すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【裏・西野ジャパン】武藤、柴崎、大島を生かす可変システムで勝て

2018-06-03 08:48:44 | サッカー日本代表
柴崎と大島の縦パスが局面を打開する

 虎は死んで皮を残すというが、ポジティブに考えれば西野監督は武藤と柴崎、大島の3人をワールドカップという舞台に送り出しただけでも価値はあった。柴崎と大島が急所をえぐる縦パスを出し、前線で武藤がカラダを張るーー。実際、チームが低調なパフォーマンスに終始したあのガーナ戦でも、彼ら3人の存在感は傑出していた。

 ならば日本が勝つためのキモは、攻撃力があり、かつ粘り強い守備もできる大迫と武藤、原口、柴崎、大島、長谷部を中盤から前線にかけて同時起用することだ。そうすればメンバー交代なしでも点がほしいときには前がかりになるだけでゴールを狙えるし、逆にリードして逃げ切りたいときには全体が引き気味でやればいい。西野監督の口グセの「対応力」のある戦い方を実現できる。

 例えば、彼らを最大限に生かした布陣は以下の通りだ。

【3-4-2-1】

             ◯大迫

      ◯原口         ◯武藤



   ◯長友   ◯大島   ◯柴崎   ◯酒井(宏)


        ◯槙野      ◯吉田

             ◯長谷部


             ◯川島


 長友と酒井(宏)による縦への攻撃力をフルに活かせる3バック・システム。ボールを保持したリベロの長谷部は、2シャドーの原口や武藤に正確な放射状のロングパスを出せる。加えてこのフォーメーションの優れた点は、試合展開に応じてリベロの長谷部が1列上がりアンカーに変身すれば、以下の図のように大島、柴崎をインサイドハーフとし前線がワイドに開く4-3-3へカンタンに変化できることだ。

 例えばもし対戦相手が1トップでくれば、日本のCBは2枚でいいからリベロの長谷部が前へ出てアンカーを務める。あるいは試合の立ち上がりは極力失点しないよう3バック(5バック)で慎重に入り、もし日本が先に失点して点がほしい局面になれば4-3-3に変化する、という考え方もできる。このように相手の戦い方や戦況に応じて柔軟に対応できる点が魅力のフォーメーションだ。


【4-3-3】

             ◯大迫
    ◯原口               ◯武藤

          
     
         ◯大島    ◯柴崎


             ◯長谷部

    ◯長友                ◯酒井(宏)

         ◯槙野    ◯吉田


             ◯川島


 最上段に挙げた3-4-2-1から、リベロの長谷部が1列上がり他の選手が4バックを形成する可変システム。こう変化すれば長谷部がアンカー、大島、柴崎がインサイドハーフを務める3センターを組める。これならバイタルエリアが空きにくく、かつ大島と柴崎がより攻撃的にプレイできる。

 ガーナ戦では、前線でポストになる大迫への縦パスのコースを2シャドーがふさいでしまっていた。だが両ウイングがワイドに張るこのフォーメーションなら、3センターとワントップ間が直通のホットラインで結ばれる。これで相手ボールになれば大島と柴崎が敵の中盤の選手をチェックし、そこから後ろにこぼれてくる敵を長谷部がスイープする。


【4-1-4-1】

            ◯大迫
           

   ◯原口   ◯大島   ◯柴崎   ◯武藤


             ◯長谷部

    ◯長友               ◯酒井(宏)

         ◯槙野   ◯吉田


            ◯川島


 上で挙げた3-4-2-1や4-3-3は、この4-1-4-1にもカンタンに変化できる。このフォーメーションのカギはSHだ。守備に回れば原口、武藤の両SHが上下動して相手SBのオーバーラップや敵SHを牽制する。逆に日本のボールになればSHが前へ出る。SHの運動量しだいで攻撃的にも守備的にもなる柔軟な形だ。スタミナがありアグレッシブな原口と武藤なら十分に機能するだろう。


【4-4-2】

         ◯武藤   ◯大迫


  ◯原口                 ◯岡崎(柴崎)


        ◯長谷部   ◯柴崎(大島)


   ◯長友                 ◯酒井(宏)

         ◯槙野   ◯吉田


            ◯川島


 この武藤と大迫の2トップも魅力だ。ちなみに冒頭にあげた3-4-2-1も、前線にいるワントップ2シャドーの3枚をトップ下+2トップに組み替えれば2トップは実現できる。武藤はポストプレイもできるので、武藤がクサビのボールを落として大迫がシュートに行く(その逆もありえる)相互補完の関係が成立する。大迫が下がってボールを受け、右サイドの機敏な岡崎が裏抜けを狙ってもいい。あるいは長谷部と大島をボランチで組ませ、柴崎を右サイドで使うテも有力だ。

 もし敵にボールを奪われ、相手が最終ラインからビルドアップしようとする局面になれば、敵の2CBに武藤と大迫の2トップがプレスをかける。ワンサイドカットしかできないワントップとくらべ、2トップなら相手の2CB同士の横パスも牽制できるため前からハメやすい。


【4-2-3-1】

            ◯大迫


   ◯原口(宇佐美)   ◯柴崎(香川、本田)   ◯武藤


        ◯長谷部    ◯大島(柴崎)

  ◯長友                 ◯酒井(宏)

         ◯槙野   ◯吉田


            ◯川島


 オーソドックスだが、ハリル時代に慣れ親しんだ4-2-3-1を組むならこういう感じ。本田は(中央での守備の不安はあるが)右サイドよりトップ下のほうが明らかにいい。香川もトップ下がいちばん得意なので2人は排他起用になる。本田と香川を同時に起用すると、たちまち「自分たちのサッカー」を繰り広げるので危険なのだ(笑)

 要するに問題は、西野監督が選んだ本田、香川、宇佐美という足元でばかりボールを欲しがる使いにくい3枚のコマをどう生かすかだ。彼らを起用するなら、例えばリードされて点がほしいときに大迫に代えて本田をCFで途中投入し、宇佐美、武藤の両WGと組ませる3トップはありえる。

 逆に試合の頭から引き分け含みで戦うとき(例えばコロンビア戦)や、日本がリードし残り時間を守備的にやりたい場合には前線に岡崎を途中(または先発)起用する。岡崎はスピードのある裏抜けができるほか、ワントップでの守備に回れば中間ポジションを取り相手MFへのパスコースを切りながらボールを保持する敵CBにプレスをかけるのがうまい。守備の芸術家だ。

 なお、ゾーンディフェンスは苦手だが対人プレイにはめっぽう強い山口蛍を、ハメス・ロドリゲスやマネ、レバンドフスキら相手のエース封じにマンマークでつけるという考え方もありえる。

 まとめると、裏・西野ジャパン最大のキーマンは可変システムの核になる長谷部だ。そして彼の周囲ではイキのいい武藤と柴崎、大島がアーティスティックに攻撃のタクトを振る。2トップにすれば大迫と武藤の共演も見ものだ。

 どうです?

 日本はぜんぜん負ける気しないでしょ?

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