すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【女子E-1】最大の課題はメンタルだ 〜日本1-0中国

2017-12-11 21:28:36 | サッカー日本代表
先制点を取り気持ちが「受け」に回った

 なでしこは弱々しかった初戦の韓国戦とは、ボールスピードがまったく違う。パスが速い。2タッチ以内でテンポよくボールを動かし、前半20分。FW田中美南が絵に描いたようなダイアゴナルランで中島からラストパスをもらいシュートを決めた。

 とても韓国戦のときと同じチームとは思えない。積極的でエネルギッシュだった。おそらく高倉監督からだいぶネジを巻かれたのだろうが、それにしてもこれだけ変わるものだろうか?

 だがそのあとが悪かった。先制点を取り気持ちが「受け」に回ったのか、とたんにまた韓国戦のときのように中途半端なバックパスが増え、パスが弱くなり、消極的になった。韓国戦で悪かった点がいっせいに吹き出す。元の木阿弥だ。

 前半20分に1点を取って以降は、「ただやってるだけ」。残りの70分は、ほとんど見るべきものがなかった。前半20分に1点取ったら残りの70分は「流す」なんて、ブラジル代表でもやらないだろう。

 初戦の韓国戦で感じたプレイの中途半端さや消極性、弱々しさがいったい何に起因するのかわかった。メンタルだ。

 もちろん彼女たちは「残りは流そう」なんて思ってるわけじゃない。だが先制点を取れたことで無意識のうちに「守り切りたい」という弱気の虫が出た。で、すべてのプレイが消極的になり、韓国戦で見られた中途半端さがまた試合を支配するようになってしまった。

 彼女たちには技術があり、能力もある。だがそのカラダを動かすのはメンタルだ。この気持ちの弱さの原因はいったいなんだろう? ひょっとしたら監督とうまく行ってなく、チームが壊れてるんじゃないのか? そんなことまで考えてしまった。

 いずれにしろ、この内容ではあとは「勝って結果を残す」しか挽回のチャンスはない。次の北朝鮮戦はスッキリ勝って、優勝しよう。

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【東アジアE-1選手権】新戦力の発掘と優勝がノルマだ

2017-12-11 14:27:27 | サッカー日本代表
GK中村航輔とFW伊東純也に続くのは?

 初戦、北朝鮮戦に対する世評が厳しい。だがどうも世論は、この大会は「いったい何が目的なのか?」という評価ポイントを見誤っているように思う。今回は失礼ながら一段レベルが低い国内組であり、しかも昨日や、おととい寄せ集めたばかりのチームに「鮮やかな連携プレー」だの、「見事な戦術遂行能力」だのを求めるのは無理がある。

 そこで私が個人的に設定した今大会の評価ポイントは、(1)ロシアを目指す新戦力の発掘と(2)優勝できるかどうか? の2つだけだ。それ以外は求めてない。

 この設定に基づいて考えれば、北朝鮮戦ではGK中村航輔とFW伊東純也を発見できた。またそれに準ずる存在として、(1)サイドではなくCFとして使えば威力を発揮するFW小林悠と、(2)よさを出せずに落第だった前回大会から一段スケールアップしたFW川又堅碁ーーの姿も確認できた。これは大きい。

生粋のサイドアタッカー伊東は現代表にいないタイプだ

 まずGKの中村については、かなりロシア行きが近づいたといえる。逆にあれだけファインセーブを連発できるこの選手を、ハリルはなぜ今まで試合で使ってなかったのか? 疑問に思うくらいだ。特に反応のよさと瞬発力がすばらしい。

 続いてFWの伊東に関しては、ああいう「いかにもウインガー」的な選手が今の代表に全くいない点が考慮されるべきだろう。なぜならハリルが選ぶ右サイドアタッカーは、全員、「本来ならCF」の選手ばかりなのだ。久保もそうだし、浅野もそう。メンバー入りしたり落ちたりしている小林悠だって同じだ。

 そう考えれば、生粋のサイドアタッカーである伊東は貴重なオプションになる。あとはアジアでなく「世界レベル」でどれだけ通用するか? の問題だろう。

 そして北朝鮮戦では川又の途中投入と同時に、2トップの一角に回った小林悠も光るものがあった。彼は非常に俊敏でキレがよくウラのスペースに飛び込むセンスがある。代表チームで右SHとしてではなく、CFで使えばどれくらいやれるんだろう? と非常に興味をひかれる存在だ。

 一方、FWの川又は、私のこの記事を読んでいただければわかる通り、前回大会では自分の持ち味を出せなかった。だが北朝鮮戦でわずか20分程度の出場ではあったが、「おや? 前回とは違うぞ」と思わせるに十分だった。

 彼はもともと高さと強さという身体能力はズバ抜けている。だが前回大会では「技術のなさ」を露呈した。そこが今回、かなり修正されているように思える。ぜひもう一度見てみたい存在だ。

優勝できるかどうか? が最大のポイントだ

 さて最後に、今大会の第2の評価ポイントである「優勝できるのか?」である。

 ぶっちゃけ、こんな急造の寄せ集めチームに連携プレーや、付け焼き刃の戦術遂行能力を求めるのは無理な話だ。わかりやすくいえば「内容」を求めてもムダなのだ。

 であれば「結果」だ。

 ズバリ、優勝できるかどうか?

 初戦の北朝鮮戦は、苦しみながらなんとか勝利をつかんだ。デキが悪いながらも勝った。こういう時っていうのは「勝負の流れ」がグイッとこっちへ来るものだ。

 初戦ですっかり膿を出し切り、ぜひきっちり優勝してほしい。

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【東アジアE-1選手権】FW伊東純也の途中投入でチームは劇的に活性化した 〜日本1-0北朝鮮

2017-12-10 10:01:05 | サッカー日本代表
マイボールになれば3-3-4で攻めダルマになる

 前半の日本はまるで死人のようだった。棒立ちになった味方同士で意味のないショートパスをただ交換するだけ。局面を打開する動きがない。まったく生気がなく消極的だった。単にポゼッション率を高めるだけの死んだような短いパスを繰り返し、日本にボールを持たせ引いて守ってカウンターを狙う北朝鮮の狙いにハマって行った。

 そのネガティブな流れをひっくり返したのが、後半11分。FW伊東純也の途中投入と、右WGだった小林悠を中央に回し2トップ(両翼も合わせ4トップ)にしたハリルの積極采配だった。マイボールになれば左SBの車屋も中盤に上がり3-3-4で攻めまくる。

 そして最高のディナーは後半48分にやってきた。北朝鮮がロングボールを入れ前がかりになったところで、日本のクリアから始まるコレクティブ・カウンターが発動されたのだ。

 DF室屋が右サイドで大きくクリアしたボールを、前線にいた小林が中央で拾い左サイドの阿部にダイレクトで落とす。広いスペースの中でボールを受けた阿部は、余裕を持って左に開いた川又にパス。受けた川又が中央に折り返し、これを今野が頭で井手口に落とした。

 さあ出番だ。クリスマスプレゼントのような今野からのボールをもらった井手口は、右足インサイドでボールを抑えながら狙い澄ましたシュートを放つ。弾け飛ぶような軌道を描いたボールは、歓喜とともに北朝鮮ゴールに突き刺さった。時すでにアディショナルタイム。実質、さよならゴールである。

 苦しかったアジア最終予選。オーストラリアを一撃で沈めた「あの一発」同様、最後においしいところを全部もって行ったのは井手口だった。

 とはいえこのゴールは、複数の芸術家たちが織り成した創造美である。起点になった室屋から数えて合計6人。うちボールを余裕で2回小突いた阿部以外の5人が全員、ダイレクトプレーでボールに絡んだクリエイティブなファインアートだった。喜びの渦のなか、このゴールでチームはひとつになった。めざすは男女アベック優勝である。

前半の日本は安全なショートパスと遅攻で停滞した

 日本のシステムは4-2-3-1。スタメンはGKが中村航輔。最終ラインは左からSB車屋紳太郎、CB昌子源、CB谷口彰悟、SB室屋成。ダブルボランチには井手口とベテラン今野を並べ、トップ下に高萩洋次郎。最前線はワントップに金崎夢生。左に倉田、右に小林悠だ。

 前半は残念ながら、昨日書いたこの記事で予言した通りの展開になった。トップ下が機能せず、ビルドアップ時に最終ラインがボールをもっても前の選手はゾーンのギャップで突っ立ったまま間受けしようとするばかりで、ボールを引き出す動きがない。

 日本は左サイドを経由して組み立てようとするが、前へ張り出したSB車屋やWG倉田の足元にボールを当てても彼らはリスクを取らず、ダイレクトでボールがまた後ろのCBやボランチに戻ってくるだけ。こんなふうにサイドの狭いエリアに集まった2〜3人が2メートルくらいの死んだショートパスを互いに交換するだけで、ボールはまったくゴールへ向かわない。

 ごくたまに中央へロングボールが入ると、敵が弾き返したこぼれ球を拾って攻めが生まれるが、こんなシーンはめったにない。

 北朝鮮は4-5-1で自陣にブロックを作り、低く構えて日本にボールをもたせる作戦だ。で、自陣でボールを取ったらカウンターを狙っている。なのに日本はボールを奪っても速く攻めず、遅攻に終始した。たっぷり時間を使い、その間に敵が帰陣しブロックを作るための猶予をわざわざ与えている。

 そして相手を自陣へ十分に引かせたあとは、敵ブロックの手前で安全にショートパスをただつなぐだけ。左サイドに出したら前が詰まってボールがまた後ろに戻され、今度はCBを経由して右に展開するがまた前が詰まってボールをバックパスする。敵ペナルティエリアのラインに沿って、「コの字型」にボールを行き来させているだけだ。最悪の展開である。

「引いた相手を崩すには?」という永遠のテーマ

 引いた相手をショートパスで崩したいなら、縦にクサビのボールを入れてワンツーを嚙ますなど、動きのあるダイレクトプレーがもっと必要だ。またサイドから崩すのであれば、思い切って早めにクロスを入れるのも有効だ。(前半はサイドからのクロスもほとんどなかった)

 あるいは縦に一発ロングボールを入れれば敵CBが後ろに下がり、相手ブロックを縦方向に引き伸ばすことができる。こうして敵バイタルエリアにスペースを作ったり、そのロングボールからのこぼれ球を拾って攻めるテもあり得る。

 だが前半の日本はこうして敵に揺さぶりをかけることがまったくなく、ただ安全なショートパスに終始するだけ。前回の記事でふれた、日本ならではの「パスサッカー症候群」からくるバックパスまみれのポゼッション病を発症していた。

 そして敵陣でボールを失うと、北朝鮮の縦に速いカウンターを食らう。日本は前がかりになって自分から守備のバランスを崩しているため、北朝鮮がいったん攻めに入るとシュートまで行く確率が非常に高い。引いて守っている北朝鮮のほうが日本より5本もシュートが多いという、ひどいありさまだった。

 だが日本の致命的なピンチに立ちふさがったのが、牛若丸のように機敏なGK中村である。彼は超絶ファインセーブで何度も敵のシュートを止め、なんとか0-0のまま後半勝負の展開にもって行った。そして最後は井手口による大団円へ。裏を返せば、GK中村の度重なるガマンが呼んだ勝利だった。

 この日の教訓から言えることは、結局、点を取れるのはカウンターだということ。そして「引いた相手を崩すには?」というアジアで日本が何度も遭遇する永遠のテーマを達成するには、ロングボールやクロスを入れるなど「大きい展開」が必要だということだ。

井手口と小林、伊東、川又が光り輝いた

 選手別では、やはり井手口はパスカットのセンスが群を抜いている。そしてボールを奪ったあと精力的に縦パスを入れるなど、前へつけるボールをいちばん工夫しているのも彼だった。またダブルボランチを組んだ今野の運動量豊富なダイナモぶりと「ここぞ」の上がりも目立った。

 一方、攻撃陣では、後半に途中投入されたFW伊東純也の縦への突破が目を引いた。彼は前へボールを引き出す動きをくり返し、まるでネイマールのように貪欲に縦を狙う。伊東のこのエネルギッシュな躍動ぶりが、前半は眠っていた日本をすっかり呼び覚ました。

 そして伊東の投入と同時に、右サイドからCFへ回った小林悠のウラへの飛び出しと鋭いプレイもチームを活性化させた。小林はサイドではなく真ん中で使ったほうが明らかにいい。

 また同じく後半から途中投入され、小林と2トップを組んだFW川又堅碁の高さと強さも光った。彼は決定的な強いヘディングシュートを放ったが惜しくもGKの正面を突き阻まれた。最後の得点シーンでも、彼が左サイドから入れたクロスはポストになった今野の頭にピッタリ合っていた。

 川又は前回の東アジア杯でフィーチャーされたがよさを出せず、日本も最下位に終わった。その雪辱を果たした形だ。彼はプレイはもちろんだが、なにより明るく陽性のキャラクターがいい。川又と小林、伊東のギラギラしたハングリー感が、後半のチームを劇的に変えた。

「勝ってるチームは動かすな」という。次の試合でも、伊東と小林、川又のアグレッシブ・トリオがぜひ見たい。

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【日本サッカー界】「バックパス症候群」という病

2017-12-09 06:27:38 | サッカー戦術論
ボールを大切にする「いいプレイ」の認識を変えろ

 ゆうべのなでしこジャパンの試合を見て、日本サッカー界が抱える問題の大きさに頭を抱え込み、つい気になって夜中に目が覚めてしまった。で、この原稿を書いている。お題は、バックパスの是非についてである。

 その必然性もないのにバックパスが異常に多いなでしこジャパンが典型だが、日本サッカー界は女子だけでなく男子もまったく同じ「病巣」を抱えている。男子はハリルが縦に速いサッカーを注入してムダなバックパスはめっきり減ったが、それでもアジア予選が終わればまたぞろバックパス復活の兆しが見えてきた。深刻な問題である。

 日本サッカーの歴史を振り返れば、まだ日本人選手に技術がなかった数十年前。とにかくタテにボールを放り込み、味方に競り合わせるアバウトな縦ポン・サッカーはふつうにあった。だが日本人がすっかり技術を身につけ時代が変わるや、丁寧にパスをつないで「意図のあるサッカー」をやろう、という流れに日本はなった。

 つまり目をつむってとにかくタテにロングボールを放り込む、運まかせな「意図のないサッカー」はもうやめよう、って話だ。で、日本はショートパスを駆使する精緻なパスサッカーの聖地として、アジアでは確固たる地位を築いた。だが、同時に失ったものがある。

 それはボールを大切にし、失わないようにしようとするばかりに、チャレンジ精神がなくなったことだ。

 ちょっと苦しい体勢になれば、バックパスに逃げればいいーー。

 前にボールを運べなくなるが、それでもボールを失うよりはいいーー。

 ボールを奪ったら、まずいったんバックパスして「ひと休み」しよう。それでタメを作って遅攻をかければいいーー。

 よくいえば何度でもバックパスを繰り返し、後ろからビルドアップしようとした一時期のバルセロナ・スタイルの劣化バージョンだ。

 ハリルに言わせれば「ボールポゼッション病」の成れの果てだ、とでも表現するだろうか?

技術がついた今の日本人にはできるはずだが……

 日本人は、まだ技術がなかったゆえ「そうするしかなかった」アバウトな縦ポン・サッカーの時代とは、もう違う。ボールを奪ったらタテに正確な「意図のある」長いパスをしっかりつけてカウンター速攻ができるはずだ。時代はそんなふうに1回転している。だが、そうしない。ややもすると相変わらずの遅攻頼りになる。

 前回の記事でも触れたが、日本人はとにかくボールを大事に、ボールを大事に、という頑ななパスサッカー信仰が強いあまり、どうしても成功率が高いショートパス偏重になる。ヨーロッパ人のように正確なロングボールを自在に操る「大きなサッカー」ができない。

 昔のようにアバウトなロングボールを放り込むのでなく、技術がついた今では前線の選手の足元へ正確な長いパスを付けられるはずなのに、トライしない。

 具体的にいえば、ボールを保持した左SBから、前のスペース目がけて走りこむ逆サイドの右WGに向け、フィールドをななめに横切るダイアゴナルな長いサイドチェンジのボールを出すようなプレイだ。

 いや、それでもハリルが来日し「タテに速いサッカー」を布教したおかげで日本人はずいぶん変わった。男子代表でいえば、特に吉田や森重、井手口あたりは本当に正確で鋭いロングパスを出すようになった。今の日本人はそれをやるだけの技術はあるのだから、あとは「やろうとする意思」をもつかどうかの問題なのだ。

 ところがややもすると、また安易な方向に流れてしまう。男子代表でいえばアジア予選が終わるや、めっきりまたバックパスに逃げることが多くなった。かたや、なでしこジャパンもバックパスの花盛りだ。

 ボールを持ったら、まず前を向こうとしない。バックパスは楽だから、ついバックパスに逃げてしまう。

 日本人はそんな、ボールを病的に大事にする偏ったパスサッカー信仰から抜け出せるかどうか? 成功率が高いショートパス偏重の「小さいサッカー」でなく、正確なロングパスを自在に操る「大きなサッカー」へと脱皮できるかどうか?

 日本のサッカーが世界で勝てるようになるためには、まずそこをクリアする必要がある。

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【女子E-1】修正点だらけのなでしこジャパン 〜日本3-2韓国

2017-12-08 21:59:46 | サッカー戦術論
球際が弱く消極的でプレイが中途半端だ

 東アジアサッカー連盟(EAFF)E-1サッカー選手権が開幕した。なでしこジャパンが韓国女子を3-2で下したが、日本には修正が必要な課題が多く目についた。まず彼女たちは韓国と違い、球際の競り合いに弱く粘り強さがない。お嬢さんサッカーだ。特にフィジカルでは韓国に圧倒的なアドバンテージがあった。それでもなぜ日本が勝てたのか? それは「些末的」な細かなテクニックが日本にはあり、韓国にはなかったから。なでしこジャパン復権の道のりは険しい。

 なでしこジャパンは男子と同じでパスが弱く、意味のない責任逃れの「短いパス」が多い。男子に輪をかけて「小さいサッカー」になってしまっている。「ボールを大事にして」ひんぱんにバックパスするのだが、そこでも再度また敵にプレスをかけられてリスクポイントがだんだん低い位置になり自ゴールへ近づいてしまう。

 日本のサッカー選手は、積極性がなくギャンブルできない。成功確率がフィフティ・フィフティのチャレンジができない。あれが「ボールを大切にする丁寧なパスサッカー」だと考えているのなら、日本人のパスサッカー信仰の弊害は限りなく大きい。問題点のあり方が男子とまったく同じで、まるで写し絵のようだった。

 彼女たちの生命線であるらしい、そのパスのやり取りにしても、単にパスの出し手と受け手の1対1の関係でしかない。そこにからむ3人目の動きがないから、どこにパスを出すのかカンタンに読まれて局面を打開できない。男子と同様、マイボール時の運動量が圧倒的に足りない。

「パスサッカー王国」の日本ではよく、「人が動くんじゃなく、ボールを動かせ」などと言われる。だが、そもそも先に人が動かなければパスコースはできないし、パスも通らない。日本人はとんでもなく大きなカンちがいをしている。問題点のあまりの大きさに気が遠くなりそうだ。

 ただしなでしこジャパンは男子と違い、最前線の選手にいちばん力がある。FW岩渕真奈ー田中美南の2トップが持つ個の力が抜きん出ている。ここは大きなストロングポイントだ。それを軸にして問題点をひとつひとつ修正して行くしかない。

 ちなみに途中出場して点を取ったMF中島依美は力強く積極性があり、弱々しく消極的な他の選手とまったく違う。彼女はどう考えてもレギュラー確定だと思うが、なぜ途中から出てくるのだろうか? チーム作りの都合があるのだろうが……高倉監督は自分が見い出した若手を優先的に使おうと偏重しているのではないか? と言っては、うがった見方だろうか。

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【ロシアW杯】初戦のコロンビア戦で勝ち点を取れるか? がカギだ

2017-12-02 03:36:00 | サッカー日本代表
コロンビアに「引き分け」と「負け」では大違い

 日本は来年開かれるロシア・ワールドカップのグループリーグでH組に入り、コロンビア、セネガル、ポーランドと対戦することに決まった。

 いやぁー、抽選会で日本は最後の最後まで決まらず、ひょっとしてドイツとメキシコがいるF組になるんじゃないか? とヒヤヒヤしたが免れてよかった。代わりにF組行きになった韓国には「ありがとう!」と言うしかない。ホント、心臓に悪いわ。

 とはいえ日本が入ったグループHとて、むろん楽勝なわけじゃない。カギは初戦だ。最初に当たるコロンビア戦ではハリル直伝の粘りのサッカーでなんとか引き分け、勝ち点1を。第2戦のセネガル戦では、アフリカ通のハリルが敵を事前に分析しまくり相手の良さを消して勝つ。

 で、最終戦のポーランドは点取り屋レバンドフスキがお腹いっぱいではあるが……ポーランドは長い間、欧州列強国に蹂躙され続けた「谷間の3流国」というイメージで正直FIFAランキング7位ってのがあんまりリアリティを感じない。日本は個人技のある南米勢には弱いがハリルはヨーロッパ相手なら得意そうだし、まあなんとかなるんじゃないか?

 ってな、楽観的な見立てをしております。

 いずれにせよ、ド頭のコロンビア戦に負けたらそのままズルズル行く可能性が大。なんとか初戦で引き分けたい。頑張れ、ニッポン。

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