軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

山野で見た鳥(4)小さな三きょうだい

2020-04-10 00:00:00 | 野鳥
 手元にある「日本の鳥550-山野の鳥」(2000年 文一総合出版発行)という写真による鳥類目録を眺めていると、各項の欄外に、大まかな大きさの目安が、一般的な種と比較して記述されている。例えば、ハトくらい、ムクドリくらい、スズメより大きい、といった具合である。そこに、さらに「日本で最も小さい鳥の一つ」とか、「日本で最も小さい」と書かれた種がいる。前者はキクイタダキのところに、後者はミソサザイの項にそのように書かれている。そこで、どの種が一番小さいのだろうかと思い、改めてウィキペディアで調べてみると、ミソサザイの所には、「日本の野鳥の中でも、キクイタダキと共に最小種のひとつ」とあり、キクイタダキの所には、「日本国内ではミソサザイ、エナガとともに最小の鳥の一種である」と書かれている。エナガはどうかと思い調べてみたが、こちらには大きさに関して日本で一番・・といった表現は見られない。

 そこで、いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育社発行)を基本として、図鑑に記載されている数字から大きさ比較をしてみた。次のようである。

日本で最も小さい野鳥三種の比較

 この比較表をみると、総合的にはミソサザイもずいぶん小さいが、一番小さいのはキクイタダキということになる。特に体重では断然キクイタダキが小さいようである。

 以前からこのことはそれとなく妻から聞いていたので、それなりに頭に入っていたが、このところの早朝の雲場池散歩でこの三種すべてに出会い、不十分ながら証拠写真を撮ることができたので、ご紹介しようと思う。それぞれのもう少しましな写真はいずれまた撮影できた時点でご紹介ということにしたい。

 三種の中でも、私が初めて見たのはキクイタダキである。エナガは神奈川県に住んでいた頃にも冬に公園で見かけたことがあるし、今も自宅周辺や雲場池で比較的よく見かける。ミソサザイは軽井沢に住むようになってからであるが、中軽井沢の湯川でちらと見かけていた。しかし、キクイタダキは話に聞くだけで、見たことはなかった。

 朝の散歩の際、雲場池脇の別荘の生垣の間で動いている小さな鳥を見つけて急いで撮影したが、遠かったこともあり、その場では種が全く判らず、帰ってから写真を拡大して妻に見せながら判定したところ、キクイタダキだろうということになった。 
 
 その時撮影した写真は下で紹介するように、大層不鮮明であった。しかし、よく見るとキクイタダキの名の由来である頭頂の冠羽部が黄色に見える。これは♀の色で、♂の場合この部分は橙色とされる。それで間違いないだろうということになった。

 エナガは雲場池周辺で比較的よく見かけ、小さな群れで素早く動き回っているが、それでも撮影は比較的容易に行える。一方、ミソサザイは、ごくまれにそれらしい姿を見るのだが、見かけたと思うとすぐに飛び去り静止することがほとんどなく、なかなか撮影させてもらえないでいた。しかし、キクイタダキを初めて見かけてからしばらくして、ようやくミソサザイの写真も撮ることができた。また、この日は再びキクイタダキの撮影もできたし、ミソサザイにはその後にももう一度出会うことができた。

 こうして、日本で最も小さい野鳥の写真が何とか揃ったので、今回3種をまとめて紹介できることになった。

 まず、キクイタダキの写真から。キクイタダキの名前の元になった頭頂部の黄色い冠羽が見える。

キクイタダキ 1/5(2020.3.5 撮影)

キクイタダキ 2/5(2020.3.16 撮影)

キクイタダキ 3/5(2020.3.16 撮影)

キクイタダキ 4/5(2020.3.5 撮影)

キクイタダキ 5/5(2020.3.5 撮影)

 「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育社発行)からキクイタダキを紹介する。

 「形態 オリーブ色のごくごく小さい鳥で頭央は橙黄色美麗。嘴峰9~10mm、翼長50~59mm、尾長35~43mm。頭上、背共オリーブ色で、頭央には、2本の黒条に挟まれた顕著な橙黄色部がある(♀はこの部分黄色)。翼には白帯と白はんとがある。
  生態 北海道、本州の亜高山帯の針葉樹林中で繁殖す。冬季はシベリア大陸からも多数渡来し、エナガ、シジュウカラなどの群れに混じって山すそや人里近くに来るものが多い。チリッ、チリッと細い声でなき、あまり人を恐れない。低木林や草原に生息し秋から冬にかけては小群をなす。なき声ビッピー、ビッピーと聞こえる。あまり人を恐れない。
  分布 北海道・本州・伊豆七島・四国・九州・対馬・種子島・屋久島。」

 次にミソサザイの写真。ミソサザイの名前の由来は面白い、妻が義父から聞いたというのだが、ミソ色のササイな鳥なのでミソサザイになったという。なんとも可哀そうな名前の由来ではある。

ミソサザイ 1/5(2020.3.16 撮影)

ミソサザイ 2/5(2020.3.16 撮影)

ミソサザイ 3/5(2020.3.16 撮影)

ミソサザイ 4/5(2020.3.16 撮影)

ミソサザイ 5/5(2020.3.16 撮影)

 「形態 ごく小型でかっ色。尾は短かい。嘴峰10~13mm、翼長45~54mm、尾長27~38mm、跗蹠16~19mm。上面は茶褐色で背以下尾に至るまで黒色の小さな横しまがある。眉はんは黄かっ色で不明瞭。下面は上面よりやや淡く下胸部以下には上面と同様の横しまが密在する。
  生態 夏期亜高山帯の森林中に多いが、低山帯で繁殖するものもある。登山道や谷川に沿って生息するものが多い。短い尾を立てて岩角や切株の上に止まりチョㇿㇿㇿッと高らかに美声でなく。冬期には山すそ地方に漂行し小川沿いのやぶや人家の生垣などにも飛来し、チョッ、チョッとなきながらやぶを潜行する。
  分布 北海道・本州・伊豆七島(大島)・四国に生息繁殖する。」

 最後はエナガの写真。こちらは柄の長いヒシャクのイメージから付けられた名前と聞く。体の大きさに比べ尾がとても長い。

エナガ 1/8(2020.3.3 撮影)

エナガ 2/8(2017.5.5 撮影)

エナガ 3/8(2020.3.11 撮影)

エナガ 4/8(2020.3.18 撮影)

エナガ 5/8(2020.3.17 撮影)

エナガ 6/8(2020.3.18 撮影)

エナガ 7/8(2020.3.5 撮影)

エナガ 8/8(2020.3.17 撮影)

 「形態 きわめて小さい鳥で白と黒とのまだら。尾が著しく長い。嘴峰6~8mm、翼長56~62mm、尾長72~84mm、跗蹠16~18mm。頭上、顔は白く幅広い黒色眉はんがある。背は灰黒色で白や淡ぶどう酒色の羽毛が混じる。下面はほとんど白い。♀♂同色。
  生態 平地、低山帯、亜高山帯の下部に至る森林中に各地に普通に繁殖す。チー、チー、ジュリ、ジュリとなき秋から冬にかけては群生して人里近くにも来る。
  分布 留鳥として本州各地に広く分布繁殖する。」

 キクイタダキとミソサザイはどちらもまともな写真を見ていただくことができなかったが、たまたま自宅にはこの2種をデザインしたカップ&ソーサーがあったので、その写真を紹介して埋め合わせをさせていただく。どちらも同じイギリス製のシリーズで、Royal Worcester 社の銘がある。底に、キクイタダキには’The Goldcrest’、ミソサザイには’The Wren’と英語名が記されている。

キクイタダキ(The Goldcrest)をデザインしたイギリス製カップ&ソーサー

キクイタダキのソーサー

ミソサザイ(The Wren)をデザインしたイギリス製カップ&ソーサー

ミソサザイのソーサー

【2020.5.3 追記】
 ある朝、少し先の枝にミソサザイがとまり囀りはじめた。その鳴き声は時々耳にしていたもので、今まで姿が見えず声の主が分からなかったが、ようやく分かった。
 
 それにしても体に似合わず大きな声で鳴く。写真を見ると精一杯声を出している様子がよくわかる。

美しく大きな声で鳴くミソサザイ 1/2 (2020.4.28 撮影)


美しく大きな声で鳴くミソサザイ 2/2 (2020.4.28 撮影)




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