すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【女子E-1】シュートレンジの違いがくっきり 〜日本0-2北朝鮮

2017-12-15 22:03:09 | サッカー日本代表
無得点だが大会3試合の中では一番デキがよかった

 立ち上がり、北朝戦がポゼッションし、なでしこが相手の攻めをクリアして弾き返すシーンが続く。だが前半10分すぎから日本は徐々にボールをキープできるようになり、同20分以降は完全にイーブンな展開に持ち込んだ。今大会、3試合の中では明らかにいちばんいいデキだ。1、2戦で見られた消極性は克服できた。結果的に0-2で負けたが上を向いていい。

 この試合で出た最大の課題は、遠目からでもシュートを打てるようになることだ。シュート数は日本の6に対し、北朝鮮は11。なでしこはシュートの数が圧倒的に少なすぎる。特に前半41分の決定的な先制のチャンスをシュートで終われなかったのが悔やまれる。北朝鮮とはシュートレンジの違いがハッキリ出た。ここがテーマだろう。(なでしこサッカーのようにシュートやパスのレンジが短いことはなぜ問題なのか? についてはこの分析記事を参照のこと)

 なでしこのシステムは4-4-2。スタメンはGKに池田咲紀子。最終ラインは右から高木ひかり、三宅史織、鮫島彩、宇津木瑠美。ボランチは阪口夢穂と隅田凜。右SHに櫨まどか、左SHは籾木結花。2トップは岩渕真奈と田中美南だ。

 前半のなでしこは立ち上がりこそ押されたが、その後はたびたびチャンスを作った。前半21分には左サイドから決定的なクロスが入るが、惜しくも完全なオフサイド。同44分にもオフサイドにはなったが、田中美南がいいタイミングで相手最終ラインの裏のスペースに飛び出した。

 前半の問題点は、チャンスは作ってもフィニッシュまで行けなかった点だ。たとえば41分。ゴール前で決定的な先制のチャンスを作ったが、なぜかシュートしない。おそらくなでしこはシュート可能なレンジが短く、かなりゴール前へ持ち込まなければシュートできないのだろう。「個の力」とも関連するが、ここは修正すべきポイントだ。結局、この差がスコアの違いに出たといえる。

4-4-2同士のミラーゲームが続く

 北朝鮮のシステムは日本と同じ4-4-2だ。日本のボールになれば北朝鮮は自陣にきれいな4-4のブロックを作る。日本とくらべ力強さがあり、フィジカルも強い。だが細かい技術では日本も負けていない。

 後半のなでしこは立ち上がりから盛んにポゼッションし、すっかりペースを握っている。北朝鮮は心なしか足が止まってきたようだ。だがその日本に傾きかけた勝負の流れを断ち切ったのが、後半20分に北朝鮮のキム ユンミがペナルティエリア外から決めた見事なシュートだった。この先制点で完全に試合の流れが決まってしまった。

 前半から何度もチャンスは作るがシュートまで行けない日本と、ペナルティエリア外から平然とシュートを決めてみせた北朝鮮。この好対照は鮮やかだった。

 だが日本は極端に消極的だった大会初戦の韓国戦や、第2戦の中国戦とくらべ、この第3戦で積極性を取り戻し、浮上の兆しは見えた。前半のチャンスで先制できていれば、試合のゆくえはまったくちがったものになっていただろう。

 大会を通じて得た最大の教訓は、消極的にならないことだ。弱くて中途半端なパスをなくし、パスのボールスピードを上げること。強くて速いパスを出す。また後ろ向きなバックパスに安易に逃げる回数を減らし、ボールを持ったらまず「前を向く」クセをつけること。そしてチャンスを作ったら遠目からでも迷わずシュートに行く。これらの課題を改善できれば、「すでに技術ならある」若いなでしこ達の将来は明るい。

 サッカーの目的は「パスをつなぐこと」ではない。シュートを決めて勝つことだ。パスはあくまで試合に勝つための「手段」であり、「目的」ではない。なでしこ達は、パスという手段が目的化しないよう、くれぐれも心してほしい。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【東アジアE-1選手権】優勝をかけた韓国戦のスタメンはこれだ

2017-12-15 06:24:03 | サッカー日本代表
FW小林悠の爆発に賭けた布陣を組む

 あくまで「予想」ではなく、「もし私が監督だったらこうする」というスタメンの布陣は以下の通りだ。引き分けでも優勝なので、まず立ち上がりの中盤は計算できるメンツによる3センターで固く行く。前線はワントップの小林と右の伊東に期待だ。ただし伊東はケガの状態次第。もし出場不能なら、テストも兼ねてスタメンからCF川又堅碁、右に小林というパターンもある。左サイドは阿部をもう少し見てみたいと感じた。

 CB三浦は中国戦でのパフォーマンスを買った。彼は守備だけでなくフィードもよく強いパスが出せる。日本は三浦や植田くらいの速いボールスピードが標準にならなければダメだ。一方、右SBには同じく中国戦で結果を出した植田を投入。今後の日本は彼や川又のような強いフィジカルを当たり前にしたい(ただし三浦と右SB植田の配置は逆もありえる)。

 左SBは人材難だが、車屋を選んだ。彼は北朝鮮戦ではあまりにも消極的すぎた。また守備時の中央への絞りも甘い。汚名挽回だと思ってFW伊東のようにタテにガツガツ行ってほしい。なおGKは北朝鮮戦で超絶セーブをくり返した中村で決まりだ。

【パターンA】

         ◯小林悠

◯阿部浩之            ◯伊東純也

     ◯倉田秋   ◯井手口陽介

         ◯今野泰幸


◯車屋紳太郎 ◯昌子源 ◯三浦弦太 ◯植田直通

         ◯中村航輔


点が欲しい展開になれば川又、小林の2トップに変える

 試合の途中で韓国に先制されリードされるか、同点になるなど、点がほしい状況になることもあるだろう。そのときには以下の通りシステムを4-4-1-1に変え、CFに川又を投入。アンダートップを小林にする。彼らの2トップもぜひ見てみたい組み合わせだ。その場合、小林はポストプレーヤーである川又の周りを衛星のように動きながらプレイしてほしい。同時に中盤センターは今野と井手口のダブルボランチに変え、計算できる倉田を左インサイドハーフから左SHに移動させる。

【パターンB】

        ◯川又堅碁
        ◯小林悠
◯倉田秋             ◯伊東純也

     ◯井手口陽介 ◯今野泰幸


◯車屋紳太郎 ◯昌子源 ◯三浦弦太 ◯植田直通

         ◯中村航輔


 なお行けるところまで【パターンA】で行き、小林が点を取り結果を出した時点で川又のテスト投入というシナリオもあり得る。いずれにしろ選んだ後ろ半分の守備陣は計算できるので、韓国戦は小林や川又、伊東という前線の選手のデキにかかっている。今大会は今野と井手口を軸にしたセンターラインの安定が光った。今回あまりデキがよくない昌子にも、最後は前回のCWCくらいのパフォーマンスを求めたい。

 さあこれで優勝だ、ニッポン。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする