・・・ 京都の二つの塔 ・・・
JR京都駅の北側に地上100mの京都タワーがある。開業して50年。鉄骨は一切使用せず特殊鋼板シリンダーを溶接でつなぎ合わせたという円筒型の塔である。半世紀も前に私は1度展望台に上ったが記憶は淡い。京都にはもう一つ塔がある。短歌結社の「塔」である。京大ドイツ文学の教授だった故高安国世が1954年に創設。京都タワーより10年早くできた塔である。永田和宏が主宰だったが、今年の1月から吉川宏志が主宰になった。
吉川宏志は1969年宮崎県生まれ。歌集『青蝉』(歌人協会賞)『海雨』『燕麦』(前川佐美雄)賞)など6冊。現代短歌新聞1月号掲載の近詠11首より6首を抄出。
雪はこぶ雲 吉川宏志
初めての投票に行く子とともに冬の比叡の尖りを見上ぐ
卒業後はじめて来たと冬日差す校庭見ており息子は二十歳
雪はこぶ雲とおもえりわが町に落とすことなく北山を越ゆ
原発はふたたびうごきだすだろう鈍痛の如き未来を感ず
父母は誰に投票したのだろう 夕闇に似て訊きしことなし
小高さん、日本は大変なんだよと言いたき空に綿虫が飛ぶ
元旦の京都に雪が降ったとか、雪はこぶ雲は京都に雪を落としたのですね。「塔」短歌会
へのお年玉でしょう。よいお年になりますように。 1月3日 松井多絵子
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