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佐藤佐太郎短歌賞は前田康子

2018-12-05 13:41:41 | 歌う
昨日の6時から始まった「現代短歌社」の3賞の授賞式、祝賀会は9時まで続き華やかな宴だった。目白駅前のリュド・ヴィンテ一ジという会場はメルヘン的で現実を忘れた3時間った。今日は「佐藤佐太郎短歌賞」の前田康子についてお知らせする。

💐 前田康子は1987年「塔」「京大短歌会」に入会、編集部を経て現在「塔」選者。この度の受賞『窓の匂ひ』は祖父母の住んでいた古い家の窓、庭に面していて料理の鍋に花びらが入ってくることもあったらしい。その何十年も前のことが歌になり歌集のタイトルになったとは、不思議ですね。

秋葉四郎選考委員
🔘朝捨てし玉子の殻にうっすらと何か溜まりて光る日暮れは

私は茂吉より佐太郎が好きなのにこの歌は知らなかった。秋葉選考委員は
「前田さんは佐太郎短歌をよく読んでくれている」「歌人前田康子にどっしりした基盤を感じる」と。

大島史洋選考委員
🔘小さき地震に針のとびたることもなし銀のCDまわり続けて

🔘 地に立てば踝めり込む感じしてはるかみごもりいし夏の日よ

日常が丁寧にうたわれており味わい深い歌集であると「窓の匂ひ」を評価している。第4回までは男性が受賞者であったが第5回は女性であることは喜ばしい。この賞が歌壇のしがらみにとらわれることなく、自由な、すばらしい賞として育ってほしいと願っている。

小島ゆかり選考委員
『窓の匂ひ』は読むほどにひたひたと胸にさざなみが立つ。
🔘採血され腕に小さくあきし穴すぐにふさがり午後を歩めり
🔘骨格だけ大きな息子だったのだ近寄ればすうと抜ける秋風

女性、母親として小島ゆかりは『窓の匂ひ』に共感している。「まぎれなく、たった一人の人生を生きる作者」の歌は身にしみるのだ。

永田和宏選考委員
「どこか良質なものを持ち続けている」と近くで長い間見てきた、師というより兄、時には父のような。
🔘『星宿』の佐藤佐太郎気弱くあゆみけりその歳さえも父母すぎて
前田康子の歌人としての現実と新たな世界へ向かう時期の「佐藤佐太郎賞」、💐おめでとうございます。

次は第六回現代短歌社賞 門脇篤史「風に舞ふ付箋紙」 です。