すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【匿名論争始末記】トラックバックスパムと議論の「呼びかけ機能」のあやうい関係

2005-05-26 21:08:30 | 実名・匿名問題
匿名・実名論争では、ひとりでも多くの方に議論を呼びかけるため、私はスパムチックなトラックバックの使い方をした。批判を覚悟の狼藉だったが、幸い趣旨に賛同していただけ、たくさんのトラバと有意義なコメントを頂戴した。ブログが議論を喚起する力にはまったく脱帽だ。

 私のたくらみの趣旨と経緯については、ニュースサイトの「RBB TODAY」で私が連載しているコラムにくわしく書いた。もしご興味のある方は、そちらもあわせてお読みいただけると幸いだ。


 さて今回、考えさせられたのはトラバの使い方だ。たとえば匿名論争について、「Aさんならきっと洞察力ある論述をされるだろう」、「Bさんならご自身の立場柄、参考になる体験談が聞けるにちがいない」と思ったとしよう。

 で、Aさん、Bさんに意義のある意見表明をしていただければ、議論するためのいいタタキ台になる。みんなでそれをもとに論議を深めることができる──。こう考えたとする。

 この場合、私はいわば作家さんに原稿を依頼する編集者みたいなものだ。「依頼」とは、匿名問題について私がエントリーを立て、みなさんにトラバを送ることである。つまりトラバで議論を呼びかけるのだ。

 ところがこの場合、Aさん、Bさんが匿名・実名問題について過去に書いたことがなければ、トラバを送れないことになる。強引にやったらトラックバックスパムだ。

 さりとてテーマには公益性があり、Aさん、Bさんの意見表明はきっと社会的な利益になるはずだ……。で、前述のコラムに書いた経緯とやり方で、私は「やっちゃう」ことにした。

 さて私の行為はいわば「非合法」なわけだが、みなさんはどう思われるだろうか?

 上記のコラムの文中では、匿名問題を取り上げているいくつかのブログを紹介した。そのうちのひとつ、「むだづかいにっき♂」のえっけんさんが当のコラムをお読みになり、さっそくエントリーを立ててご意見をくださった。少し長くなるが、一部を引用しよう。

『記事全文を読むと、スパムとされないための工夫はいろいろとされており、こういうやり方であれば僕は不快感は感じないものの、僕は記事の話題と無関係なトラックバック・コメントは歓迎しないのです。「知的で洞察力があるからご意見を聞きたい」と言われたとしたら、まぁ悪い気はしないだろうけれど、その話題に関しては不得手な分野という事もあるだろうし、そうしたコメントがあることで、それまでのコメントの流れを断ち切ってしまうような気がします(もっとも松岡さんのように最新記事の感想をも書く、というのならば、最大限の配慮が感じられ、悪い気はしませんが、そこまで考えて「呼びかけ」を行う人は、一体どれくらいいるだろう?)』

 はい、わかっております、えっけんさん。だからえっけんさんには、呼びかけのトラバを送らなかったんです(笑)。

 私は「むだづかいにっき♂」をよく読んでいるので、えっけんがトラバに対してどんな考えをお持ちなのか知っていた。

 で、「えっけんさんはこの方法はヨシとしないだろうなあ」と思ったので、ご意見は拝聴したかったが呼びかけトラバは送らなかったのだ(すでにえっけんさんは何度か匿名問題を取り上げていたから、というのもある)。

 また、えっけんさんがおっしゃることはすべて正論である。そんなわけで微妙な問題をはらみながらも、みなさんからは匿名・実名についていろんなご意見をいただき、私自身もとても勉強になった。トラバ、およびコメントをくださった方々には、この場を借りてお礼を申し上げたい。

 いずれにしても今回の件で、私はブログのもつ途方もない可能性に驚かされた。アメリカじゃ、「ブログ廃人」が続出してるっていうけど、わかる気がするなあ。いやホントに。

 とはいえ今回は、たまたまお叱りを受けなかっただけだ。最後に自戒を込めて、コラムの方に私自身が書いた結論を付記して懺悔の記録を終えさせていただく。

「もちろんトラバに対する考えは人それぞれだ。また公共性があるからといって、みんながやたらに対象エントリーとは無関係なトラバを打つようになったらカオスである。あくまでトラバを送る先は『他人の家』だってことを忘れてはいけない。最終的にはトラバを送られた側が、それを許容するかどうかの問題なのだろう」

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(追記)結論部分を付記した(5/27)
コメント (19)
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