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網創漠蓄

網(ネット)上で、創作物などを、漠然と、蓄えていこうとするページです。

大日本帝国の二次大戦その8

2015-08-15 12:00:00 | 社会・地理・歴史

戦犯とは誰がどう決めたのか、そしてどう裁いたのか。

その7はこちら

戦勝国

戦艦ミズーリ号での日本の降伏調印式で掲げられていた国旗は、ペリー来航当事のアメリカ国旗、
アメリカにとっての戦勝はペリー以来の宿願の達成であり、そして日本本土に攻め込んで勝利した
唯一の国としてのセレモニーである。「太平洋戦争」という呼び方も無論その一環である。

その定められた戦争開始時期、満州事変からというのも、アメリカの中国における権益が崩壊した
時点である。この点では中国もその子分としてのついでである戦勝国入りではある。

そして誰が戦犯に相当するのかを決めたのもアメリカ事実上アメリカである。現代の日本人が
第二次世界大戦を「アメリカに負けた戦争」と考えるのもつまりはそういう実質を反映したものである。 

戦犯 

A級戦犯などは現在「裁かれるべき犯罪者」なのか、それは犯罪かどうかの可否はともかく、
東京裁判により刑が確定、執行されたものたちを犯罪者と呼ぶべきなのかどうか、つまりは
浅原彰晃(現在裁判中)や刑が確定した死刑囚たちといったすでに裁かれた者達をそう呼ぶか、

あるいは田代マサシなど受刑後釈放されたものをさらに裁かれるべきと捉えるかどうかという
問題でもある。これはもちろん裁いた戦勝国による裁きに納得していない、それとは違う価値観で
裁くべきという主張でもある。死刑以上の裁きは現代の法体系には無いが、それとは別の

当事そういった近代法による支配が機能していたアメリカ・日本以外では民衆レベルを含めて
そういった前近代の法体系による支配が確立しており、そうではない、少なくとも近代法に近い
裁きを求めた、それが玉音放送で言及された維新政府以来の「国体」の内容の、主要な1つである。

合祀 

靖国神社にはその受刑者達も合祀されている。それは遺族団がそのように求めた結果でもあり、
もともと戦死者のみが認められたものを国家の公務による「服務死」に拡大してことである。

ただし所謂A級戦犯の、さらにそのまた一部に富田メモに言及された、裁判中などに病死した
服務死とも言い難い者の合祀に関して、神道のトップとしての不快感から天皇や神社本庁などの
庇護が外れたことも靖国神社がこれほど騒がれる一因ではある。遺族も高齢化し減っているのに。

通常、宗教による祭神の取り消しは名誉の取り消しと不可分である。だからこそ神社側も祭神の
取り消しには応じないし天皇陛下もそのことには私的にも言及しないのである。元々の設立の
経緯自体、「統一国家」という思想の流れで祭神の範囲を無理やり拡大している為でもありそうです。

続きます。


日本に於ける護憲派と改憲派とは

2015-01-06 23:58:45 | 社会・地理・歴史

護憲派(左派)とは
憲法9条を死守し、
憲法15条の無効化を狙う者である。

改憲派(右派)とは
憲法15条を死守し、
憲法9条の無効化を狙う者である。


参考:法令データ提供システムより引用

第九条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
○2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 
 
第十五条  公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
○2  すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
○3  公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
○4  すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。 

 

 

大日本帝国の二次大戦その7

2014-08-15 18:36:00 | 社会・地理・歴史

日本の右向化や再軍備に警戒するのは周辺国・・・では実はない。

その6はこちら

戦争

西南戦争にも見られるように、戦争がおきるのは実は内部相手のことが多い。内戦や紛争、革命
といった形態の。また「内部かどうか」が論議になるような戦いも。国境紛争や独立戦争という
帰属を争う戦いなど。国際法など主権国家体制の発達により主権国境線の確定が必要になり、
それに冊封体制で動いていた東アジアも組み込まれることで日本も対応が必要になりました。

ロシアの南下政策の中での国境画定の中で蝦夷地(千島や樺太は略)は日本に組み込まれ、
小笠原諸島など太平洋の島々は欧米による領土獲得競争の中で日本領として確定され、
その中でも沖縄は清との領有権争いの末に最終的に日本領として確定。それらとは違う
経緯を持って日本に組み込まれたのが朝鮮と台湾、そして満州なわけですが・・・


朝鮮

朝鮮日清戦争日露戦争と清、ロシアと領有権を争った末に日本に植民地としてではなく
併合されることになりました。実態の違いについてはまあ、論議はあるでしょう。しかし明確な
違いとしては大韓帝国の王と朝廷が、勅許会社による経営などと違い、温存された上で
日本本土の統治機構に組み込まれたことです。もちろんそのままではありませんでしたが。

当時士農工商などの身分制度は廃止されていた本土に習い、両班など特権階級が廃され、
明治当初の士族反乱などと同様の不満を持つ階層も当然、生まれました。そして統治機構
近代国家の運営経験のある者(もちろんほぼ日本人)に事実上「独占」されることになります。

満州が「日本の生命線」とされたのも、朝鮮半島の生命線(主要交易路でもある)だからで
あり、それは現在の北朝鮮にとってのものとまったく同じ意味です。現在は「日本の」は
その意味では、その方向では東シナ海になっています。後にその満州を通じソ連の侵攻
受け、併合国土を守れなかった、かつその意味に限り、日本には朝鮮分断の責任があります。


台湾

台湾が朝鮮と違っていたのは、当時台湾全土を統治する明確な機構が存在しなかった
ことにあります。また琉球の一部として沖縄と同様視する見方もありはしました。そもそも
多民族が混在する地域であり朝鮮ほどスムーズに占領ができたわけでもありませんでした。

そういう経緯で朝鮮より下の位の植民地として発足し、搾取もまあ、あったのでしょう。
全体として赤字でしたが朝鮮よりはかなりましな経営状態だったようなので。ただ欧米の
植民地政策と違うことは、分割統治という形をとらず皇民化政策という真逆のやり方を
したことです。そのため台湾では現在、伝え聞くほどの民族紛争はありません。

もちろん言語のなど多様性を尊ぶ現代の風潮からは、紛争の遠因も作る分割統治のほうが
優れた植民地経営、という視点もありうるでしょう。反戦主義とは本来反する要素も強い
見方とは思いますが。ちなみに「中国」にとっては朝鮮も台湾も、日本に奪われた領土です。
 

続きます


大日本帝国の二次大戦その6

2013-08-16 17:00:00 | 社会・地理・歴史

実際、一般的な庶民にとってはどういうものだったのか

その5はこちら

生活

本土空襲などもあり困窮を極めることになった庶民の生活ですが、その直接的な原因はむしろ
ABCD包囲網など通商の封鎖が原因になっています。元々日本列島のみの生産でで養えていた
人口は3000万人ほどで、そこから輸入を前提に人口が増えたところだったので。最近のエコの
流れから当時のような食生活を「燃料を使わない食生活」と称賛する向きもありますが。

経済封鎖はそれ自体、最近では北朝鮮やイラクに対するものなど戦争を誘発する行為と言われる
こともあります。尤も例に挙げた二国は封鎖の抜け道があったとも言われています。しかし日本の
置かれたものは海路全てをふさがれる逃げ道のない代物になっていました。もちろんだからこそ
開戦には慎重論も出たわけですが、庶民の声はむしろ開戦を後押ししたわけです。

それでも戦時中には内地では飢餓も起こさず、子供は疎開させるくらいには保護するなど
最低限以上の政策はとられていました。それ以上の力はありませんでしたが。実際政権の基盤も
危ういレベルだったし。そして実際そういった統制は外地に対しては全く及んでいませんでした。

前線

インパール作戦にも見られるように日本軍において補給線というのは軽視され続けていました。
これは日露戦争の時にもやっていた構造的欠陥と言われており、実際に輜重兵は軍において
軽視される存在でした。それは当然相手国の補給線も似たような見方で見ていたわけで。

実際日本の戦い方自体は戦国時代の戦い方の延長と考えられます。国内で戦っている分には
補給がそこまで困難をきたすような事態は考えられません。しかしそれを元々食料の乏しくなった
地域で同じことをやろうとしたために戦死者よりも多い餓死者を出すことになりました。

ひどい略奪行為も、そりゃああったでしょう。人間極限状態に追い込まれれば行動は原始化し
理性が働かない状態になるので。もちろんそこに名前もズバリ「飢餓作戦」などによりなけなしの
海運も機能停止に陥りそれに拍車をかけました。徴兵制の許では兵士たちも元は一般庶民。
極限状態における訓練なども受けていたわけでもなくただ単に世界的な傾向ではあります。

女性

慰安婦という言葉も有名になってきましたが、戦争における女性問題はどの国にも古くからあり
もっと遡れば女性が単なる戦利品の扱いだったような時代もありました。その延長として近年でも
レイプ行為を黙認する軍もあり慰安婦制度を作ること自体が女性保護の流れの上にあります。

とはいえその扱いは平時のモノより格段に落ちるのは間違いないでしょう。兵士の方の処遇すら
上記のような状態だったので当然同様の状態に置かれもしたはずです。そして男性の性欲は
苦境に陥ると高まることは知られていますし大きなストレスのかかる女性も同様と言われます。

軍部においては民間業者に委託する形を取っており、問題のある業者も多数存在したようです。
その前から「からゆきさん」として海外に渡る女性も数多くおり、軍が絡んでも事情は当然その
延長として理解されるべきでしょう。内地はもちろん外地や併合領土などでは現地人が経営する
場合も多くそれらは当然現地の風習に沿った運営になりまた違った問題も引き起こしていました。


大日本帝国の二次大戦その5

2012-08-15 12:00:00 | 社会・地理・歴史

考えなければならないことは、原因。

その4はこちら

最初

日中戦争を日本がなぜ行い、第二次世界大戦まで戦争を続けたのか、
それを知るにはまず知らなければいけないのはそこに至った原因。
領土的野心だとか植民地の解放だとかいう心情的部分に絞って
考えていたのではそりゃあ謎は深まるばかりです。大事なのはもっと
実質的な部分。「どうしてこう動いた・動けたのか」といった現実的な。 

幸い日本では世界史的にも稀な戦争のない期間、つまり太平の
江戸時代という対外戦争も全くなかった時代があり、そこから何故
どのように変わったのか、ということを辿ることになります。
そこら辺は戦争をやっていない年がないような国とは違います。

実際これだけ長く平和な時代が続くと戦争に関する知識や技能、
戦後処理のやり方とか終わらせ方といったノウハウまでもが失われ、
意思統一すらできないままに戦争を拡大していきます。そして現在、
そのどれを統一意思として戦争をしたか、というような正解のある
はずのない論争を定例行事として戦わせてゆくことになるのです。

経過

大政奉還等により幕藩体制が終わってから日本は富国強兵策などにより
西欧列強に並び立てる国、つまり万国公法における「文明国」を目指す
国造りを選ぶことになりました。それは大航海時代以来の植民地政策の中、
植民地にならずに済むような道を選ぶこと、そこだけは統一意思として。

その前段階として薩英戦争のような、現代風に言えば在留外国人の
法的保護をめぐる争いで、当時はそのようなことに関する国際条約などもなく
交渉決裂から武力衝突に至る事件が幾度かおこり、不平等条約などを経て
ノルマントン号事件など、自国民の命が危険にさらされる状況に遭遇しました。

そして実際西欧列強の方でも当時席巻していた人種差別的観点などから
領土的野心に近いものを持って日本に接してくる勢力もあり、当然のように
国防が最優先課題になるようになりました。それはすなわち国土に隣接する
地域の制御、ということになります。現代なら交渉で事足りることですが。

確保

台湾など事実上放置されていた地域は軍事的支配によって、朝鮮などは
内紛から保護領化する形になり、それに次いでロシアに抑えられていた
朝鮮に隣接する満洲が生命線と化しそこも抑えることに、そうなると今度は
清朝滅亡によって勃発した内戦の影響がおよびそれを抑えるために・・・

とこのように満州事変に至るまで戦争を続ける形になり、またその後の
ABCD包囲網などにより同じ感覚で南方の資源を確保、という方向性も
立ち上がり、結局全方向同時に兵隊を出す、という愚策を実行する形に
到ります。もちろん計画されたものではないので兵站など補給ラインはなしで。

そして戦後は晴れてそれら隣接地域は固定的な独立国となり、
日本が軍を出して何かするような必要性もほぼなくなりましたが、
華夷秩序の観点から見ればそれはいまだに「敗戦国なので正当性を
失った日本が未だ中華に支配下にない」、つまり戦争の反省をしていない
状態のままの野蛮国扱いになり、未だ日本脅威論が唱えられそれを受けて
国内でも日々、戦争の反省を、と唱えられているのです。

また来年続きます。 


談合試合?

2012-08-03 20:46:55 | 社会・地理・歴史

巷で騒がれている引き分け指示についていろいろと。

ロンドンオリンピックのサッカー・女子サッカーにおける
なでしこジャパン・佐々木監督の出した引き分け指示について
探れる範囲で見ただけでも賛否両論が飛び交っているようです。

私自身の意見としては、かなり前から「2位狙い」の提言を
聞いていたので「まあ、やるかもしれないな。」位です。
そこまでしてメダルが欲しいのか、と言われたらまあ、欲しいのでしょう。
メダルというよりはそれによる注目度が。元々が相当だったので。

FIFAによる処分しないという結論の根拠はこんな辺りかと。
・まあ後半途中からの引き分け狙いは男子も似たようなもんだし
・アフリカ勢は苦手タイプじゃなかったっけ?負けるかもしれんけど
・1点決めたら反撃が怖いってことでしょ?よくあること
とかではないかな。佐々木監督の発言だけからはそうも取れるし。

それで引き分け狙いを明言せずに済ませたら、というのもおそらく
無理だったのではないかと。特に得点のコントロールが。
南アフリカの方も「世界王者から1点獲る」という動機を持ちえたし
「負けずに狙って2位を取る」ための勝ち点得失点差を考えてみれば。

バトミントンでの無気力試合をサッカーで例えると、という実例も
実はあったりします。それが1998年のタイvsインドネシア
こういうオウンゴール合戦をやらかせばそりゃあ同列に語れるでしょう。

もう片方の当事者である南アフリカからの声は拾えませんでしたが、
アメリカから理解する声は出ているようです。まあそりゃ過密日程の中
選手のコンディションはもちろん、最悪の事態を心配するのも当然・・・


今日で震災から1年

2012-03-11 15:37:51 | 社会・地理・歴史

やはり少々まとめ的な記事を。

東日本大震災から丸一年。復興に向けての課題は数々指摘されて
いますが、ライフラインの復旧は迅速に行われています。しかしそう、
復興と復旧は別物で、阪神大震災の例を見てもまだ道は長そうです。

危機管理への論議もまだ論議自体を避ける傾向が強く、今回も以前
よりは少々ましという程度の進展にとどまっている部分も多くあります。
そして諸外国における例はなかなか参考にし辛いものがあります。

中国の四川大地震の被害は迅速に復興したとされていますが、
こちらは被害が甚大な地域を放棄して別の場所に復興地を作ったりと
開発独裁を前面に押し出した方策によっています。独裁政権だけに
トップダウン(リーダーシップ)は強力ではあります。 

アメリカの方はハリケーン・カトリーナの被害での対応はかなり遅いとも
言われており、進展にも相当なばらつきがあるようです。反応を見る
限りでも。日本のお家芸の海外の事例に学ぶは出来そうにない様です。


原発事故の方も、原発行政なども含めて収束の兆しは見えませんが
放射能汚染の方は測定値の推移(縦軸が対数なので注意)を見る限り
漸減方向、チェルノブイリのような石棺からの流出が推測されるような
事態とは現状大きく違うことが見て取れます。

つまり政府の不手際などもさることながら、復興も影響の調査も
どうしたところで長期戦、分かりやすい兆しが見えるようにはなかなか
いかないでしょう。慌てないことが肝心かと。そう、それでも日本の防災
の体制は世界有数のレベルではあることだし。政府が頼りなくても・・・


金正日の死去に寄せて

2011-12-25 14:09:07 | 社会・地理・歴史

宗教を信じないことを旨とする(はずの)イデオロギーの元にあった
元首ですが、謹んでご冥福をお祈りいたします礼を尽くして埋葬され、
またキリストの御名によってその罪が許されますように。
そして異国の民をいつまでも草葉の陰から見守ってくださいますように。

金正日の父金日成は白頭山から出て南の平壌の奪取をめざし、
満州に向かって北へ北へと勝ち続けたという抗日戦争の英雄と
言われています。これが国家元首となる根拠とされています。

その後を継いだ金正日は国内権力の掌握に成功して独裁体制を
築き、その後継者には長男金正男を退けて三男が指名され、
とりあえずは安定的に権力を継承したといわれています。

独裁体制下の権力者が望むものは大抵の場合、まずは身の安全。
ナチズム等のように理念が先行する場合もありますが、特に二代目
とか長期政権になると(自分たちの)安定への志向が目立ちだします。

実際、金正日は軍事挑発なども比較的小規模に留めてきています。
このまま金正恩が権力を掌握できれば同様の状態にとどまるでしょう。
戦争等になるとすれば、それは後ろ盾の争いを抑えられなかった場合。

第二次世界大戦での日本軍と同様の、下が勝手に動きだし
明確な絶対的指導者を欠く状況の方が危険度は高まるといえます。
尖閣諸島の事件もその背後には北京閥と上海閥との抗争があり
権力闘争の一環としての手柄争いがあったと言われるように。

北朝鮮内部(特に民衆)による政権転覆を望む声もありますが、
その可能性は低いでしょう。相互監視体制が相当なものなので。
どの道を取るにしろ、中国韓国の影響が強まる可能性が強く
なります。内部抗争からの権力の集中が早々に進まない限りは。


大日本帝国の二次大戦その4

2011-08-15 15:40:18 | 社会・地理・歴史

終戦の日、それは戦争終結の日ではなく玉音放送の日。

その3はこちら

語り継がれるもの

毎年この時期になると盛り上がる、「戦争を語り継ぐ」こと。
しかし当然その語り手は、圧倒的多数が末端の兵士、
いやそれ以上に出征などもしなかった一般市民となります。

戦時中にも抱えた日本軍の欠陥、トップダウンの欠如
それによる「全体像の把握」の欠落といった過ちを繰り返し
「なぜそうなった」かについては問いかけだけを繰り返します。


全体像

それはもちろん、戦争に至る経緯、イタリアと組んだこと、
アメリカや残りの3か国(英国・オランダ・中国)と戦ったこと、
戦前からの併合領土の様相など、あまり語られない辺りを含めて。

もちろんそれは現代に続くものとして、一度二度の出来事位では
そうそう変わらないこと、アメリカの戦争時の大義名分とか・・・
まあ、当時と同じ国が現存する例はわずかですが。

それらはもちろん、末端のや、それより多い一般市民が
直接には、いや個人個人としては関わりもせず、それゆえ
そこから語られもしないこと、しかし実際の世界の動きとしては
何よりもまず理解されるべきこと、ではあります。

そしてそれ以上に聞こえてこないのがその中間、
士官や官僚といったそれらの中間に位置する者たちの動静。
性質上、「全体像」といった物からは一番遠いためかもしれないが。


戦争

人類の軍事史によると、人類には戦争をやっていた期間の方が
平和であった期間より圧倒的に長い。もちろん現在でもそれは
継続している。そして「国家間の戦争」というものはむしろ
国家という概念確立後に増加した特殊な少数例である。

そう、日本では西南戦争以来絶えて久しいが、世界的には
ソマリアの例もあるように、地を接するどころか共有する勢力、
国内勢力同士のものや「政府と反政府組織」といった図式の方が
数としては多い。そして歯止めもかかりにくい。内部の力では。

もちろんそういったところから「話を聞け」ば、出てくるのは
自勢力の正当性、である。そして相手の不当性。戦争とは相手に
一方的にやられていると感じるから起こすものだしそれを真摯に
聞こうとすればそれは、その勢力に加担することにも繋がりかねず。

そう、語り継ぐことは止めることよりもむしろ
戦いを続ける理由を供給することの方が多い。
そう、流言と同じくネガティブな情報の方が流れやすいわけで・・・


当時

二次大戦に至るまでも当然、それまでの戦争の記憶は
語り継がれていたわけです。日露戦争もそうですが参加はした
第一次世界大戦、いやもっと遡り元寇に至るまで。

旅順攻囲戦による莫大な消耗や他国間ではある西部戦線
壮絶さなども耳に入れうる状況ではありました。しかし
大正デモクラシーなどの流れはそれらを生かす方向には進まず、
しかし戦後民主主義の護憲運動などには直接つながるようです。

むしろ大正時代には軍人蔑視の風潮も起こり、現在の自衛隊の
扱いと同様の境遇のようで、それがのちに強烈な反動を起こし、
また差別による組織内通婚などにより歯止めが効きにくくなります。

それらの悪弊も現代の反戦運動等にきっちり受け継がれ・・・


女子サッカーの明日のために

2011-07-24 14:21:47 | 社会・地理・歴史

普及への道は今日からが正念場!

サッカーにおいて女子サッカーは長らくマイナースポーツ扱いで、
最も盛んといわれるアメリカにおいてすら良いとは言えない状況です。
そして世界においてはFIFAランキングすら25位までしかないし・・・

男子との待遇の差も問題になっていますが、それは当然、観客動員数の
差から来ます。プロスポーツは興業として観客からの収入と、その観客を
見込んだ広告収入により成り立っています。そう、それが原因です。

ソフトボールも比較の対象にされることがあります。北京オリンピックで
日本が優勝を飾って騒がれましたが、その後顕著な待遇アップはなく、
相変わらず企業の「ソフトボール部」として活動を続けています

そう、女子サッカーは多スポーツと比べればまだよい扱いを受けている
とは言えます。少ないながらもプロ選手は存在し、他のマイナースポーツ、
試合のための渡航費用すら自費、といったものに比べれば、ですが。

女子サッカーはそれらに近い扱いを受けてきたスポーツでもあるわけです。
感覚的には男子シンクロとか女子ボディビルのような感じの評価を受けて
競技者自体が少なく、当然レベルも向上せず、といった状態でした。

しかしとりあえず今回のワールドカップでは高視聴率を日本以外でも出し、
見ようとする人が世界的に増えているのは良い兆候です。ヴィジュアル面
注目があり、あとはそう、「見たい」と思うような試合も続いてくれれば・・・

そう、それはスタジアムに足を運ぶ人が増えること
それだけが明るい未来を拓く道、でもあります。
男子の待遇もJリーグ発足以前にはかなり貧弱なものでしたし・・・


インドネシア語と日本語との関係

2011-07-10 20:43:57 | 社会・地理・歴史

時雨さんの記事を読んでまとめておきたくなったことを。かなり遅く
なりましたが、まあ忙しかったりまとめるのに苦労したりしたもので・・・

インドネシア語は日本語の話者にとって「世界で最も習得しやすい」
部類の言語といわれています。またひそかに「モスラの歌」が
インドネシアの言葉(正確には地方語)で作られていたりします。

しかしそれだけではなくこの言語、というかむしろマレー語などの
マレー・ポリネシア語派は、日本語の起源の一つとして学会で
注目されている語族の一つでもあります。こことか参考になるかも。

日本人の起源については今日も論議が続いていますが、大きく分けて
在来説・北方説・南方説があり、それぞれ注目されるのはアイヌ人との関連、
アルタイ語族特にツングース諸語、そして倭人の記述と稲作です。

遺伝学的にはそれぞれに「有力な証拠」が出ていたりしますが、
(南方説では特に稲の遺伝子から)どうやら「そのすべての混合」という
結論に落ち着きつつある感じです。まあそれが一番自然な感じもしますし。

オーストロネシア語族は高度な航海技術を持った集団によって
拡散したと考えられており、長江文明、特に百越から日本への
文明の運び手として想定されると思われます。

ちなみに過去有名になった日本語の起源説の中で、ポリネシア語
その下部分類に当たり、タミル語などドラヴィダ語族は近縁性が主張される
オーストロアジア語族の影響を受けているといわれています。

そしてその中でも古代に日本まで来た可能性が最も高いのは
マレー語などを含む「西マレー・ポリネシア語派」になります。そうなると
確実にスマトラ島を経由してきていると思われます。その分岐はおよそ
3000~4000年前と考えられ、ロマンス諸語の関係よりは遠くなりますが。


避難にみるトップダウンとボトムアップ

2011-06-12 13:22:21 | 社会・地理・歴史

津波で被害の大川小「避難先決定に時間要した」というニュースを見て
今更ながら纏めておきたくなったことを。

石巻市立大川小学校では避難の遅れにより、全校生徒の
7割が津波の犠牲になりました。その遅れの原因は
「津波が来るまで避難方を話し合っていたこと」だそうです。

緊急時にこのようなボトムダウン式の民主主義をやっていては
決断はどうしても遅くなります。そのため緊急対応が役割の組織は
常にトップダウン型の組織になっています。

共和制ローマにおいては緊急時には独裁官を置き、
国家体制を一時的に独裁体制にすることを定めていました。
アメリカなどにおいては大統領そのような役割を担います。

しかし今回の震災においては日本政府もそのようなことをせずに、
結果後手後手の対応に終始している、とも指摘されています。
実際戦後民主主義信奉する者には、トップダウンという形を敵視し
大衆による政治体制への帰依を求める傾向があるようにも見えます。

避難経路等を決定する際には当然、経路候補を調査したりなど
ボトムアップ的手法こそが必要になります。緊急時にはこうして
組み立てた計画をもとに、トップダウン的に避難警告等を発します。

古代からの国家等において等ボトムアップが不十分になる場合には
国王など個人にそれら全てが任され、また責任者となります。
それができなかった場合にはだれが責任をとれるのか、というと
もちろんそのような個人などは存在せず、所謂集団責任になります。

結局、このトップダウンの欠如は戦前から変わらない
日本の政治の欠陥をも成しているのです。
いや、むしろ戦後は強化されてしまっているかもしれません。


原発の状況整理

2011-04-02 20:05:58 | 社会・地理・歴史

いよいよ山場の作業。次の爆発が起きればそれは人災だよな・・・

原子炉格納容器についに直接操作を考えられる段階に入りました。
今までの事故に関しては以前の見解の範囲内ですが、対応を誤れば
さらに大規模化する可能性もある注意すべき段階です。
それでもIAEAの見解にもあるように、原子炉自体の爆発はありえませんが。

対応の遅れは各所で指摘されていますが、その原因は単独ではなく
複数要因がからんでいます。米軍の専門家の到着が今頃になったりなど、
前例を経験した国を入れることを拒んでいたりしていますし。
そう、東電は早い段階で「自衛隊と米軍に対応を委ねる」ことを検討していました。

福島第一原発はやっと廃炉が決定されましたが、これとて東電単独では
決定しづらいこと。海水注入の段階でも「発電再開」の可能性を残したかった
ことも要因でしょう。水以外で冷却する案を蹴ったことを含めて。

民主主義の決定の遅さが遅れの本質であり、それに対する緊急体制が
できていなかったことが、色々な「遅れの原因」を作り出しています。
それを指導する立場にある政治家たちに、原発や核物質に関する知識等が
(多少の専門知識のある私から見て)まるでないことすら、その表れに過ぎません。

福島第二原発の記事から辿れた官邸の報告書(pdf)を見た限りでは
13ページ目にある「溜まり水の分析結果」を信じるとするなら
未だに短寿命核種が大きな放射線元になっているようです。
特にランタン140(半減期1.6日)とかテクネチウム99m(同6時間)とか。

もちろん今後懸念される最大の事態は、再度の水素爆発などです。
5重の壁の一番外側が壊れた現在、次はさらに内部からの直接流出になるので。
海水への流出の影響は、そりゃ限定的といえば限定的です。
1970年代の濃度に近づいてしまう可能性がある、ということなので。

「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、
正当にこわがることはなかなかむつかしい」(引用元)とも言われていますが、
安全性というのは「あるか・ないか」ということではなく程度問題ではあるので。
あいにく当方、統計分野は苦手なので十分な言及はできませんが・・・


主君押込

2011-03-29 20:12:36 | 社会・地理・歴史

ちょっと纏めておきたくなった日本の伝統の話。

日本人の特徴として「お上に対して従順」ということがよく言われるが、
日本人にとっての「お上」とはそもそもどういうものなのか、ということを
考えるにあたって、避けて通ってはいけないと思うのが、この「主君押込」。

一般的に武家社会の慣行として理解されているが、
実際にはそんな枠組みに囚われることなく、古代から現代に至るまで
立派な「日本の伝統」として連綿と、ほぼ同様のことが行われています。

陽成天皇が退位を迫られた経緯もそうですが、もっと遡って
崇峻天皇の暗殺についても同様の枠組みに当てはまりそうです。
神話時代にも仲哀天皇の件にそんな感じの要素が見えるような気も。

現代に到っても大正天皇の扱いがそんな感じっぽいし、
昭和天皇もそれを懸念する旨の発言をしていたりします。実際、
玉音放送の時にも陸軍によるクーデター未遂が起きているし東條英機とて
戦争中に総辞職に到っていたりします。日本人が従った「お上」って誰?

聖徳太子十七条憲法にも、第3条に「詔を承りては必ず謹め」と
微妙に「君言えば臣承わり」が付記という扱いになっていたりします。
実際、「以和爲貴」の方を第一条に持ってくるんだし、役人の扱いとかも・・・

現在、「リーダーシップの欠如」ということがよく言われるが、
トップは「皆が掲げているトップ」でしかなく、従うというのが建前でしかないのが
むしろ日本人の伝統的な姿であるようです。

そして今(2011/3/29現在)、管首相とか東電の社長とか
地震とかの対応でどこで何をやっているのか。案外、座敷牢とかでは・・・


チェルノブイリと福島原発

2011-03-27 13:39:21 | 社会・地理・歴史

原発事故の風評が広まる中、ここら辺できっちり直接比較した記事を。

チェルノブイリと比較されることが多くなってきた福島原発事故
今回は、単純な事実の列挙にとどめましょう。他の事例も引用して。

まず、チェルノブイリでは「致死量の放射線を浴びたため」と思われる死者、
行方不明者が出ており、事故当時の作業員の大部分は3週間ほどで死亡しています。
福島では作業員達は健康被害こそ心配されていますが・・・

また放射性物質の流出も、チェルノブイリでは現在進行形だったりします。
周囲10km圏で大量枯死した樹の「森」が広がり、汚染の単位も㎡辺り「ギガベクレル」。
(それも4年後の。つまり放射性ヨウ素の影響がほぼなくなった時点での話。)
福島では「ヨウ素で」数百万・・・メガベクレル単位です。(1kg辺り、と単位は違いますが。)
原発近くではもっと?その通りです。数十倍になっているかもしれませんが・・・

そして降水量の関係からも、福島に降り注いだ物質はかなりのスピードで海に
流失すると思われます。数々の核実験が行われたことのある太平洋に。

ウラル核惨事とも比較した方がよいでしょう。評価尺度でレベル6だし。
高温による爆発という形はこちらの方がより近いでしょう。
こちらは「幅9km、長さ100km以上」が汚染地域となり、避難した人は
一週間当たり「25ミリ~500ミリシーベルト」という量を被爆しました。
一時間当たりに直すと「148マイクロ~3ミリシーベルト」という値。

これ以上の詳しい数値は、できる人はご自分で比較した方がよいでしょう。
ただし、中国での核実験による日本の被爆には警告すら発せずに今回は大騒ぎする、
というような所の見解だけは信用するに値しないことは言うまでもありません。