時の流れの中に!

少子高齢化の中で高齢者はどう生きて行けば良いのか。

認知症を予防する ⑨ 母と暮らす 

2017-09-09 10:28:08 | 写真
都営地下鉄浅草線の沿線には楽しめる場所が多い。浅草には

浅草東宝、浅草東映がある、面白そうな映画、話題作が上映さ

れていれば観るようにと言って出かけさせた。

寄席はどうかと浅草演芸ホールに行って見るように言った。

帰ってきた母にどうだった聞いたが落語は好みに合わないよう

で、「あまり面白くなかった」とポツリ。

グルメでは、かに道楽吾妻橋店へ、かにコースを食べ終わって

から聞いた「美味しかった」、「うん・・・美味しかった」と

おざなりの返事が返ってきた。母は「面白かった」「美味しか

った」「楽しかった」この短い言葉も、聞かなければ自分から

なかなか感想を言わない。食べ終わって「美味しかった」と初

めて言ったのが、浅草魚清のふぐ料理、大変喜んだので毎年行

くようにした。翌年の冬に訪れるとおかみさんが、母を見てか

ら私に言った。「前にも来られましたね、ありがとうございま

す」一年前に一回しか来ていないお客を覚えているなんて凄い

と思った。



東日本橋で開かれていた大江戸問屋まつりに二人で出掛けた、車

両を通行止めにして沿道いっぱい並んだお店には秋冬物の色々な

洋服とアクセサリが売っていた。「好きな服を選んだら、買って

あげる」と言った。母が服を選び始めたが安そうな服ばかりを見

て高そうな服には見向きもしない。こりゃダメだ私に気を使って

いると思い。「来月、温泉に行こうと考えているので、コートを

買ったら」と母に言った。それでも服を見て値段を見てからまた

服を見て考えている。気に入った服が無ければ次の店に移ってい

くが、いつまでたっても終わりそうにない。しかたがないので私

が選んで母に見せて気に入るか決めさせた。だがずらりと並んだ

お店を見てみると、出しているのは若い人向けの商品が多い、年

配向けと云っても60歳ぐらいまでしかなさそう。それでも80

歳を超えた母に合う服はと探し歩いた。何とか選んだ服を見せる

と母は気に入らなければ何も言わず首を横に振るだけ。何軒かの

お店で選んだ暖かそうな鶯色のハーフコートを見せると母はじっ

と見ている。試着してみたらといって着させる。気に入ったようだ、

価格もそれほど高くない。まだ見ていない多くのお店があるが、

ここに来てから1時間半はたっている母も歩き疲れていると思い、

このコートを買って帰ることにした。

東銀座では新橋演舞場、少し離れた日比谷の芸術座、帝国劇場に

も行ける。目を見て母が喜びそうだと思えば観劇券を買って行か

せた。


※母と私は、親子でありながらお互いのことをよく知らない。

母に連れられて遊びにいった記憶はない。母の若い頃はどうだっ

たのか聞いたこともない、苦労して子供たちを育ててくれたこと

だけが思い出として残っている。

母にも私のことをあまり話していないから知らないだろう。

お金がないから結婚もできない。学校もろくに出ていないから

給料も安いだろう。無理して私に気を使ってくれている。

あまり無理をさせないようにしようと思っているのではない

だろうか、母の言動を見ているとそんな気がしてくる。

母が想像もできないコンピュータの仕事の話をしても判らな

いだろうし、安心させるためにもらっている給料を教えよう

かとも思ったがくだらないと思って止めた。 

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