ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

洗井沢溜池

2016-10-24 22:16:18 | 岐阜県
2016年10月22日 洗井沢溜池
 
洗井沢溜池は岐阜県中津川市茄子川の木曽川水系濁川右支流(河川名不明)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1952年(昭和27年)に洗井沢溜池水利組合の事業で竣工と記され、受益農家の持ち出して建設されたと思われます。
その後、岐阜県のため池等整備事業で改修され現在も洗井沢溜池水利組合が管理を行っています。
中津川市街から国道19号を西進、深沢交差点から東美濃ふれあい街道に入りユーグリーン中津川ゴルフ倶楽部の先を左折する洗井沢溜池に到着します。
 
取水設備からの水路は洪水吐と立体交差しこのゲートで洪水吐導流部と灌漑用用水路に分水されます。
 
下流面と右岸の洪水吐導流部
堤体はきれいに刈り払われています。
 
右岸の洪水吐。
 
天端と下流面。
 
右岸から。
 
天端と上流面。
 
堤体の中央の斜樋。
 
貯水池は水抜きされ空っぽでした。
 
1073 洗井沢溜池(0661)
ため池コード 212060363 
岐阜県中津川市茄子川
木曽川水系濁川右支流(河川名不明)
17メートル
93メートル(ため池DB 81メートル)
60千㎥/60千㎥
洗井沢水利組合
1952年

落合ダム

2016-10-24 20:00:00 | 岐阜県
2015年11月22日 落合ダム
2016年10月22日 
 
落合ダムは左岸が岐阜県中津川市落合、右岸が同市瀬戸の一級河川木曾川本流中流部にある関西電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
戦前の5大電力の一つで福沢桃介率いる大同電力は急流かつ水量豊富な木曾川に着目し、1923年(大正12年)に読書発電所、1924年(大正13年)に大井ダムと大井発電所を完成させます。
次いで1926年(大正15年)に建設されたのが落合ダム・落合発電所で、落合ダムで取水された水は約180メートルの導水路で落合発電所に送られ最大1万4700キロワットのダム水路式発電を行っていました。
しかし大同電力の発電施設は1939年(昭和14年)の配電統制令により日本発送電に接収され、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により関西電力が事業継承しました。
その後のオイルショックによる火力発電コスト上昇や家電普及に伴う電力消費の日中格差拡大に対処するため、電力会社は既設発電施設の再開発を進めますが、落合ダムでも1980年(昭和55年)に新落合発電所(最大出力1万8900キロワット)を増設、以来新落合発電所では常時発電を、落合発電所では電力需要繁忙時のピーク発電を行っています。
落合ダムおよび落合発電所は土木建築物としての歴史的価値を評価してCランクの近代土木遺産に選ばれています。
またダム湖には岐阜県東部上水道用水供給事業(旧東濃用水道事業)の取水口が設けられ、東濃地区向け岐阜県営水道用水がここから取水されています。
 
落合ダムには2015年(平成27年)11月に初めて訪問し、翌年10月に再訪しました。
ダム下流から遠望
堤頂長215.1メートル、18門のラジアルゲートで木曾川を締め切っています。
 
ゲートをズームアップ
ゲートは関電おなじみブラックゲート、河川維持放流のため1門だけ開放されています。
 
左岸から
大正末期のダムと言うことで副ダム等の減勢設備はなく、減勢目的のために河床の岩盤とコンクリートの水叩きが併用されています。 
 
 
天端は生活道路として開放されています。
たぶんダム建設にあたり、周辺住民との交渉でダムを対岸への通路として開放することになったのでしょう。
 
天端から
木曾川、阿賀野川、只見川などの戦前の発電ダムでよくみられるように自然の岩盤を減勢目的で生かした作り。
 
ダム左岸には二つの取水ゲートが並びます
左は1926年(大正15年)完成の落合発電所の取水ゲート
右は1980年(昭和55年)完成の新落合発電所の取水ゲート。
 
ダム左岸の取水口
二つの発電所向けにかなり横幅の広い取水口になっています。
スクリーンの上には除塵機が並び、奥にはゴミ処理用の巨大なクレーンが鎮座します。
 
これは取水口の裏側、沈砂池になります。
 
ダム管理施設は立ち入り禁止。
 
ダムの上流面。
 
最後の写真を除き、2016年10月の再訪時の写真を使っています。
 
(追記)
落合ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1059 落合ダム(0057)
左岸 岐阜県中津川市落合
右岸      同市瀬戸
木曽川水系木曽川
33.3メートル
215.1メートル
3872千㎥/1000千㎥
関西電力(株)
1926年
◎治水協定が締結されたダム

新溜(新溜池)

2016-10-24 16:48:00 | 岐阜県
2016年10月22日 新溜(新溜池)
 
新溜は岐阜県中津川市千旦林の木曽川水系木曽川左支流(河川名不明)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1918年(大正7年)に受益者組織である新溜水利組合の事業で建設され、1960年(昭和35年)の改修で堰堤がかさ上げされました。
新溜という名称はすぐ南にある旧溜に対して新しく築造された溜池として名付けられたようです。
地元ではひょうたん池という名前が一般的で管理釣り場の『フィッシングスポットひょうたん』として人気の釣りスポットになっています。
なおダム便覧では『新溜池』と記載されていますが、ため池データベースや中津川市のため池ハザードマップでは『新溜』という名称で記載されており、当ブログでも新溜と記載します。
 
新溜は巨岩が連なる『星ヶ見公園』に隣接しています。
湖岸の桟橋には釣り客向けの貸しボートが並んでいます。
 
右岸から上流面。
対岸には花崗岩の巨石が累々と連なっています。
 
湖岸にも花崗岩が露出しています。
花崗岩の手前に斜樋があります。
 
天端。
 
右岸の洪水吐
自由越流式で越流しています。
 
 
堤体直下から。
右岸に洪水吐導流部が見えます。
 
底樋管そばの分水工
斜樋で取水された水はここで灌漑用水と河川維持用水に分水されます。
 
 
1053 新溜(新溜池)(0660)
ため池コード 212060319 
岐阜県中津川市千旦林
木曽川水系木曽川左支流(河川名不明)
15メートル
96メートル(ため池DB 70メートル)
40千㎥/40千㎥
新溜水利組合
1918年

高峰溜池(後山溜池)

2016-10-24 14:39:19 | 岐阜県
2016年10月22日 高峰溜池(後山溜池)
 
高峰溜池は岐阜県中津川市苗木の木曽川水系狩宿川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には岐阜県の事業で1951年(昭和26年)に竣工とあり、その後2000年(平成12年)に県営ため池等整備事業が竣工しています。
管理は高峰湖水利組合が行っています。
貯水池名である高峰湖の方が有名で、周辺は『夜明けの森きらめきパーク』として環境整備され湖畔を一周する遊歩道が設けられているほか、夏場にはカヤックスクールが開催されるなどレクリエーションの場として知られています。
なおダム便覧には『後山溜池』として掲載されていますが、ため池DBやため池ハザードマップには『高峰(後山)溜池』と記載されており、当ブログでもそちらを採用します。
 
高峰溜池には東西に堰堤があり、西側が主堤、東側は洪水吐を持つ副堤となっています。
副堤は堤高が5.7メートルのため河川法上のダムではありません。
赤が主堤
緑が副堤。
 
 
国道257号線高山交差点で『夜明けの森』の標識に従って農免道路を東進。さらに標識に従って左折すると高峰溜池に到着します。
下流から。
 
上流面はコンクリートで護岸されています。
 
天端は高峰湖を周回する遊歩道の一部になっています。
 
ダムの下流は水田が続きます。
 
高峰湖。
 
高峰湖東側にある副堤の洪水吐。
主堤には洪水吐はありません。
 
 
副堤から主堤を遠望。
 
副堤右岸から洪水吐。
 
高峰湖を周回する周遊路が整備され、緑も多く素晴らしい環境です。
先を急ぐダム巡りじゃなければお弁当を持って終日のんびりしたい、そんな高峰溜池でした。
 
1072 高峰溜池(後山溜池)(0659)
ため池コード 212060112 
岐阜県中津川市苗木
木曽川水系狩宿川 
19.9メートル
261メートル(ため池DB 244メートル)
410千㎥/410千㎥
高峰湖水利組合
1951年

椛の湖副堤

2016-10-24 13:35:21 | 岐阜県
2016年10月22日 椛の湖副堤
 
椛の湖副堤は岐阜県中津川市坂上にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には岐阜県の事業により1959年(昭和34年)に竣工とあり管理は中津川市が受託しています。
椛の湖は木曽川水系付知川左支流長根川と同じ木曽川水系ながら川上川右支流外洞川の分水嶺に位置しており、長根川を堰き止める西側が主堤、外洞川を堰き止める東側が副堤になっています。
ともに堤高が15メートルを超えそれぞれダム便覧に掲載されています。
通常主堤と副堤がある場合、洪水吐はどちらか片方に設置されるのが一般ですが、椛の湖では主堤副堤ともに洪水吐のある非常に珍しい溜池となっています。
 
赤が主堤
緑が副堤。
 
 
椛の湖主堤から湖岸に沿って国道256号を進むと副堤に到着します。
主堤同様上流面はコンクリートで護岸されています。
立枯れが一本、いいアクセント。
 
左岸に洪水吐。
ため池の主堤と副堤双方に洪水吐があるのは非常に珍しい。
 
洪水吐導流部。
草で覆われています。
 
主堤同様副堤も屈曲。
 
椛の湖
総貯水容量は本州の溜池では屈指の102万5000立米。
 
下流面。
 
斜樋も2か所
こちらは外洞川流域の水田に灌漑用水を供給します。
 
湖面では鴨の一家がのんびり遊泳。
人慣れしてるようでそばに行っても逃げません。
 
副堤を遠望。
 
3589 椛の湖副堤(0658)
ため池コード 212060461
岐阜県中津川市坂下
木曽川水系外洞川
15メートル
189メートル
1025千㎥/932千㎥
中津川市
1959年

椛の湖

2016-10-24 12:50:38 | 岐阜県
2016年10月22日 椛の湖
 
椛の湖は岐阜県中津川市上野にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には岐阜県の事業により1959年(昭和34年)に竣工とあり管理は中津川市が受託しています。
椛の湖は木曽川水系付知川左支流長根川と同じ木曽川水系ながら川上川右支流外洞川の分水嶺に位置しており、長根川を堰き止める西側が主堤、外洞川を堰き止める東側が副堤になっています。
ともに堤高が15メートルを超えそれぞれダム便覧に掲載されています。
通常主堤と副堤がある場合、洪水吐はどちらか片方に設置されるのが一般ですが、椛の湖では主堤副堤ともに洪水吐のある非常に珍しい溜池となっています。
 
赤が主堤
緑が副堤。
 
国道257号線の下の交差点から国道256号に入り東進すると椛の湖主堤が見えてきます。
ちょうど逆光になってしまいフレアが出まくっています。
 
天端は車両通行禁止。
 
右岸の斜樋。
ここで取水された水は長根川下流の福岡地区の水田に供給されます。
 
貯水池は総貯水容量102万5000立米
本州の農業用ため池としては屈指のスケール。
 
堤体直下には住宅が数軒。
 
上流面
草に覆われていますがコンクリートで護岸。
 
ダム湖の中に島があります。
赤い祠と鳥居があり弁天様が祭られています
 
堤体は途中で屈曲。
 
左岸の洪水吐
草に覆われどこが洪水吐やらわかりません。
 
副堤から遠望。
 
1090 椛の湖(0657)
ため池コード 212060461
岐阜県中津川市上野
木曽川水系長根川
20.7メートル
293メートル(ため池DB282メートル)
1025千㎥/932千㎥
中津川市
1959年

加子母防災ダム

2016-10-24 10:47:15 | 岐阜県
2016年10月22日 加子母防災ダム
 
加子母防災ダムは岐阜県中津川市加子母の木曾川水系飛騨川左支流白川にある農地防災目的の重力式コンクリートダムです。
旧加子母村の白川流域の249.4ヘクタールの農地を洪水被害から守るため、岐阜県の防災ダム事業で1975年(昭和50年)に建設されました。
管理は中津川市が受託しています。
 
中津川市街から国道257号を北上、旧加子母村小和知で小郷農道を右折すると加子母防災ダムに到着します。
左岸から。
 
天端は車道になっています。
 
左岸から下流面。
自由越流式洪水吐にV字の導流壁があるようです。
 
加子母防災ダムの最大の特徴はダム穴風洪水吐。
防災ダムなので水は貯留せず、普段はそのまま流下させます。
洪水吐にゴミが引っ掛かっているのでここまで水位が上昇したことがあったんでしょうね?
 
堤体下部の二つの穴から水が流下します。
いわゆる『穴あきダム』というやつです。
 
右岸から上流面
苔と赤さびが実態以上にダムを古く見せてます。
 
右岸から下流面
ここから見ると普通のダムらしく見えます。
 
竣工記念碑。
ちょっと荒れ気味です。
 
1114 加子母防災ダム(0656)
ため池コード 212060475 
岐阜県中津川市加子母
木曽川水系白川
35.6メートル
119.8メートル
733千㎥/540千㎥
中津川市
1975年