ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

玉原ダム

2016-10-11 17:50:59 | 群馬県
2016年10月8日 玉原ダム
 
玉原ダムは群馬県沼田市の利根川水系発知川源流部、玉原高原にある東京電力リニューアブルパワー(株)が運用する発電用目的のロックフィルダムです。
1972年(昭和47年)のオイルショックによる原油価格高騰を受けて水力発電見直しの機運が高まり、とくに火力や原子力発電との連携が取りやすい揚水式発電に注目が集まりました。
東京電力は建設省が利根川本流に建設していた藤原ダム湖に着目、ここと揚水発電を行うために1973年(昭和48年)に着工し1981年(昭和56年)に竣工したのが玉原ダムです。
玉原ダムは玉原湖を上部池、藤原湖を下部池として有効落差518メートルを利用した玉原発電所で最大120万キロワットの発電を行っています。
 
玉原ダムは当初『たまはら』と読んでいましたが、ダム周辺のリゾート開発が進み地元での呼び名である『たんばら』が一般化したため、2004年(平成16年)にダムの呼び名を『たんばら』に変更しました。
ダム周辺の玉原高原はスキー場やキャンプ場などが整備されているほか、玉原湿原や関東屈指のブナ林を擁す自然環境を生かし四季を通じて多くの観光客やハイカー、登山者が訪れる人気スポットとなっています。
なお2020年(令和2年)の東京電力ホールディングスの組織改編により玉原ダム及び関連発電施設はすべて同社の100%子会社である東京電力リニューアブルパワー(株)に移管されました。
 
沼田から県道266号線を北上、玉原高原を目指すとセンターハウス手前でダムへの道が分かれます。
県道の展望台から俯瞰。
ダム周辺は関東屈指のブナの原生林が広がります。
 
天端は関係車両以外通行止め。
車止めはあちこちのダムで見かけるお魚さん。
 
手前は余水吐
奥が揚水発電用の取水ゲートです。
 
ダムの東には日本100名山の上州武尊山が聳えます。
 
堤体下流面。
 
洪水吐。
 
洪水吐ゲートビア。
 
ゲートはローラーゲート2門。
 
長ーーい導流部。
 
堤体上流面。
 
登山でなじみのある玉原高原ですが、ダムが目当てで来たのは初めてです。
ダム湖周辺はブナの原生林が広がっているので、紅葉の頃はさぞ素晴らしい景色が広がるでしょうね!! 
 
0622 玉原ダム(0632)
群馬県沼田市上発知町玉原
利根川水系発知川
116メートル
570.1メートル
東京電力リニューアブルパワー(株)
1981年

平出ダム

2016-10-11 16:30:00 | 群馬県
2016年 2月4日 平出ダム
2016年 10月8日 
 
平出ダムは群馬県沼田市の利根川水系片品川ある群馬県営の発電用重力式コンクリートダムで、群馬県企業局利南発電所の取水ダムとして1964年に竣工しました、
利南発電所で最大5300キロワット、2011年(平成23年)に増設された新利南発電所で最大1000キロワットの発電を行っています。
 
沼田市内から県道62号を東進すると平出ダム管理事務所が現れます。
事務所から(2016年10月8日)。
 
放流していましたが、下流側の展望ポイントがありません(2016年10月8日)。
 
右岸から
午前9時で氷点下4度、湖面は凍結しています。
 
下流の利南発電所と新利南発電所。
 
減勢工
放流された水が勢いよく流れてゆきます(2016年10月8日)。
 
発電所への取水口。
 
ダム湖(2016年10月8日)。
 
天端は車両通行可能。
2月の訪問時は湖面が凍結、地元の皆さんがワカサギを釣っていました。
 
追記
平出ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに62万2000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0608 平出ダム(0217)
左岸 群馬県利根郡昭和村生越
右岸  同県沼田市白沢町平出
利根川水系片品川
40メートル
87メートル
1400千㎥/500千㎥
群馬県企業局
1964年
◎治水協定が締結されたダム

薗原ダム

2016-10-11 15:40:06 | 群馬県
2016年10月8日 薗原ダム
 
1947年(昭和22年)のカスリーン台風により利根川流域では甚大な被害が発生し、1949年(昭和24年)に利根川本流及び主要支流に多目的ダムを建設して連携して洪水調節に当たるとともに、電力需要への補給や灌漑用水確保を目的とする『利根川改定改修計画』が策定されました。
この中で群馬・栃木。福島県境に源を発し群馬県北東部を南西に流下して沼田で利根川に注ぐ片品川では1958年(昭和33年)に建設省関東地方建設局により薗原ダムが着工され、反対運動や補償交渉の難航などを乗り越えて1965年(昭和40年)に竣工しました。
 
薗原ダムは他の利根川上流ダム群と連携しての利根川の洪水調節、利根川流域地域の農地への既得取水権の補給を目的とするほか、群馬県企業局白沢発電所で最大2万6600キロワットの発電を行っています。
 
今回は県道267号線を南下、ダム湖上流から薗原ダムに至りました。
ダム湖(薗原湖)上流から。
クレストは4門のラジアルゲート、左右に2門の予備ゲートが見えます。
 
右岸から
薗原ダム最大の特徴はジャンプ台式洪水吐。
 
さらに下流から
ジャンプ台式洪水吐の下にコンジットゲート機械室があります。
 
天端は車道で車両の通行可。
 
左岸にインクライン。
 
予備ゲートの移動に利用されるガントリークレーン。
 
右岸に張り付くように建てられた管理事務所。
 
下流から。
 
ちょうどダムと正対できる場所は切り開かれています。
クレストは4門のラジアルゲート 3門のコンジットの機械室と放流口、さらに利水放流設備としてハウエルバンガーバルブがあります。
 
機械室をアップ。
 
0609 薗原ダム(0631)
群馬県沼田市利根町穴原
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
利根川水系片品川
FNP
76.5メートル
127.6メートル
㎥/㎥
国交省関東地方整備局
1965年
◎治水協定が締結されたダム

大滝堰堤

2016-10-11 14:22:22 | 群馬県
2016年10月8日 大滝堰堤
 
大滝堰堤は群馬県利根郡片品村の小川にある東京電力リニューアブルパワー(株)の発電目的の重力式コンクリート型式の堰堤です。
堤高11メートル超と河川法上のダムの要件は満たしていませんが、ダム便覧に参考掲載されているため訪問しました。
ダム便覧ではここで貯留された水は下流の幡谷発電所で使われると書かれていますが、地図を見ると大滝調整池から幡谷発電所への直接の水路は見当たりません。
大滝堰堤で片品川の河川水量の季節変動を平準化し、年間を通して安定した発電を行うための調整池と思われます。
 
まずは堰堤左岸からアプローチしますが立入禁止。
 
堰堤下流の橋からは木の枝が邪魔で堰堤は見えません。
辛うじて魚道が見えます。
落葉したら堰堤が見えるかも?
 
右岸からはこれが精一杯。
 
国道401号線の尾瀬大橋からダムを見ることができました。
 
2門のゲート、左岸の堤体上流面は練石積。
 
S015 大滝堰堤(0630)
群馬県利根郡片品村大字鎌田
利根川水系小川
11.021メートル
87.914メートル
東京電力リニューアブルパワー(株)
1927年

東京電力一之瀬発電所取水口

2016-10-11 12:56:32 | 群馬県
2016年10月8日 東京電力リニューアブルパワー一之瀬発電所取水口
 
一之瀬発電所取水口は群馬県利根郡片品村の自然沼である大尻沼の西端にある東京電力リニューアブルパワーが管理運用する発電目的の重力式コンクリート堰堤です。
1937年(昭和12年)に東京電燈の子会社の上毛電力によって建設され日本発送電を経て戦後の電力分割民営化で東京電力が事業を継承しました。
なお2020年(令和2年)の東京電力ホールディングスの組織改編により釜無川第一発電所及び関連発電施設はすべて同社の100%子会社である東京電力リニューアブルパワー(株)に移管されました。
上流の丸沼ダムで貯水された水はここで取水され、1870メートルの導水路で下流の一之瀬発電所に送られ最大1万700キロワットの発電を行っています。
 
丸沼ダムから国道120号を下ると右手に一之瀬発電所取水口が見えます。
 
堰堤の下流面。
 
堰堤の天端は丸沼遊歩道で立ち入り可能です。
 
堰堤上流面。
 
大尻沼はまだ紅葉の走り。
 
右岸から
小さな自由越流式洪水吐が2門。
 
東京電力リニューアブルパワー一之瀬発電所取水口
群馬県利根郡片品村
利根川水系小川
東京電力リニューアブルパワー(株)
1937年

丸沼ダム

2016-10-11 12:18:58 | 群馬県
2016年10月8日 丸沼ダム
 
丸沼ダムは群馬県利根郡片品村の自然沼である丸沼と大尻沼の中間点にある東京電力の発電用バットレスダムで、1931年(昭和6年)に東京電燈子会社の上毛電力により建設され日本発送電を経て戦後の電力分割民営化で東京電力が事業を継承しています。
丸沼ダム自体では取水せず、丸沼の貯水量を増大させ発電用水を確保し、大尻沼にある取水口から一之瀬発電所に送水して最大1万700キロワットの発電を行っています。
丸沼ダムは日本では8基しか建設されず、現在わずか6基しか残らないバットレスダムの一つで、堤高及び総貯水容量でバットレスダムでは日本一を誇ります。
丸沼ダムはその希少性と土木建築物としての価値から近代土木遺産に選定されるとともに、2003年にはダムとしては3基目、発電用ダムとしては初めて重要文化財に指定されました。
 
国道120号にある丸沼ダムの標識に従うと小さな駐車スペースがあり丸沼ダムの説明板が設置されています。
 
ダムへは関係車両以外通行禁止。
 
もちろん天端も立ち入り禁止。
現在改修工事中です。
 
ダムを見るには遊歩道を下ります。
 
有名な?『トムソーヤー号』で湖面に出ます。
 
重要文化財のバットレスダムを正面に見ることができます。
 
 
 
 
大尻沼です。
紅葉の見ごろまでまだ10日ほどでしょうか?
 
初めて目にするバットレスダムは期待に違わぬ美しい姿でした。
欲を言えば青空のもと、湖面にその姿を映した状態で眺めたかった。
 
0595 丸沼ダム(0629)
群馬県利根郡片品村
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
利根川水系小川
32.1メートル
88.2メートル
㎥/㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1931年
◎治水協定が締結されたダム

中禅寺ダム(再)

2016-10-11 11:11:04 | 栃木県
2016年10月8日 中禅寺ダム(再)
 
中禅寺ダムは栃木県日光市中宮祠の利根川水系大谷川にある栃木県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
中禅寺湖から華厳の滝を下り日光市街を貫流して鬼怒川に合流する大谷川は、古くから水力電力に利用されこの電力を利用して日光は銅精錬やアルミ精錬の集積地となりました。
一方で豪雨のたびに流域に多大な洪水被害をもたらし、明治期から中禅寺湖の開発計画が模索されましたが中禅寺ダムが完成するのは戦後1959年(昭和34年)になってからでした。
その後洪水調節能力増強のためにバイパス放水路などを増設する再開発が行われ1998年(平成10年)に再開発が竣工しました。
 
中禅寺ダムは大谷川の洪水調節および中禅寺湖の水位調節、既得取水権への補給及び河川流量の維持による華厳の滝の落水の確保、中禅寺ダム下流にある古川日光発電(株)及び東京電力(株)の計10カ所の発電所への水の供給を目的としています。
また中禅寺ダムの堤高は6.4メートルでダムの要件を満たしていませんが、建設省(現国交省)の補助を受けた大谷川総合開発事業によって建設された補助多目的ダムであり、ダムの堤高に関わらず河川法上のダムとなりダム便覧にも正式掲載されています。
 
中禅寺ダムは中禅寺湖東端、東武バスターミナル先にあります。
上流から
左から取水制水門、中央が堰堤制水門、右が1998年(平成10年)の再開発で増設されたバイパス制水門となります。
堤体積わずか2000立米の小さなダムで中禅寺湖の有効貯水容量2280万立米を支えており、貯水効率は全ダムナンバー1の11400倍となります。
 
右岸から
奥の取水制水門から河川維持放流が行われています。
 
 
バイパス制水門
バイパス放水路のゲートです。
 
左岸から。
 
管理事務所。
 
◎追記
中禅寺ダム(再)には洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0561 中禅寺ダム(元)
栃木県日光市中宮祠
利根川水系大谷川
FNP
6.4メートル
25.1メートル
25100千㎥/22800千㎥
栃木県県土整備部
1959年
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3111 中禅寺ダム(再)(0628)
栃木県日光市中宮祠
利根川水系大谷川
FNP
6.4メートル
25.1メートル
25100千㎥/22800千㎥
栃木県県土整備部
1998年再開発竣工
◎治水協定が締結されたダム