香川と宇佐美は絶対に外されない
目前に迫ったシンガポール戦、カンボジア戦を戦う日本代表メンバーが5日、発表された。選ばれた選手、外された選手の顔ぶれを見ると、ハリルの言行不一致と隠れた本音が透けて見える。
いや、ハリルは今の日本代表の問題点をわかっている。欠点を修正する処方箋も用意している。彼の言うこと、やることを見ればそれはわかる。トータルでいって良い監督だ。彼に必要なのは何より時間である。だからあまり批判したくないのだが、ただし就任からずっと同じ問題を引きずっているように見える。それは掲げる理想と、やってることのギャップである。
例えばハリルは盛んにデュエル(決闘)が必要だ、デュエルできる選手を選ぶ、という。球際の粘りがあり、泥臭くカラダを入れて力強く相手と競り合えるーー。そんな選手を理想としている。ちょうど激しいプレスのかけ合いになった、先日のイラン戦のような試合でカラダを張れる選手である。
だが現実はどうか? 競り合いをイヤがるお上品な香川と宇佐美が相変わらず選ばれている。ハリルは彼らを絶対に外さない。あまりにも能力が高すぎるため、弱点があっても外せないのだ。
香川は、かつての中村俊輔とまったく同じ致命的な欠点を抱えている。自分には「カラダがない」ため、敵との強い接触プレイを避けるクセだ。身体能力で競うと自分が負けてしまうからである。
で、相手が強くカラダをぶつけてくると、早めに倒れてしまう。周りから見るといかにも競り合っているように見えるアリバイ・プレイをしている。またプレスをかけるときも相手との距離を詰めないし、「ボールを奪おう」という気迫が見えない。アリバイ的にコースを切っているだけだからだ。
サッカー経験のある人ならよくわかるだろうが、この種のアリバイ・プレイをするのは決まって技術のある選手に多い。
ある選手は「自分はうまいんだ。だから競り合いで体力を消耗するなんて損だ。自分が力を発揮すべき場面はほかにある」と考えてアリバイ・プレイをする。香川や宇佐美は、おそらくこのタイプだろう。
例えば相手が激しくプレスをかけてきたあのイラン戦、宇佐美は接触プレイを避け、攻撃面では完全に消えていた。得意のドリブルもまったく仕掛けようとはしなかった。反面、守備では貢献しているように見えたが、よく観察するとアリバイ守備が随所に見られた。
つまり本心から「この局面ではカラダを張って守らなければピンチだ」と判断してやっているのでなく、おそらく監督から守備をやれと言われて仕方なく、守備しているように見せているだけだ。
いってみれば子供と同じである。「赤信号で渡ってはいけない。ルールは守るべきだ」と考えて道を渡らないのでなく、先生にしかられるから渡らないだけだ。
一方、香川のようにガタイがなく、フィジカルで勝負すると自分が負けてしまうと自覚している選手も接触プレイをイヤがり、避けてしまう。で、アリバイ・プレイを演じるーー。
深刻な問題である。
技術がないだけなら、練習すれば身につけられる。だが香川と宇佐美の場合は心構え=メンタルの問題だけに、解決するのがむずかしい。
本来なら、イラン戦のような不甲斐ない消え方をした直後の代表選考で、懲罰的にズバッと代表メンバーから外してしまえばいいのだ。その種の非情さを監督が見せれば、本人たちはハッと目が覚め必死にカラダを張るようになるだろう。
だがハリルは、それをやらない。
一方、米倉のような外しやすいクラスの選手はカンタンに外し、代わりに藤春を入れて見せる。で、「藤春は厳しいレギュラー争いに勝ったのだ」と胸を張り、まるで歌舞伎役者のように口上を述べる。いかにも自分は監督として適正な競争を促しているぞ、と演技して見せる。
だがハリルには、香川や宇佐美のような「大物」を外す勇気はない。
結果、レギュラー完全固定のぬるま湯が今後も続いて行く。結果的に香川と宇佐美は立ち直るチャンスを奪われ、ポジションが保証されたヌルい環境の中、その程度の選手で終わって行くのだ。
香川と宇佐美は、替えのきかない傑出した能力の持ち主だ。だからこそ彼らが機能するかどうかは、ハリルジャパンのゆくえを大きく左右する。ゆえに彼らの問題点が改善するまで、根気よくそれを指摘し続ける必要がある。もちろん彼らに恨みがあるわけではない。
日本がW杯決勝トーナメントの常連になるためだ。
目前に迫ったシンガポール戦、カンボジア戦を戦う日本代表メンバーが5日、発表された。選ばれた選手、外された選手の顔ぶれを見ると、ハリルの言行不一致と隠れた本音が透けて見える。
いや、ハリルは今の日本代表の問題点をわかっている。欠点を修正する処方箋も用意している。彼の言うこと、やることを見ればそれはわかる。トータルでいって良い監督だ。彼に必要なのは何より時間である。だからあまり批判したくないのだが、ただし就任からずっと同じ問題を引きずっているように見える。それは掲げる理想と、やってることのギャップである。
例えばハリルは盛んにデュエル(決闘)が必要だ、デュエルできる選手を選ぶ、という。球際の粘りがあり、泥臭くカラダを入れて力強く相手と競り合えるーー。そんな選手を理想としている。ちょうど激しいプレスのかけ合いになった、先日のイラン戦のような試合でカラダを張れる選手である。
だが現実はどうか? 競り合いをイヤがるお上品な香川と宇佐美が相変わらず選ばれている。ハリルは彼らを絶対に外さない。あまりにも能力が高すぎるため、弱点があっても外せないのだ。
香川は、かつての中村俊輔とまったく同じ致命的な欠点を抱えている。自分には「カラダがない」ため、敵との強い接触プレイを避けるクセだ。身体能力で競うと自分が負けてしまうからである。
で、相手が強くカラダをぶつけてくると、早めに倒れてしまう。周りから見るといかにも競り合っているように見えるアリバイ・プレイをしている。またプレスをかけるときも相手との距離を詰めないし、「ボールを奪おう」という気迫が見えない。アリバイ的にコースを切っているだけだからだ。
サッカー経験のある人ならよくわかるだろうが、この種のアリバイ・プレイをするのは決まって技術のある選手に多い。
ある選手は「自分はうまいんだ。だから競り合いで体力を消耗するなんて損だ。自分が力を発揮すべき場面はほかにある」と考えてアリバイ・プレイをする。香川や宇佐美は、おそらくこのタイプだろう。
例えば相手が激しくプレスをかけてきたあのイラン戦、宇佐美は接触プレイを避け、攻撃面では完全に消えていた。得意のドリブルもまったく仕掛けようとはしなかった。反面、守備では貢献しているように見えたが、よく観察するとアリバイ守備が随所に見られた。
つまり本心から「この局面ではカラダを張って守らなければピンチだ」と判断してやっているのでなく、おそらく監督から守備をやれと言われて仕方なく、守備しているように見せているだけだ。
いってみれば子供と同じである。「赤信号で渡ってはいけない。ルールは守るべきだ」と考えて道を渡らないのでなく、先生にしかられるから渡らないだけだ。
一方、香川のようにガタイがなく、フィジカルで勝負すると自分が負けてしまうと自覚している選手も接触プレイをイヤがり、避けてしまう。で、アリバイ・プレイを演じるーー。
深刻な問題である。
技術がないだけなら、練習すれば身につけられる。だが香川と宇佐美の場合は心構え=メンタルの問題だけに、解決するのがむずかしい。
本来なら、イラン戦のような不甲斐ない消え方をした直後の代表選考で、懲罰的にズバッと代表メンバーから外してしまえばいいのだ。その種の非情さを監督が見せれば、本人たちはハッと目が覚め必死にカラダを張るようになるだろう。
だがハリルは、それをやらない。
一方、米倉のような外しやすいクラスの選手はカンタンに外し、代わりに藤春を入れて見せる。で、「藤春は厳しいレギュラー争いに勝ったのだ」と胸を張り、まるで歌舞伎役者のように口上を述べる。いかにも自分は監督として適正な競争を促しているぞ、と演技して見せる。
だがハリルには、香川や宇佐美のような「大物」を外す勇気はない。
結果、レギュラー完全固定のぬるま湯が今後も続いて行く。結果的に香川と宇佐美は立ち直るチャンスを奪われ、ポジションが保証されたヌルい環境の中、その程度の選手で終わって行くのだ。
香川と宇佐美は、替えのきかない傑出した能力の持ち主だ。だからこそ彼らが機能するかどうかは、ハリルジャパンのゆくえを大きく左右する。ゆえに彼らの問題点が改善するまで、根気よくそれを指摘し続ける必要がある。もちろん彼らに恨みがあるわけではない。
日本がW杯決勝トーナメントの常連になるためだ。