すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【サッカー日本代表】2016年に直したい8つの悪いクセ

2015-11-27 07:20:07 | サッカー戦術論
(1)強くて速いパスを身につける

 Jリーグが始まったころと比べれば、日本人選手のトラップの精度は格段に高まった。だが、なかなか改善してないのがパススピードの遅さだ。

 日本人選手のパスは「ポーン、ポーン」とピッチを弾みながら進む弱いパスが多い。これでは速い攻撃はできないし、相手にパスカットされてしまう確率も高い。日本人選手はもう何十年も前から、この悪いクセを直せてない。おそらく育成年代から意識づけられてないからだ。

 例えばヨーロッパの選手は数十メートルもの長い距離を、平気でインサイドキックを使い強くて速いグラウンダーのパスを「ズドン」と出す。だから速い展開ができるし、相手選手が密集した中をカットされずにパスを通せる。この日本との差はとてつもなく大きい。

(2)クロス上手になる

 日本には良いクロッサーがいない。だから「あいつ(SB)にパスを出しても宇宙開発のクロスで終わるから」などと、同サイドのSHは上がったSBを使ってやらない。で、サイド攻撃が機能せず、SHがボールを持つとドリブルで自らカットインしてシュートか、あるいは中央突破を狙うケースが多い。すべてはクロスの質が悪いゆえの悪循環だ。

 一方、クロスの受け手の側の動きも悪い。クロスが上がる瞬間に、ゴール前で3~4人の選手が一直線に並んで棒立ちになっていたり、ポジショニングが重なることが多い。そうではなく、ニアに詰める、ファーに回り込む、ゴール前から降りる動きでシュートのリバウンドを狙うなど、中の選手が動きながらボールを迎えたい。

 また同じクロスを入れるのでも、山なりの大きなボールでファーを狙う、あるいは相手GKとバックラインの間に強くて速いグラウンダーのボールを入れるなど、ゴール前の状況に合わせてクロスにバリエーションをつけたい。

(3)SBをうまく上がらせろ

 CBがボールを保持したとき、2人のCBの距離が近すぎる。両CBはもっと距離を取り、SBを自然に前へ押し出すようなポジショニングをしたい。場合によってはボランチの1枚が最終ラインに降り、ビルドアップに加わることもありうべし。

(4)上がったSBを使うコンビネーションを磨け

 オーバーラップしたSBに、同サイドのSHがタイミングよくパスを出す連動性を身に付けたい。ボールをキープしたSHと、上がったSBの連携を自動化したい。「この形になれば必ずボールがそこに出る」オートマチズムをカラダに覚えさせろ。

(5)足元にもらうのでなく、走り込んでスペースでもらえ

 日本人選手はオフ・ザ・ボールの動きが絶対的に足りない。ラクをし、その場に棒立ちで足元にばかりパスを欲しがる。そうではなく、もっとボールを引き出す動きが絶対に必要だ。

 フリーになる動きやスペースを作る動き、具体的にはダイアゴナル・ランやボールに対して引いてくる動きなど、パスをもらうための動きをするクセをつけたい。

(6)ビルドアップ不全症を直せ

 上の(5)とも関係するが、顔を出す動きがないため最終ラインからのビルドアップに苦しむ。たとえDFからボランチにボールが出ても、またバックパスでボールが返ってくることも多い。前の選手がフリーになる動きをしなければビルドアップはできない。

(7)遅攻オンリーから抜け出す

 ボールを奪ったら、いったんバックパスや短い横パスをしてひと休み。時間を置きスローダウンして相手の守備の体勢が整うのをわざわざ待ってやってから、遅攻にしてしまう悪いクセを直したい。ボールを奪ったら周りの選手が素早く動き出し、1本目のパスをできればタテに通したい。

 守備とは、いかに自分たちの「バランスを保つ」かがキモ。逆に攻撃は、自分たちから「バランスを崩す」ことで行うものだ。つまり敵がボールを失った瞬間は、相手のバランスが崩れているとき。日本にとってはカウンターのチャンスだ。そこで速く攻めたい。

 にもかかわらず今の日本は攻守の切り替えが遅く、何でもかんでも遅攻にしてしまっている。「守」から「攻」への切り替え、すなわちポジティブ・トランジションを改善したい。

(8)ピッチをワイドに使う

 ショートパスを主体に攻めたザックジャパンからの流れで、日本の選手は大きな展開ができずにいた。だがここへきて変化の兆しがある。そのひとつがSBから、逆サイドに開いたウイングへ斜めのボールで大きくサイドチェンジするプレーである。アジア2次予選最大の収穫のひとつがこれだ。

 ボランチの位置から放射状にダイアゴナルなパスを出せる柏木の登場と同時に、それに感化されるかのようにSBやCBも逆サイドのウイングへ意欲的にサイドチェンジのロングボールを入れるようになった。

 いままでの日本はショートパスをつなぐだけの「小さいサッカー」だった。だがこのところダイアゴナルな浮き球を使った「大きなサッカー」ができるようになりつつある。これをぜひ定着させたい。あとは状況に応じて、ショートパスとロングパスをうまく織り交ぜていくことが大事だ。

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