴り出していれば、あんなゴラッソはなかった。
続く前半47分の失点は、浦和の右CKからだ。浦和のMF岩尾憲が蹴ったボールを、新潟のDF舞行龍ジェームズがクリアミスした。なんと自陣ゴール前にいる敵に「どうぞシュートを打ってください」というコースにヘディングしたのだ。
こんなプレゼントボールを浦和が逃すはずはない。DF明本考浩が左足ボレーでゴール左に叩き込んだ。これで浦和が逆転だ。もし舞行龍ジェームズがゴールラインの外へきっちりボールを出してプレーを切っていれば、明本のあんな見事なゴールはなかった。
そして両者ほぼ互角で無得点だった後半は、静かに終わった。2-1で浦和の勝利である。
「魔の20分間」を反省すべきだ
こんなふうに新潟の2失点は、前半25分からの「魔の20分間」で立て続けに起こった。
浦和というチームは、敵陣でボールを失うとカウンタープレスでボールに殺到し即時奪回を狙うゲームモデルだ。そんな相手に自陣に押し込まれたとき、「大きくクリアしない」というのは自殺行為である。
たしか新潟の松橋力蔵監督は、「敵のプレスは『技術』でかわせ」というような趣旨のことを言っていた記憶がある。
確かに新潟の2タッチ以内でグラウンダーのパスをテンポよく繋ぐサッカーは魅力的だし、その意気やよし。だが、時と場合がある。
敵陣で攻撃時なら話は分かる。だが自陣に敵が何人も押し込んできている守備時に「あれ」はない。
新潟が常用するグラウンダーのパスには、天敵がある。それは強度の高いプレッシングだ。よって繋ぐところとクリアするところ、局面を読んで緩急を使い分けなければサッカーにならない。
前節、新潟が勝った対川崎フロンターレ戦のレビュー記事で、私は以下のように書いた。
>この試合で出た新潟の今後の課題としては、(中略)
>自陣に押し込まれてどうしようもないときは、
>割り切ってハッキリ大きくクリアすること。
>彼らはどんな状況でも「繋ごう」としてバタバタし、終盤に失点するのがパターンだ。
奇しくも予言のようになってしまったが、前節の川崎F戦でも同じような場面は何度もあった。前節は運よく失点しなかっただけ。ならば今節のような失点のしかたは今後もあり得る。
新潟はこの「病巣」を改めない限り、またピンチに見舞われるだろう。チームでよく話し合い、自陣でショートパスを繋いでOKなのはどんな局面か? あるいは逆にセーフティ・ファーストで行くべきなのはどの場面か? それぞれプレー原則をしっかり決めておく必要がある。
2勝2分けの無敗だったアルビレックス新潟が、今季、ついに初の敗戦をした。
いや何も対戦した浦和レッズに冴えたパスワークがあったわけでも何でもない。単なるミスで負けたのだ。
しかもミスはミスでも「トライしてのミス」ではなく「不作為のミス」。自陣に何人もの敵に押し込まれ、攻め続けられているのに大きくクリアしない、という子供でもしない不作為によって、である。
このゲーム、新潟は幸先よく前半10分に先制する。
ペナルティエリア右にこぼれたボールをMF太田修介が収め、右足でボレーシュートをゴールに叩き込んだ。1-0のリードだ。ところがこのあとがいけなかった。
浦和に前半25分頃から自陣に押し込まれ続ける。しかも何度もCKを敵に与えた。ボールがこぼれ、新潟の選手が拾うと、自陣に何人もの敵がいるのにショートパスを繋ごうとする。で、奪われる。その繰り返しだ。
新潟の選手は「大きくクリアする」というプレス回避の手段を取らなかった。
そして新潟は前半25分から約20分間、自陣でそんな凡プレーを何度も犯す。その中で痛い2失点が生まれた。いや、彼らが浦和に2点を「プレゼントした」のだ。
クリアしていればなんでもなかった
まず前半35分。新潟が自陣からボールをクリアしないため、どうしても自陣の狭いゾーンで混戦になる。で、そのこぼれ球を拾った浦和の酒井宏樹が、ペナルティエリア右から豪快なゴラッソ。これであっさり同点になる。1-1だ。
もし新潟が敵陣に向けていったん大きくボールを蹴り出していれば、あんなゴラッソはなかった。
続く前半47分の失点は、浦和の右CKからだ。浦和のMF岩尾憲が蹴ったボールを、新潟のDF舞行龍ジェームズがクリアミスした。なんと自陣ゴール前にいる敵に「どうぞシュートを打ってください」というコースにヘディングしたのだ。
こんなプレゼントボールを浦和が逃すはずはない。DF明本考浩が左足ボレーでゴール左に叩き込んだ。これで浦和が逆転だ。もし舞行龍ジェームズがゴールラインの外へきっちりボールを出してプレーを切っていれば、明本のあんな見事なゴールはなかった。
そして両者ほぼ互角で無得点だった後半は、静かに終わった。2-1で浦和の勝利である。
「魔の20分間」を反省すべきだ
こんなふうに新潟の2失点は、前半25分からの「魔の20分間」で立て続けに起こった。
浦和というチームは、敵陣でボールを失うとカウンタープレスでボールに殺到し即時奪回を狙うゲームモデルだ。そんな相手に自陣に押し込まれたとき、「大きくクリアしない」というのは自殺行為である。
たしか新潟の松橋力蔵監督は、「敵のプレスは『技術』でかわせ」というような趣旨のことを言っていた記憶がある。
確かに新潟の2タッチ以内でグラウンダーのパスをテンポよく繋ぐサッカーは魅力的だし、その意気やよし。だが、時と場合がある。
敵陣で攻撃時なら話は分かる。だが自陣に敵が何人も押し込んできている守備時に「あれ」はない。
新潟が常用するグラウンダーのパスには、天敵がある。それは強度の高いプレッシングだ。よって繋ぐところとクリアするところ、局面を読んで緩急を使い分けなければサッカーにならない。
前節、新潟が勝った対川崎フロンターレ戦のレビュー記事で、私は以下のように書いた。
>この試合で出た新潟の今後の課題としては、(中略)
>自陣に押し込まれてどうしようもないときは、
>割り切ってハッキリ大きくクリアすること。
>彼らはどんな状況でも「繋ごう」としてバタバタし、終盤に失点するのがパターンだ。
奇しくも予言のようになってしまったが、前節の川崎F戦でも同じような場面は何度もあった。前節は運よく失点しなかっただけ。ならば今節のような失点のしかたは今後もあり得る。
新潟はこの「病巣」を改めない限り、またピンチに見舞われるだろう。チームでよく話し合い、自陣でショートパスを繋いでOKなのはどんな局面か? あるいは逆にセーフティ・ファーストで行くべきなのはどの場面か? それぞれプレー原則をしっかり決めておく必要がある。