すちゃらかな日常 松岡美樹

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【CL 23/24 D組 第1節】久保建英がCLデビューする 〜レアル・ソシエダ 1-1 インテル・ミラノ

2023-09-22 05:00:40 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
完全に試合を殺し切れ

 欧州チャンピオンズリーグ2023/24のグループD、第1節が9月20日に行われた。ホームのレアル・ソシエダは前回準優勝したインテル・ミラノと対戦し、激闘の末、1対1の引き分けに終わった。この試合で右WGの久保建英が先発CLデビューした。

 試合開始4分、ソシエダは相手ボールを奪い、カウンターからMFブライス・メンデスが先制点を上げる。以後しばらくインテルにボールを握られたが、その後は彼らに何もさせずに終盤へもつれ込んだ。

 一方、ゴールがほしいインテルは、FWアレクシス・サンチェスらを途中投入し必死の反撃。どん詰まりの87分にFWラウタロ・マルティネスが同点弾を放ち、辛くも引き分けに持ち込んだ。ソシエダが幾度かあった決定機をモノにして試合を殺し切っていれば、まったく違った結果が出るはずだったが。

 彼らは現地時間17日に行われたラ・リーガ第5節のマドリー戦と同じメンバーで臨んだ。一方のインテルは、16日のACミランとのミラノダービーで大勝したメンバーからスタメンを5人も変えてきた。しかも、うちFWマルコ・アルナウトビッチや左WBカルロス・アウグストら4人は初スタメンだ。対照的である。

 マドリー戦と打って変わって、非常に緊張感のある締まった試合だった。ソシエダはマドリー戦とは一転し、大人のサッカーをした。開けっ広げに撃ち合うのではなく、相手の良さをうまく消しながら自分たちだけがおいしいところを取ろうとしている。まるでイタリアのチームみたいだった。またマドリー戦では久保への依存度が非常に高かったが、この試合における久保は11分の1の機能を果たした。

インテルは久保を消しに来た

 ソシエダはラ・リーガでも好調な左ウイングのバレネチェアが利いている。彼らのフォーメーションは4-3-3だ。一方のインテルは3-5-2で、守備時5-3-2に変化する。

 開始4分。中央でボールを保持するインテルのDFバストーニを、ブライス・メンデスとFWオヤルサバルで挟撃した。そしてボールを奪い取り、メンデスが左足でゴールする。早くも先制弾だ。

 だがその得点後は14分までずっとインテルがボールを握り、スペイン人たちがプレスをかける展開が続く。彼らは献身的にボールに圧をかけている。だがいざソシエダが自陣でボールを持つと、今度はイタリアの軍団がすごい勢いでプレッシャーをかけてくる。

 ソシエダは勝つために非常に辛い試合運びをしている。インテルに何もさせてない。今日の彼らはいままで観たことがないほど強度が高い。プレスがよく利いている。

 一方、インテルは久保に細心の注意を払っている。久保がいる右サイドには豪勢な人垣ができ、彼にボールが入るとMFムヒタリアンとDFカルロス・アウグストがダブルチームで守備対応してくる。

オヤルサバルに絶対的な決定機が

 37分、ソシエダの左SBティアニーが超ファインプレーをする。彼らは前線でボールを奪われ、同時に上がっていた数人の選手が置き去りにされたのだ。自陣には広大な無人のスペースがある。完全なインテルのカウンターになりかけた。

 だが、そのときティアニーが弾けるように前へ飛び出しボールを強奪した。すばらしい守備だ。しかも失点を未然に防いだだけでなく、彼はなんとシュートまで行った。

 インテルはラ・レアルにゴール前まで迫られると、自ゴール前に7〜8人の城砦を築いて守備をする。いかにもイタリアのチームらしく、こういうところは徹底している。

 そんな44分、どフリーだったオヤルサバルのシュートがバーを叩く。あれは絶対に決めなきゃいけない。試合後に判明するわけだが、あれさえ決めていれば…………勝ち越し弾になっていた。

 続く45分、久保が抜け出し、スルーパスを受けてワンタッチで左足を振るがGKゾマーに防がれる。前半が終わった。シュート本数はソシエダ8本、インテル1本。ポゼッション率は双方50%づつ。前半、彼らはインテルにほとんどサッカーをさせなかった。

ミケル・メリーノのヘッドがバーを叩く

 試合は後半に入り46分だった。ブライス・メンデスの中央でのFKは実に惜しかった。インテル・ゴールの左を狙ったが、GKゾマーが横っ飛びで辛くもセーブした。48分のチャンスもそうだ。左コーナーキックを久保が蹴る。ミケル・メリーノが頭で流し、後ろのオヤルサバルがヘッドでジャストミートしたが、GKゾマーが倒れながらセーブした。

 また51分には久保にも際どいチャンスが来る。彼が右サイドでボールをもらい、マーカーと1対1になったのだ。久保は左から巻くシュートを狙ったが、軌道は惜しくもゴール上方に外れた。

 54分、インテルはアルナウトビッチに代えてテュラム、アンカーのクリスチャン・アスラニに代えてダヴィデ・フラッテージ、またバストーニを下げてディマルコを投入してきた。メンバー交代後の彼らは、ムヒタリアンがアンカーを務めて中央でボールの配給役をしている。

 続く69分には、久保の左CKからミケル・メリーノのヘッドがバーを叩いた。これもギリギリだった。一方、インテルはムヒタリアンに代えて攻撃的なアレクシス・サンチェスを中盤に投入してきた。ソシエダも活発に選手交代する。オヤルサバルに代えてウマル・サディク、また72分には久保を下げてアルバロ・オドリオソラを入れた。

「攻撃こそ最大の防御なり」を実現していた久保がいなくなり、これでシモーネ・インザーギは攻撃のことだけ考えて指揮すればよくなった。久保のマーカーだった2人も解放され、最大限、攻撃に専念できる。守備の負担が減った。インテルが後半に巻き返し反撃できたのは、こんなふうに久保が消えたことにも一因がある。

ソシエダは試合を殺し切るべきだった

 インテルの79分の一発は際どかった。アレクシス・サンチェスが裏のスペースにスルーパスを出し、受けたカルロス・アウグストが左サイドをドリブルで独走して折り返しを入れる。テュラムが右足のワンタッチでゴールへ叩き込んだ。だがこれはオフサイドだった。

 幾度かの攻撃的な交代の後、明らかにインテルに流れが来ている。それがはっきりしたのは87分だった。右サイドの遠目からフラッテージが打ったシュートがゴール前を抜けてラッキーなスルーパスになる。これを受けたラウタロ・マルティネスが、逆サイドから倒れながら左足ワンタッチで流し込んだ。同点弾だ。

 このあと6分のアディショナルタイムを経て試合は終わった。前半は完全にソシエダのゲームだったが、後半にインテルが選手交代で盛り返しチャンスを作った。彼らは後半アディショナルタイムにも攻めっ気マンマンで盛り上がっていた。その流れからいえば、逆にソシエダは引き分けで済んで幸運だったのかもしれない。

 だが何度もあった絶対的な決定機を確実にモノにしていれば、彼らが快哉を叫ぶ運命にあったことは確かだ。好機にしっかり決め切り試合を殺してさえいれば、インテルがゾンビのように蘇ることはなかっただろう。その意味ではバスクのチームには、いいクスリになったゲームだといえる。

 さて今大会は、果たして世界が久保建英を「発見する大会」になるのだろうか? マークが厳しいなか、それでも久保には輝く義務が課せられている。

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