すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【西野ジャパン】まず守備の「原則」を決めろ

2018-06-08 09:15:34 | サッカー戦術論
どこからプレスをかけるのか?

 報道によれば、ロシアW杯をめざし合宿中の選手たちから、口々に「どこからプレスをかけるのか?」という言葉が発されているようだ。ジーコジャパンの時代からエンエンと繰り返される、日本にとっての永遠の課題である。

 だがこのお題は実は永遠でもなんでもない。守備の原則を知っていればカンタンに解決できる。まずザックリ2つのケースに大別して考えてみよう。

 ひとつは、自分たちがボールを失った瞬間にその場でかけるプレッシングだ。そしてもうひとつは、局面が落ち着いて敵が最終ラインからビルドアップしようとするときにかけるプレッシングである。

 前者の場合、ボールを失った場所はそのときによって違うのだから、当然、どこからプレスをかけるのか? もケースバイケースになる。

 例えばアタッキングサード(前線)でボールを失った場合、守備対応はこれまた2つに分類できる。ひとつはゾーンの高さを変えず、高い最終ラインを保ったままその場で前線からゲーゲンプレッシングするケースだ。いわば「攻撃的な守備」である。ただしラインが高く背後に広大なスペースを抱えているぶん、リスクはある。

 一方、もうひとつの対応は、ボールを失ったアタッキングサードでプレスをかけ始めるのでなく、縦へのパスコースを切りながら自分たちの守備ゾーンへとリトリート(後退)し、まず守備の隊形を整えるやり方だ。こうして守備組織を整えてから、組織的なプレッシングを開始する。

 この場合、ミドルサード(ピッチの真ん中)へ後退し守備ブロックを作るケースと、ディフェンディングサード(自陣ゴール前)までリトリートする2パターンがある。

敵のビルドアップへのプレスは?

 では局面が落ち着き、相手チームが最終ラインからビルドアップしようとしているときにかけるプレッシングの位置はどうか? ご推察のとおり、これはボールを失い守備に回った自分たちのチームが「どこまでリトリートしたか?」によって決まる。

 例えばミドルサードへ後退した場合、ボールを保持した敵CBに対し、自軍のFWがミドルサードの敵陣側からプレッシングを開始するのがふつうだ。このときFWとMF、DFが協力し組織的にプレスをかけ、自分たちがボールを奪いたいゾーンへ相手ボールを誘導してハメる。

 以上、ボールを失ったその場でプレスをかけ始めるのか? それともリトリートするのか? リトリートするならどのゾーンまでか? これらのプレー原則は監督が決めることだ。「うちのチームはこれで行く」。それがそのチームの守備のコンセプトになる。

 もちろんケースバイケースで選手が状況に合わせて臨機応変に対応すべき局面もあるが、基本的には以上の守備の原則は西野監督がきっちり決めておくべきだ。そこのオーガナイズがなければサッカーにならない。

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