ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

矢木沢ダム

2016-10-13 11:01:47 | 群馬県
2016年10月10日 矢木沢ダム 
 
矢木沢ダムは戦前から複数の事業主体によって計画されていましたが、水利権を巡り係争などから実現することはありませんでした。
そんな中1947年(昭和22年)のカスリーン台風により利根川流域では甚大な被害が発生、さらに首都圏への人口集中による水需要の急増を受け1949年(昭和24年)に『利根川改定改修計画』が策定され、1959年(昭和34年)に建設省によって矢木沢ダムが着工されました。
1962年(昭和37年)に水資源開発公団が設立され矢木沢ダム建設事業は公団に継承され、1967年(昭和42年)に竣工、現在は水資源機構が管理を行っています。
 
矢木沢ダムは他の利根川上流8ダムと連携して利根川の洪水調節を行うほか、利根川流域の既得取水権への補給、赤城・榛名山麓での群馬用水を通じた新規開拓農地への灌漑用水の供給、東京都への上水道の供給、東京電力矢木沢発電所で須田貝ダムとの間での最大24万キロワットの揚水式発電を目的としています。
利根川上流8ダムの代表格で関東の水ガメとして水不足の際などは必ず紹介されるほか、矢木沢ダムとともに実施される春の試験放流は『やぎなら放流』として今や群馬県を代表する観光イベントにもなっています。
 
湯檜曽から利根川に沿って県道63号を進み、須田貝ダムから矢木沢ダム管理道路に入ると右手にアーチの堤体が見えてきます。
 
放流イベントでは人がごった返す洪水吐。
 
ダムの型式はアーチですが、右岸はフィルになっています。
 
ダム湖(奥利根湖)
ボートなどのレジャースポットになっています。
 
堤体上流面。
 
洪水吐導流部
洪水吐は堤体とは地山を挟み下って行きます。
 
ゲート。
 
ゲートはローラーゲート2門、奥は管理事務所と資料館。
 
東京電力矢木沢発電所。
須田貝ダムと揚水発電を行っています。
 
24ミリの広角ではアーチの堤体は入りません。
 
天端。
 
0605 藤原ダム(0637)
群馬県利根郡みなかみ町藤原
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
利根川水系利根川
FNAWP
131メートル
352メートル
千㎥/千㎥
水資源機構
1967年
◎治水協定が締結されたダム

須田貝ダム

2016-10-13 09:24:39 | 群馬県
2016年10月10日 須田貝ダム
 
須田貝ダムは群馬県利根郡みなかみ町藤原の利根川と楢俣川の合流地点に建設された東京電力の発電用重力式コンクリートダムで、戦後の電力分割民営化により利根川流域の電力事業を継承した東京電力が1955年(昭和30年)に建設しました。
竣工は建設省の藤原ダムよりも2年早く、利根川本流に建設された最初のダムとなっており当初の名称は『楢俣ダム』でした。
日本最初の地下式水力発電所である須田貝発電所で最大4万6200キロワットの発電を行うほか、1965年(昭和40年)からは矢木沢ダムとの間で揚水式発電をスタート、矢木沢発電所で最大24万キロワットの発電を行います。
 
1990年(平成2年)に楢俣川直上に水資源機構の奈良俣ダムが完成、字は異なるものの同音のダムが近接することから混乱を避けるために地元での呼称であった『須田貝ダム』に名称変更しました。
なお2020年(令和2年)の東京電力ホールディングスの組織改編により須田貝ダム及び関連発電施設はすべて同社の100%子会社である東京電力リニューアブルパワー(株)に移管されました。
 
湯檜曽から県道63号を北上、須田貝で矢木沢ダムへの管理道路に入ると須田貝発電所の前に出て須田貝ダムを垣間見ることができます。
 
さらに矢木沢ダム方面に進むと樹間から須田貝ダムが見えます。
クレストは3門のラジアルゲート。
 
トンネル手前でもダムが見えます。
ダムへ通じる管理道路はもちろん立ち入り禁止。
 
以前は須田貝発電所に東京電力のPR館があり地下発電所の見学会もおこなわれていましたが、原発事故による東電の業績悪化で閉鎖されてしまいました。
人気の『やぎなら』のハザマでちょっと忘れられたような須田貝ダムですが、いつの日かPR館が復活し発電所の見学会が再開される日が来ることを願っています。 
 
0602 須田貝ダム(0639)
群馬県利根郡みなかみ町藤原
利根川水系利根川
72メートル
194.4メートル
東京電力リニューアブルパワー(株)
1955年