☀「朝日歌壇10月28日」☀
秋が深まるほど淋しさも深まる。寒さは心も寒くする。今週は一人暮らしの老人の歌二首を。
<永田和宏選・第二席>
{評} 萩のこぼれ花を掃き寄せる時、不意に一人であることの寂しさを実感する。
✿階段にこぼれし萩の花掃きてひとりのわれのひと日のはじまり (香取市) 鎌形 てる
※ 細い枝に房状に咲く萩は秋の七草。赤紫も白い萩も小さな花。風が吹けば散りやすいい花だ
その「こぼれ花」を掃き寄せる朝、「ひとり」からはじまる鎌形さんの今日の淋しさ秋の寂しさ。
<馬場あき子・第二席>
{評} 媼のくらしもどこか懐かしい。
✿一人だが亀三匹と暮らしいて意志の疎通もありという媼 (門真市) 山下 和子
※ 亀は堅い甲羅に覆われていて頭、尾、足しか見せない生きものだ。亀たち3匹と暮らす
老女はそれなりに楽しいのだろう。その老女から「意志の疎通」という言葉を聞いた山下さん
は戸惑ったのではないか。もうじき落葉し、一人暮らしのさみしさが身に染みる頃となる。
10月28日 「日本は四季があるからいい」と言う方はまだ若いですね。 松井多絵子
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