HARU 「朝日歌壇4月1日」HARU
~春がはじまる歌~
今日から4月。朝日歌壇にはまだ桜が咲いていない。春の気配のする4首を取り上げてみる。
<馬場あき子選>
★土起こし堆肥すきこむ男居て春の気配のそこかしこする (飯田市) 草田礼子
※雑草などを腐らせた肥料を土に埋める男を見ながら春の気配に胸が弾む、作者が見える
<佐佐木幸綱選>
★住み慣れて今年も「転勤なし」の報我が町となり5年目の春 (高石市) 中村玲子
※春先は移動の季。住み心地の良い町を離れなくてよい。五年目もいい春になりますように。
<高野公彦選>
★梅の花さくらんぼの花満開となりて廃屋花明りする (西予市) 大和田澄男
※廃屋を花が飾っている。春が来るのに明かりの点らない家。さびしいですねえ。
<永田和宏選>
★庭下駄をひっくり返し四肢のばす●してゐた蛙のめざめ (浜松市) 松井恵
※選者の「評」によれば●は冬眠のことらしい。冬眠から目覚めた蛙がはしゃいでいる。記号を詠み込んだ気の利いた一首だと思う。春が早くくる処と遅れてくる処。朝日歌壇を読みながら日本列島のさまざまを知る。 4月1日真昼 松井多絵子
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