昨年、2016年の春から、ヤママユ蛾の幼虫を飼育している。現在飼育しているのは、その子供たち、第二世代になる。
当初は孵化後の1齢から終齢の5齢幼虫まで、4回繰り返されるという脱皮、そして繭作りと羽化の様子を3D撮影することが主目的であったので、幼虫が餌のコナラの葉を食べる様子については、特に注意を払っていなかった。
幼虫が3齢位になると、それまでは葉の一部をかじっているようにしか見えなかったのが、葉の食べ方に特徴があることに気がついた。
4齢から終齢にもなると、一度に一枚の葉を食べてしまうようになるので、その食べ方の特徴がよくわかるようになる。なかなか几帳面で面白いのである。
腹脚でしっかりと枝につかまって、コナラの葉の基部の方から食べ始めるのであるが、中央の葉脈(主脈)の片側だけを先ず葉先の方まで食べてゆく。このときも、細い葉脈(側脈)に沿って食べようとする傾向がある。
片側を葉先まで食べてしまうと、今度は残った半分を葉の先のほうから食べ始めて、葉の基部に向かう。こうすることで、一枚の葉を残すことなく食べつくすことができる。幼虫の様子を見ていると、こうした本能的な行動に感心することがしばしば起きる。
葉を食べるこの行動で、もうひとつ驚いたことがある。妻が発見したのであるが、葉を食べ始めるときに、基部の葉柄を太さの半分くらいまでかじって、しなやかに、折れやすくなるように準備をしていることである。
こうすることで、幼虫自身が枝に留まったままで、葉を手繰り寄せるようにして食べることができるのである。この技には本当に感心してしまった。
まず、動画からのキャプチャー画像で、その様子を見ていただこう。
写真1.食べる葉を選ぶ(2017.7.22 撮影動画からのキャプチャー画像、以下同)
写真2.葉柄の一部を太さの半分くらいまでかじる。こうすることで葉は基部から折れ曲がるようになる。
写真3.葉の基部から主脈の片側を食べ始める
写真4.片側を半分まで食べた、側脈を意識しているように見える
写真5.葉先まで食べた
写真6.残り半分の葉を、今度は先の方から食べていく
写真7.どんどん食べ進める、今度は側脈を無視しているように見える
写真8.ここで少し一休み
写真9.残りは一気に食べてしまう
写真10.葉柄まできれいに食べる
写真11.満腹になったので枝にぶら下がって、得意のポーズで休憩
もし、葉を基部から食べ始めて、先の方に向かわないで、横方向に横断的に食べると先の部分を食べる前に落下させてしまうことになる。しかし、そうしたことはまず起きない。
ただ、幼虫がまだ小さいときには、何回かに分けて葉を食べるので、食べかけの葉が下に落ちているのを見かけることはあった。また、たくさんの幼虫を飼育している関係で、一枚の葉を2匹が同時に食べることがある。すると、葉の先のほうで食べている幼虫を、葉の基部の方で食べている幼虫が、葉ごと落下させるという「事故」も起きることがあった。
しかし、4齢くらいになると、食べては休み、糞をしてからまた食べ始めるという動作を数回繰り返して、1枚の葉から離れることなく食べてしまうし、終齢になり更に食欲が増してくるとこの映像のように、ほとんど一気に一枚の葉を食べるようになる。こうした習性は、どの個体もだいたい同じであり、こうした食べ方をしている。
葉柄まできれいに食べつくしてしまい、食痕をなくしているのは、食べかけの葉が見つかって、捕食者に存在を知られるのを防ぐための智慧なのかと思える。この几帳面さは、人間で言えばA型タイプかなということで妻と意見が合ったのである。
では、動画でこの様子をご覧ください。
コナラの葉を食べるヤママユの終齢幼虫(2017.7.22 30倍のタイムラプスで撮影)
当初は孵化後の1齢から終齢の5齢幼虫まで、4回繰り返されるという脱皮、そして繭作りと羽化の様子を3D撮影することが主目的であったので、幼虫が餌のコナラの葉を食べる様子については、特に注意を払っていなかった。
幼虫が3齢位になると、それまでは葉の一部をかじっているようにしか見えなかったのが、葉の食べ方に特徴があることに気がついた。
4齢から終齢にもなると、一度に一枚の葉を食べてしまうようになるので、その食べ方の特徴がよくわかるようになる。なかなか几帳面で面白いのである。
腹脚でしっかりと枝につかまって、コナラの葉の基部の方から食べ始めるのであるが、中央の葉脈(主脈)の片側だけを先ず葉先の方まで食べてゆく。このときも、細い葉脈(側脈)に沿って食べようとする傾向がある。
片側を葉先まで食べてしまうと、今度は残った半分を葉の先のほうから食べ始めて、葉の基部に向かう。こうすることで、一枚の葉を残すことなく食べつくすことができる。幼虫の様子を見ていると、こうした本能的な行動に感心することがしばしば起きる。
葉を食べるこの行動で、もうひとつ驚いたことがある。妻が発見したのであるが、葉を食べ始めるときに、基部の葉柄を太さの半分くらいまでかじって、しなやかに、折れやすくなるように準備をしていることである。
こうすることで、幼虫自身が枝に留まったままで、葉を手繰り寄せるようにして食べることができるのである。この技には本当に感心してしまった。
まず、動画からのキャプチャー画像で、その様子を見ていただこう。
写真1.食べる葉を選ぶ(2017.7.22 撮影動画からのキャプチャー画像、以下同)
写真2.葉柄の一部を太さの半分くらいまでかじる。こうすることで葉は基部から折れ曲がるようになる。
写真3.葉の基部から主脈の片側を食べ始める
写真4.片側を半分まで食べた、側脈を意識しているように見える
写真5.葉先まで食べた
写真6.残り半分の葉を、今度は先の方から食べていく
写真7.どんどん食べ進める、今度は側脈を無視しているように見える
写真8.ここで少し一休み
写真9.残りは一気に食べてしまう
写真10.葉柄まできれいに食べる
写真11.満腹になったので枝にぶら下がって、得意のポーズで休憩
もし、葉を基部から食べ始めて、先の方に向かわないで、横方向に横断的に食べると先の部分を食べる前に落下させてしまうことになる。しかし、そうしたことはまず起きない。
ただ、幼虫がまだ小さいときには、何回かに分けて葉を食べるので、食べかけの葉が下に落ちているのを見かけることはあった。また、たくさんの幼虫を飼育している関係で、一枚の葉を2匹が同時に食べることがある。すると、葉の先のほうで食べている幼虫を、葉の基部の方で食べている幼虫が、葉ごと落下させるという「事故」も起きることがあった。
しかし、4齢くらいになると、食べては休み、糞をしてからまた食べ始めるという動作を数回繰り返して、1枚の葉から離れることなく食べてしまうし、終齢になり更に食欲が増してくるとこの映像のように、ほとんど一気に一枚の葉を食べるようになる。こうした習性は、どの個体もだいたい同じであり、こうした食べ方をしている。
葉柄まできれいに食べつくしてしまい、食痕をなくしているのは、食べかけの葉が見つかって、捕食者に存在を知られるのを防ぐための智慧なのかと思える。この几帳面さは、人間で言えばA型タイプかなということで妻と意見が合ったのである。
では、動画でこの様子をご覧ください。
コナラの葉を食べるヤママユの終齢幼虫(2017.7.22 30倍のタイムラプスで撮影)