ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

野口ダム

2018-04-01 02:22:39 | 香川県
2018年3月21日 野口ダム
 
野口ダムは香川県仲多度郡まんのう町塩入の財田川水系財田川上流部にある香川県農林水産部が管理する防災・灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
農林省(現農水省)の補助を受けた県の防災ダム事業で建設された農地防災ダムで、財田川の洪水調節、財田川流域及び春日用水を通じた満濃南西地域へ灌漑用水の供給を目的として1966年(昭和41年)に竣工しました。
香川県所管のダムですが、農水省の補助を受けた農業ダムのため管理は県土木部ではなく農林水産部が行っています。
 
琴平町中心部から県道4号線を南東に進むと右前方に野口ダムが見えてきます。
ダムそばに塩入温泉があり、この温泉が目印となります。
 
左右両岸ともダム下まで接近可能、直前の大雨で水位が上昇しクレスト放流を行っています。
クレストに2門のローラーゲート、ゲートの右岸側下部(向かって左手)に低水位放流口を備えています。
 
右岸ダム下の分水ゲート。
野口ダムが灌漑用水を供給する春日用水はここが起点です。
 
ダム右岸の案内板とモニュメント
ダムそばに塩入温泉があるため、ダム周辺も公園として整備されたようですが、正直言って荒れ気味。
 
天端は歩行者のみ通行可能
ローラーゲートの手前は低水位放流設備の取水バルブ。
 
減勢工と副ダム
左手の建物が塩入温泉管理棟。
 
ダム湖は野口池で総貯水容量は115万立米。
野口ダムは既存の灌漑用ため池の野口池を取り込む形で建設されました。
 
左岸から。
 
香川県のダムではおなじみ、ゲートピアの螺旋階段
対岸は管理事務所で事務所横に斜樋があります。
 
上流から
かなり水位が高くなっています。
 
2178 野口ダム(1259
香川県仲多度郡まんのう町塩入
財田川水系財田川
FA
35メートル
123メートル
1150千㎥/1100千㎥
香川県農林水産部
1966年

木槲池(再)

2018-04-01 00:46:41 | 香川県
2018年3月21日 木槲池(再)
 
木槲(もっこく)池(再)は香川県仲多度郡まんのう町七箇の金倉川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
太平洋戦争末期の1944年(昭和19年)に木槲池耕地整理組合によって築造され、当初は堤高13メートル、総貯水容量8万立米の小さな溜池でした。
1985年(昭和60年)にスタートした県営かんがい排水事業により池の嵩上げ再開発が着手され、1991年(平成3年)に竣工、堤高は27.1メートルとなり総貯水容量は従来の5.5倍となる44万9000立米に拡大されました。
また同事業により近隣26カ所の小規模溜池とパイプラインで繋がれることになり広域かつ効率的な水管理が可能となりました。
池の管理は木こく池水利組合が行い、261ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
まんのう町から中讃南部広域農道を進むと左手に木槲池が見えてきます。
池の上流側湖畔に駐車スペースがあり各種竣工記念碑や県営かんがい排水事業の説明板が並んでいます。
 
 
 
嵩上げ再開発により堤頂長298メートルの長大な堤体となりました。
堤体を一周できる遊歩道が整備されており歩いて回ってみます。
上流面はコンクリートで護岸。
 
左岸の斜樋。
 
天端。
 
下流面。
嵩上げされる前はちょうど写真真ん中の犬走り程度の高さだったようです。
 
左岸の洪水吐導流部
折からの雨で水位が上昇し越流した水が勢いよく流下しています。
 
左岸洪水吐
途中で折れ曲がった導流堤が特徴的。
 
上流にも斜樋があります。
 
上流側に副堤がありますが、堤高11.5メートルとダムの要件を満たしていません。
 
上流側の湖岸は親水公園として整備されています。
 
総貯水容量は44万9000立米。
マスが放流され秋にはマス釣り大会が実施されます。
 
当池を水源とする金倉川は池から北の満濃池へと流下しますが、ここで貯留された水は金倉川とは逆の池西方の財田川流域農地へと補給されます。
 
2946 木槲池(元)
香川県仲多度郡まんのう町七箇
DamMaps
金倉川水系金倉川
26.7メートル
160メートル
84千㎥/84千㎥
1944年
-------------
2946 木槲池(再)(1258)
ため池コード
香川県仲多度郡まんのう町七箇
金倉川水系金倉川
27.1メートル
298メートル
449千㎥/446千㎥
木こく池水利組合
1991年再開発竣工

亀越池

2018-03-31 16:41:41 | 香川県
2018年3月21日 亀越池
 
亀越池は香川県仲多度郡まんのう町炭所東の土器川水系大谷川にある灌漑用目的のアースフィルダムです。
起源は江戸初期の寛永年間まで遡り、当時干ばつで苦しんでいた岡田村(現丸亀市綾歌町岡田上)の役人だった岡田久次郎が私財を投下して1633年(寛永10年)に築造しました。
池の完成により岡田村の生産石高は3倍にも膨れ上ったそうです。
平成に入り県営のかんがい排水事業で水路が整備されるとともに、国営の農地総合防災事業により池の大規模な改修が行われ現在の姿となりました。
県営事業にあわせて従来岡田上地区が利用してきた亀越池用水と香川用水の水源転換に掛かる協定が結ばれ、亀越池直下流の満濃東部地区の受益者が亀越池の水を利用できるようになり、より効率的な水利用が可能となりました。
池の管理は現在も岡田上地区の受益者で構成される綾歌郡亀越池土地改良区が行い543ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
また石製の底樋管がCランクの近代土木遺産に選ばれています。
 
下流から遠望。
 
堤体は犬走りを挟んで2段構成、基部はコンクリートの擁壁。
 
堤体左手から滝のように水が流下しています。
洪水吐からの導流部が自然の岩盤を流下しており、直近の雨で水位が上がった影響でまるで天然の滝のような様相です。
 
こちらは底樋樋門。
石造り扁額入りの立派なポータルで、底樋管全体がCランクの近代土木遺産に選ばれています。
 
堤体下流面。
 
堤体は害獣防止フェンスで厳重に囲まれています。
天端や下流面には猪が掘削したような穴が多数あり、漏水につながる猪除けのフェンスです。
 
こちらの施設は水源転換協定による満濃東部地区への用水補給の取水設備。
 
天端から
件の施設からのパイプが堤体を下ります。
 
洪水吐や斜樋はフェンスに阻まれて見ることができません。
車で貯水池上流側に回り込みなんとか斜樋を撮影することができました。
この斜樋は上から4枚目の樋門へと続いているようです。
 
総貯水容量は95万8000立米
よそなら大規模ですが香川では中堅サイズ。
 
見学ポイントは限定されますが、とにかく洪水吐導流部の激しい溢流が印象的な亀越池でした。 
 
2146 亀越池(1257)
ため池コード
香川県仲多度郡まんのう町炭所東
土器川水系大谷川
19メートル
106メートル
958千㎥/958千㎥
綾歌郡亀越池土地改良区
1663年築造
1993年大規模改修竣工

備中地池

2018-03-31 15:28:04 | 香川県
2018年3月21日 備中地池
 
備中地池は香川県仲多度郡まんのう町造田の土器川水系備中地川にある灌漑用目的のアースフィルダムです。
現地竣工記念碑によれば1962年(昭和37年)に農林省の補助を受けた香川県のかんがい排水事業によって建設され、1995年(平成7年)~1998年(平成10年)にかけての国営総合農地防災事業により大規模な改修が行われ現在に至っています。
管理は土器川右岸土地改良区連合が行い約100ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
備中地という名前は戦国時代にこの地を治め長宗我部元親の侵攻で敗死した造田備中守に由来するとされています。
ダム便覧では1961年(昭和36年)竣工となっていますが、ここでは竣工記念碑に合わせて1962年(昭和37年)竣工とします。
 
流面は犬走りを挟んだ2段構成。
 
右岸の洪水吐導流部。
 
天端から洪水吐導流部
堤体中段部分は洪水吐導流部の方が高くなっており、堤体との間に導流壁が作られています。
 
 
横越流式洪水吐。
 
上流面は谷積みの石で護岸
左岸に斜樋があります。
 
天端からの眺め
池の下流は谷筋に沿って水田が続き民家が点在します。
 
総貯水容量32万1000立米の貯水池
松の生えた中島が特徴的。
 
天端は車両通行可能で轍が残りますが、対岸で行きどまりです。
 
左岸に建つ昭和37年の竣工記念碑と平成10年の改修記念碑。
 
 
起源が明治維新以前に遡るものが多い香川県の溜池の中では珍しく戦後建設された溜池です。
 
2173 備中地池(1256)
ため池コード
香川県仲多度郡まんのう町造田
土器川水系備中地川
21.6メートル
103メートル
321千㎥/321千㎥
土器川右岸土地改良区連合
1962年

長柄ダム(元)

2018-03-31 03:19:56 | 香川県
2018年3月21日 長柄ダム(元)
 
長柄ダム(元)は香川県綾歌郡綾川町東分の綾川本流上流部にある香川県土木部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
1935年(昭和10年)に香川県は河水統制事業による最初のダム事業として長柄ダム建設事業に着手しますが戦争激化により中断、戦後1949年(昭和24年)に国の補助を得て事業が再開され、香川県土木部所管ダムとしては内場ダムに次ぐ二番目のダムとして1952年(昭和27年)に竣工しました。
長柄ダムは1989年(平成2年)に竣工した田万ダムと連携した綾川水系の洪水調節、既得取水権としての灌漑用水の補給と安定した河川流量の維持を目的としています。
ダムの容量は不特定利水容量が大きく、主として既得取水権としての灌漑用水の安定した補給が主目的と言えます。
1995年(平成7年)に綾川ダム群再開発事業として長柄ダムと田万ダムを導水トンネルで結ぶ計画が採択されますが、その後の検証により長柄ダムの単独再開発に変更されました。
そして2018年(平成30年)に綾川水系河川性に計画が変更され、2022年(令和4年)3月に長柄ダム再開発事業の全体計画が策定されました。
 
ダム下流は小さな公園になっていますが、ダム直下まで行くことはできず、掲載した写真が精一杯。
クレストにラジアルゲート2門を装備、右手の白い建屋は利水放流設備を兼ねた低水位放流設備です。
 
香川県唯一のラジアルゲート
現在計画中の嵩上げが実施されると自然調節方式に変更されるため香川県のダムからはラジアルゲートが消えることになります。
 
右岸から。
 
天端は車両通行可能
円蓋のついた親柱は明らかに戦前のデザイン。
 
苔生した導流面と減勢工のエンドシル。
 
ダム湖の長柄湖は総貯水容量421万立米。
嵩上げ再開発で1020万立米と2倍以上になる予定です。
 
正面は管理事務所。
 
上流から
折からの雨で水位がかなり上がっています。
 
取水設備は重力式ダムとしては珍しい傾斜式シリンダーゲート。
六角形の建屋がオールドダムの雰囲気にマッチしています。
 
香川県営ダムではよくみられる立派な竣工記念碑。
 
1995年(平成7年)に再開発事業が採択されましたが、民主党政権の成立などもあり現在のところ事業はほとんど進捗していません。
 
2166 長柄ダム(元)(1255
香川県綾歌郡綾川町東分
綾川水系綾川
FN
30メートル
124メートル
4210千㎥/4110千㎥
香川県土木部
1952年
--------------
3331 長柄ダム(再)
香川県綾歌郡綾川町東分
綾川水系綾川
FN
45.4メートル
197メートル
9440千㎥/7740千㎥
香川県土木部
1995年~

永富池

2018-03-31 00:39:32 | 香川県
2018年3月21日 永富池
 
永富池は香川県綾歌郡綾川町枌所東の綾川水系貞重川右支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地記念碑によれば起源は18世紀中盤明和年間に遡り当初は周辺の地名から錆田池と呼ばれていました。しかし完成間もない1772年(安永元年)に大水により決壊、1831年(天保2年)に復旧が叶い、永く富み栄えるという願いを込めて永富池に改称しました。
戦後になり1972年(昭和47年)にかけて県の事業により改修が行われ、ダム便覧ではこれを持って永富池の竣工年度としています。
その後、老朽化による漏水が激しくなり1997年(平成9年)にかけて国営総合農地防災事業による大規模な改修が行われ現在に至っています。
池の管理は永富池土地改良区が行い590ヘクタールの農地に灌漑用水の供給を行う一方、現地標識によれば周辺地域の簡易上水道の水源にもなっているようです。
 
県道39号線から東に折れ貞重川沿いの細い町道を東進すると集落の先で左手に永富池の堤体が現れます。
 
池手前の水路は右岸から延びる洪水吐導流部です。
 
1997年(平成19年)にかけての国営総合農地防災事業による改修記念碑。
 
堤体を通路が斜行して登っています。
 
コンクリート製の通路を登ると!
 
右岸の湖畔に斜樋があります。
 
池は総貯水容量35万6000立米。
 
右岸の洪水吐
ここからの導流路が上から2番目の写真へと続きます。
 
上流面はコンクリートで護岸されています。
 
右岸高台に建つ由来碑
文字が摩耗して判読は困難。
 
底樋は確認できませんでした。
なお俳優の火野正平さんが自転車で旅をするNHKBS放送の『にっぽん縦断こころ旅』2017年(平成29年)11月8日の放送で永富池が投稿者のこころの風景として登場しました。 
 
2150 永富池(1254)
ため池コード
香川県綾歌郡綾川町枌所東
綾川水系貞重川右支流
23.2メートル
92メートル
356千㎥/356千㎥
永富池土地改良区
1972年

田万ダム

2018-03-30 17:39:41 | 香川県
2018年3月21日 田万ダム
 
田万ダムは香川県綾歌郡綾川町枌所東の綾川右支流田万川中流部にある香川土木部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
香川県最長河川である綾川水系では1952年(昭和27年)に長柄ダム(元)が完成しますが、流域の治水・利水をさらに盤石にするために事業化されたのが田万ダムです。
田万ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助治水ダムで、長柄ダムと連携した綾川水系の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給を目的として1989年(平成2年)に竣工しました。
貯水容量のうち不特定利水容量が大きく、主として既得取水権としての灌漑用水の安定した補給を主目的としています。
その後、長柄ダム(元)と田万ダムを導水トンネルで結んで2ダム一体運用を図る『綾川ダム群再開発事業』が採択されましたが、その後の検証により長柄ダムの単独再開発に変更されました。
 
ダム下から
低気圧通過による大雨で水位が上昇しオリフィスから放流しています。
 
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲート8門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲートが1門、さらに低水位放流施設としてコンジットゲートがあります。
今回はオリフィスとコンジットから放流していました。
 
ダム下から遊歩道で右岸ダムサイトに上がります。
 
天端は車両通行可能。
 
綾山湖と名付けられたダム湖は総貯水容量160万立米。
県営ダムとしては小さなダム湖ですが、香川県ダムではこんなものです。
 
左岸に管理事務所があり事務所の裏手の艇庫からインクラインが伸びています。
 
天端から
いわゆる利水放流設備が見当たらず、コンジットがこれ替わります。
 
 
上流面。
 
案内板。
 
2187 田万ダム(1253
香川県綾歌郡綾川町枌所東
綾川水系田万川
FN
49メートル
180メートル
1600千㎥/1450千㎥
香川県土木部
1989年

粟井ダム

2018-01-22 02:44:01 | 香川県
2017年12月23日 粟井ダム
 
粟井ダムは香川県観音寺市粟井町の柞田川右支流粟井川源流部にあるに香川県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の小規模ダム事業である生活貯水池事業の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、粟井川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への灌漑用水補給、観音寺市粟井町地区への上水道用水の供給を目的として2001年(平成13年)に竣工しました。
 
国道377号線から粟井ダムの標識に従って県道240号線を南下すると粟井ダムに到着します。
ダム直下には石積風のアーチ型砂防堰堤があります。
 
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲート1門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲート1門装備のゲートレスダムです。
 
堤高に対してずいぶん襟が高くなっています。
 
堤体上流面に取水設備がビルトイン。
 
天端。
 
 
減勢工と利水放流設備。
エンドシル下流に一番上の写真の砂防堰堤があります。
 
管理事務所の裏手に浮桟橋があり船が係留されています。
事務所の下にはアンカーボルトが並び建設工事の際の苦労が伺えます。
 
生活貯水池ダムということで。ダム湖は総貯水容量59万立米と溜池サイズ
 
右岸から下流面。
 
右岸からのダム下の眺め。
 
3092 粟井ダム(1234
香川県観音寺市粟井町
柞田川水系粟井川
FNW
42メートル
135メートル
590千㎥/540千㎥
香川県土木部
2001年

河内池

2018-01-22 01:45:27 | 香川県
2017年12月23日 河内池
 
河内(こうち)池は香川県観音寺市豊浜町和田の吉田川水系吉田川上流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
池の起源は江戸時代中期に遡り下流にある姥ヶ懐池の上池として1720年(享保5年)ごろに築造されました。その後1931年(昭和6年)に大規模な改築が行われ現在の規模になったようです。
姥ヶ懐池ともども豊浜土地改良区が管理を行い、87ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
なおダム便覧では竣工年度を1909年(明治42年)としていますが、この根拠が不明確なためここでは大正時代の改築竣工年度を採用します。
 
洪水吐越しの下流面
奇麗に刈り払われすっきり。 
 
右岸の洪水吐
向かって右手に切り込みがあり小さな鋼製起伏ゲートが設置されています。
 
天端は車両進入可能ですが、対岸で行きどまり。
 
洪水吐のそばに記念碑が2基、
左は1986年(昭和61年)の改修記念碑
右は河内池の由来碑。
  
 
右岸にある施設
取水設備かと思いましたが左岸に斜樋があるので違うようです。
下池である『姥ヶ懐池』まで香川用水が来ているのでもしかしたらそこからの給水設備かもしれません。
 
左岸の斜樋。
 
天端からの眺め
ダム下は親水公園になっています
下流には下池である姥ヶ懐池がありますが山陰になって見えません。
 
洪水吐導流部
階段状になって流下してゆきます。
 
貯水量は24万3000立米。
 
上流面はコンクリートで護岸されています。
 
ダム下の親水公園に行けば底樋なども見れたのですが、入口が分からずスルーしてしまいました。 
下池の姥ヶ懐池が涸れると河内ダムから補給される仕組みです。
姥ヶ懐池は起源が16世紀安土桃山時代に遡る歴史のある溜池ですが堤高が13メートルのためダム便覧には掲載されていません。
 
2157 河内池(1234)
ため池コード
香川県観音寺市豊浜町和田
吉田川水系吉田川
17.8メートル
187メートル
230千㎥/230千㎥
豊浜土地改良区
1931年

大谷池

2018-01-19 03:07:29 | 香川県
2017年12月23日 大谷池
 
大谷池は香川県観音寺市大野原町丸井の柞田川水系右支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
池の起源は足利中期の1470年(文明2年)まで遡ります。その後度重なる改修を経て戦後を迎えますが1946年(昭和21年)に副堤が決壊し6名の死亡者と800名を超える被災者を出す大惨事となりました。
しかし地域住民と受益者の熱意と労力により1949年(昭和24年)に復旧され、1971年(昭和46年)、1990年(平成2年)と2度の県営事業による改修で現在の姿となりました。
また1975年(昭和50年)からは香川用水からの補給が開始され、大谷池の水事情は大きく改善しました。
池の管理は観音寺市大谷池土地改良区が行い160ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
観音寺市中心部から県道8号を南下、観音寺市大野原町萩原で交差する県道241号線を東に折れると南に大谷池の堤体が見えてきます。
主堤は大きく湾曲しており、ここから見えるのは230メートルの堤体のほんの一部です。
 
萩の丘公園の案内標識に従って坂を登ると総合福祉会館に出ます。
池周辺は萩の丘公園として整備され市民の憩いの場となっています。 
会館東側に副堤があり、1941年(昭和21年)にここが決壊して大惨事を起こしました。
副堤は堤高15メートル未満のためダム便覧には未掲載です。
 
右岸から見た主堤
延長230メートルでV字状に屈曲しています。
 
右岸右端にある洪水吐
ラビリンス型です。
 
 
洪水吐導流部。
 
主堤天端と貯水容量928万立米の貯水池。
古くから『大谷池に不作なし』と謳われ受益農家の貴重な水源となってきました。
 
天端からの眺め
海が見えるか?見えないか微妙。
 
右岸の斜樋
右奥は副堤。
 
1990年(平成2年)の改修記念碑。
 
 
底樋は確認しませんでした。
 
2139 大谷池(1233)
ため池コード
香川県観音寺市大野原町丸井
柞田川水系右支流
16.9メートル
230メートル
1000千㎥/1000千㎥
観音寺市大谷池土地改良区
1949年

井関池

2018-01-19 03:02:38 | 香川県
2017年12月23日 井関池
 
井関池は香川県観音寺市大野原町井関の柞田川水系井関川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
江戸初期の1644年(正保元年)に築造されるも直後に決壊し、10年後の1654年(承応3年)に修復されたという歴史があります。
1975年(昭和50年)の香川用水通水に伴い同用水からの補給がスタート、その後1982年(昭和57年)の大規模改修を経て現在に至っています。
ダム便覧では1982年の改修工事竣工を竣工年度としています。
この改修に合わせて池の右岸にある五郷山とともに五郷山公園として整備され、4 月には桜、5 月にはツツジが堰堤を彩り多くの花見客が訪れます。
池の管理は柞田川上流の豊稔池ダムともども豊稔池土地改良区が行い、約500ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
観音寺市中心部から県道8号を南下、観音寺市大野原町萩原を過ぎると左手に井関池の堰堤が見えてきます。
堤頂長350メートルにおよび堤体にはツツジが植えられ春には多くの花見客が訪れます。
今回は洪水吐改修工事のため、ダム敷地及び下流道路が立ち入り禁止となっており県道からの見学に留まりました。
 
 
堤体に植栽されたツツジ
満開の姿をぜひ見てみたいものです。
 
堤体はアーチ状に湾曲しています。
 
総貯水容量は54万立米
洪水吐改修工事のため水が抜かれています。
 
アーチ状の堤体とツツジの植栽、自然石の洪水吐など見所が多い井関池ですが、改修工事のため残念ながら立ち入ることができませんでした。
 
2147 井関池(1232)
ため池コード
香川県観音寺市大野原町井関
柞田川水系柞田川
16メートル
350メートル
540千㎥/540千㎥
豊稔池土地改良区
1982年

五郷ダム

2018-01-19 02:56:53 | 香川県
2017年12月23日 五郷ダム
 
五郷ダムは香川県観音寺市大野原町有木の柞田川右支流前田川にある香川県土木部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
香川県は昭和20年代後半から県内各河川へのダム建設に着手しますが柞田川では本流上流部に灌漑目的の豊稔池ダムがあったため、右支流前田川への治水ダム建設が進められ1964年(昭和39年)に竣工したのが五郷ダムです。
五郷ダムは前田川および柞田川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への補給を目的としています。
その後1994年(平成6年)の再開発で豊稔池ダムも農地防災ダム化され、柞田川水系の治水能力は大きく向上しました。
 
ダム下からの展望スポットはなく、樹間から眺めるのみ
香川県ではおなじみのローラーゲート1門のクレストゲート。
 
下流面。
 
対岸に管理事務所があります。
 
左岸にある案内板。
 
天端は車両通行可
頭でっかちなゲートピア。ゲート操作建屋だけ新調されてます。
 
減勢工と利水放流設備。
 
総貯水容量59万立米の小さなダム湖
水がずいぶん濁っています。
 
写真では少しわかりづらいですが、ローラーゲートは2段式。
 
香川県営ダムでははおなじみ螺旋階段。
 
2177 五郷ダム(1231)
香川県観音寺市大野原町有木
柞田川水系前田川
FN
50.5メートル
132メートル
2500千㎥/2250千㎥
香川県土木部
1964年

豊稔池ダム(再)

2018-01-18 03:03:28 | 香川県
2017年12月23日 豊稔池ダム(再)
 
豊稔池ダム(再)は香川県観音寺市大野原の柞田川上流部にあるマルティプルアーチ式粗石モルタル工ダムです。
柞田川流域の大野原村(現観音寺市大野原町)は古くから『月夜にも焼ける』といわれるほど干ばつ被害に悩まされ、一帯農家にとって安定した灌漑水源確保は永年の悲願となっていました。
1920年(大正9年)、1924年(大正13年)と立て続けて発生した干ばつを契機に貯水池建設機運が一気に高まり、1926年(大正15年)から貯水池建設事業が着手されました。
土木建築の第一人者であった佐野藤次郎指導のもと海外の最新技術であるマルティプルアーチ型式が採用され、組合員総出による延べ15万人の人海戦術により1930年(昭和5年)に貯水池は無事竣工し『豊稔池』と命名されました。
豊稔池ダムは日本初のマルティプルアーチ(多供扶壁式)ダムであり、且つ日本初の農業用コンクリートダムとなっています。
その後1994年(平成6年)にかけて大規模な再開発事業が行われ、従来の灌漑目的に加えて防災機能を備えた農地防災ダムとして生まれ変わりました。
管理は豊稔池土地改良区が行い柞田川流域530ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
戦後、宮城県の大倉ダムがマルティプルアーチダムとして建設されますが、その後の河川構造令改正により同型式のダム建設は築造できなくなり現在日本には同型式のダムは2基しかありません。
1997年(平成9年)に貴重な土木建築としての評価から国の有形文化財に登録され、2006年(平成18年)には重要文化財の指定を受けました。
またAランクの近代土木遺産、ため池百選、日本100ダムにも選ばれています。
 
ダム周辺は遊水公園として整備されダム下に駐車場があります。
遊水公園入口の案内板。
 
公園入口から。
 
下流から正対
両端部は重力式、中央部がマルティプルアーチ式になっています。
5連の扶壁が並ぶ様はも中世欧州の城郭のようです。
 
中央4列の欠円アーチ部分が越流式になっています。
 
遊水公園の石碑とともに。
 
中央4本の扶壁にはサイフォン式余水吐の放流口があります。
一方左岸(向かって一番右手)の扶壁には上樋(利水放流口)があります。
また写真では分かりづらいですが、アーチ部基部には取水及び土砂吐用の樋管が取り付けられています。
 
放流がない時は扶壁直下まで立ち入りが可能。
欠円アーチ部を見上げます。
 
 
水叩きも重厚な石張り。
 
左岸県道9号から。
 
堰堤そのものが巨大なラビリンスのようです。
 
今回は石積をじっくり堪能することができました。
サイフォン式余水吐からの放流も迫力満点のようですので、次は是非放流時に訪問してみたいものです。
 
2156 豊稔池ダム
香川県観音寺市大野原町田野々
DamMaps
柞田川水系柞田川
MA
32.3メートル
158.4メートル
1590千㎥/15930千㎥
1930年
-------------
3048 豊稔池ダム(再)(1230)
FA
MA
30.4メートル
128メートル
1643千㎥/1593千㎥
豊稔池土地改良区
1994年 再開発事業竣工

戸川ダム

2018-01-18 02:59:57 | 香川県
2017年12月23日 戸川ダム
 
戸川ダムは香川県三豊市財田町財田上の財田川水系谷道川にある防災・灌漑目的のアースフィルダムです。
農林省(現農水省)の補助を受けた県の防災ダム事業で建設された農地防災ダムで、谷道川および財田川流域の農地防災、同流域農地への灌漑用水の供給を目的として1957年(昭和32年)に竣工しました。
その後、県営地域ぐるみため池再編総合整備事業が1998年(平成10年)に竣工し、ダムの改修および周辺の環境整備が行われました。
ダム湖畔の『戸川ダム公園』は桜の名所としてさぬき百景に選ばれるほか、道の駅や日帰り温泉施設などが併設され近隣随一のレジャースポットとなっています。
ダムの管理は三豊市が受託しています。
 
戸川ダムは国道32号線沿いにありダムに隣接した『道の駅たからだの里さいた』が目印となります。
堤体下流側が盛土造成されて道の駅が建設されたためどこが堤体かわからなくなっています。
とりあえずこれが下流面??
 
天端は道の駅の駐車場。
祝日のお昼時ということで駐車場はほぼ満車。
 
上流面
1998年(平成10年)の改修により自然石を使った親水護岸が施されました。
 
右岸の斜樋。
 
総貯水容量は21万1000立米。
湖岸には桜が植えられ、春には多くの花見客でにぎわいます。
 
左岸から。
 
 
湖畔上流側も公園になっています。
 
ダム湖は谷道川から導水し、余水は谷道川に戻します。
こちらは谷道川沿いにある洪水吐、越流式で越流堤には鋼製起伏ゲートがついています。
 
もとは国道沿いにあったただの農地防災溜池が、改修に合わせて環境整備され日帰り温泉や道の駅の設置で朝から大賑わい。
知名度の高いメジャーなダムじゃなくても、別にカードやカレーで無理無理盛り上げなくてもダムを活用した地域経済や交流の活性化は可能だという好例でしょう。
様はソフトの問題。
 
2169 戸川ダム(1229)
香川県三豊市財田町財田上
DamMaps
財田川水系谷道川
FA
19.6メートル
177メートル
211千㎥/206千㎥
三豊市
1957年

多冶川ダム

2018-01-18 02:46:27 | 香川県
2017年12月23日 多冶川ダム
 
多治川ダムは香川県仲多度郡まんのう町山脇の財田川水系帰来川上流部にある防災目的の重力式コンクリートダムです。
農林省(現農水省)の補助を受けた県の防災ダム事業で建設された農地防災ダムで、帰来川流域の農地防災を目的として1957年(昭和32年)に竣工しました。
運用開始後はまんのう町が受託管理を行っています。
 
三豊市財田町財田上で国道32号から県道202号を東に折れ、土讃線の踏切を渡って山脇地区に入ります。そのまま帰来後川沿いに東進して最後の民家の先のヘアピンカーブが多冶川ダムへの入口となります。
路肩に車を止め右手の山道を進むとすぐに多冶川ダム右岸に到着します。
自由越流式洪水吐が2門の古いコンクリート防災ダム。
 
天端高覧の造りが昭和30年代の香りを醸し出しています。
二つの建屋はゲート操作室と思われます。
 
天端。
 
堤体下部の導水管の交換でもするんでしょうか?
 
減勢工
左岸側に防災ダム特有の穴が見えそこから放流が行われています。
これが常用洪水吐になるんでしょう。
 
防災専用ダムですがダム湖は満水
総貯水容量は20万立米と小さな貯水池ですが、実際には流域の灌漑用水源としての役割があるのかも知れません。
 
四国堰堤ダム88箇所巡りのサイトを読んで1時間以上の徒歩を覚悟しましたが、なんと車道からほんの1~2分歩けばダム右岸に到着できます。
そのかわり多冶川集落内の隘路でBMWM6が立ち往生、地元の方の助力のおかげで1時間かけて何とか脱出できました・・・・
どうもありがとうございました。
 
2164 多冶川ダム(1228)
香川県仲多度郡まんのう町山脇
財田川水系帰来川
21.7メートル
48メートル
200千㎥/197千㎥
まんのう町
1957年