ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

諸塚ダム

2021-10-28 23:54:19 | 宮崎県
2021年10月18日 諸塚ダム
 
諸塚ダムは宮崎県東臼杵郡諸塚村家代の耳川水系柳原川にある九州電力(株)が管理する発電目的の中空重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編で誕生した九州電力は戦後の復興や高度経済成長による電力需要拡大に対処するため積極的な電源開発を進めます。
耳川水系では1955年(昭和30年)に上椎葉ダムと上椎葉発電所、翌1956年(昭和31年)に大内原ダムと大内原発電所が稼働、そして1960年(昭和35年)に同社初の揚水式発電所として諸塚発電所が完成します。
諸塚発電所と同時に建設されたのが諸塚ダムで、当ダムを上部池、既存の山須原ダムを下部池として最大5万キロワットの混合揚水式発電を行っています。
完成当時は揚水発電所としては日本最大出力を誇り、豊水期に一般水力、渇水期に一般水力および日周期揚水発電を行います。
諸塚ダムは九州で唯一の中空重力式ダムですが、通常中空ダムでは上流面に『タコ足』と呼ばれるスリットが施されます。しかし当ダムは下流面にも5本のスリットが入った下流面開放型を採用した希少な中空ダムです。
 
国道327号線から県道50号新塚原高千穂線に入り柳原川に沿いを約8キロ北上すると諸塚ダムに到着します。
一番の推しが下流面のスリットなんですが、木の枝が邪魔になって…
 
左岸の取水設備と管理事務所
1960年(昭和35年)竣工ということで取水設備はずいぶん大掛かり。
 
ダム名のついたバス停、宮崎あるあるです。
しかし付近に住宅もなく一体だれがこのバス停を利用するのか?
 
堤頂部を真上から俯瞰
ゲート部分がクランクになり下流側に張り出してます。
ダム湖は総貯水容量348万4000立米に対して有効貯水容量は104万1000立米とかなり堆砂が進んでいます。
 
上流面
水位が高く『タコ足』は確認できません。
 
ゲートはラジアルゲート1門。
 
低い位置から下流面を撮ってみます。
相変わらず木が邪魔。
堤体、導流壁、ゲートのハウジングの傾斜が統一された、ユニファイなデザイン。
 
スリット
正面から見てみたい。
 
中空ダムらしく堤頂部からスロープが始まっています。
 
天端
実はこの手前にゲートがあり、この先は立ち入りできません。
 
九州唯一の中空ダム、しかも下流面にスリットがあるのはここだけ。
ダムツーリズムに積極的な九電さんなら、せめてもう少し下流面が見えるように樹木を何とかしていただければ!

2824 諸塚ダム(1725)
宮崎県東臼杵郡諸塚村家代
耳川水系柳原川
HG
59メートル
149.5メートル
3484千㎥/1041千㎥
九州電力(株)
1960年


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