えくぼ

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歌人が俳人に

2015-01-22 09:01:18 | 歌う

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           ☂ 傍らにいてくれるなら寒の雨    松井多絵子  

 今朝のNHK朝ドラのマッサンは余市に来ている。ウイスキー造りに最適な場所として長年こだわり続けた余市、積丹半島の余市川の清流、空気や霧が美味しいウイスキー造りに必要らしい。いまNHK俳句第三週の講師・櫂未知子はこの余市の出身。若い頃から短歌を詠んでいた。「音」「玲瓏」「心の花」など短歌の著名な結社に所属していたそうだが、今は俳人として活躍している。短歌から俳句へ移った人、俳句から短歌へ移った人は多い。俳句か短歌か迷いながらのままは私だけではないのだ。私の場合は投稿の結果、打率がよかった短歌に。櫂未知子の俳句は短歌的な情念が作品に生きているように思える。

  ✿ シャーワー浴ぶくちびる汚れたる昼は

 櫂未知子の代表句らしい。世界一短い短詩の俳句に男と女のなまなましい関わりが鮮やかに表現されている。この素材が短歌なら下句は詠みにくい。俳句だから成功したのだ。

  ✿ 春は曙 そろそろ帰ってくれないか

  ✿ 佐渡ヶ島ほど布団を離しけり

 春は曙 、平安時代の気分になっている私は戸惑う。朝になると世話のやける男がお荷物になる作者。生活力のある強い女のホンネだろうかか。面白い、二句目は
佐渡ヶ島が利いている。就寝のときの二人の布団を少し離す。櫂が何歳の頃の句か。

  ✿ 雪まみれにもなる笑ってくれるなら

 こんな句を贈られたら男は喜ぶか、いい気になって威張りだすか、男ごころを試すことのできる句だ、短歌は長すぎるから相手のこころを掴み損なう。殺し文句は短い方が効果があるのだ。櫂未知子の俳句は私にまた浮気をそそのかす。「早く俳人に変わりなさい」と。

                                 1月22日  松井多絵子