ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

三成ダム

2018-10-26 16:11:31 | 島根県
2018年10月13日 三成ダム
 
三成ダムは島根県仁多郡奥出雲町の斐伊川水系斐伊川上流部にある島根県企業局が管理する発電および砂防目的のアーチ式コンクリートダムです。
斐伊川は流路延長153キロ、流域面積2540平方キロの一級河川です。
上流域では江戸時代からたたら製鉄が盛んで、砂鉄採取過程の『かんなながし』と呼ばれる人為的な土砂流出が中下流域の洪水被害につながっており。土砂流出抑止が長年の課題となっていました。
一方戦後の復興による電力需要の増加に対処するため、島根県企業局は公営発電事業者として積極的な電源開発を推進していました。
1950年(昭和25年)に当時の建設省中国四国建設局(現国交省中国地方整備局)は斐伊川上流部へ直轄事業として砂防目的のダム建設に着手、これに島根県企業局が発電事業者として事業参加し1953年(昭和28年)に竣工したのが三成ダムです。
運用開始後、管理は島根県企業局に移管され、砂防目的のほか島根県企業局三成発電所で最大2830キロワットのダム水路式発電を行っています。
三成ダムは着工こそ宮崎県の上椎葉ダムに遅れたものの、竣工ベースでは日本初の本格的アーチ式ダムとなっています。
三成ダムは日本100ダムおよび土木学会選奨土木遺産に選定されています。
 
管理所前には土木学会選奨土木遺産認定プレートが埋め込まれた記念碑が建ちます。
 
三成ダムの説明板
この先ダムへの管理道路は立ち入り禁止となり管理事務所のゲートも閉まっています。
この案内板の下に管理事務所の電話番号があり、ここに電話をするとダムカードがもらえるとともにダム天端手前までの立ち入りを認めてもらえます。
 
管理道路を下るとすぐにダムが見えてきます。
 
この先のフェンスまでが立ち入り可能。
左右両サイドに土砂吐ゲートを備えています。
また左右両端は重力式、中央がアーチ式という独特のスタイル。
 
両側の土砂吐から放流しています。
 
よく見ると左岸の土砂吐は2門、右岸は1門
写真では分かりませんがそれぞれローラーゲートを備えています。
 
クレストには8門の洪水吐がありこちらもローラーゲートを装備。
 
ほぼ垂直の導流面。
 
左右両岸が重力式のため、個性的なスタイルのアーチダムとなっています。
叶うならダム下から見上げてみたいものです。
 
(追記)
三成ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1730 三成ダム (1423)
島根県仁多郡奥出雲町三成
斐伊川水系斐伊川
42メートル
109.7メートル
3438千㎥/1138千㎥
島根県企業局
1953年
◎治水協定が締結されたダム



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