アメリカとの通商交渉が大筋でも合意に達したことは良かったと思う:
尤も、産経新聞は“9月の最終合意に向けてトランプ大統領の出方は読み切れない。「通称拡大法232条」に伴う高関税で日本の動きを制しつつ、更に有利な条件獲得に引き込むのではないか、最後の証明まで予断は許されない”とまで述べて、トランプ大統領の“unpredictable”な出方を警戒するのを忘れていなかった。
私はその危険性には十分な準備をしておくのは必要だとは思っている。だが、仮令自動車の関税を2.5%のままで落ち着かされたにもせよ、昨25日の為替レート¥104大と円安に振れていたではないか。為替次第では2.5%は何とかなるだろうという意見も出ていたし、アメリカは現在までもこの関税率で700万台以上も輸入してきていたではないか。USTRとトランプ大統領の自動車輸入に関する論議の根拠乃至は基礎は、日本車の現地生産に移行するまでの40~50年前の対日本の貿易摩擦頃の観念に取り憑かれているのではないかと言いたくなってしまう。
菅官房長官とのこの件の記者会見で「アメリカに押し切られてのではないか」という的外れの質問があり、長官は即座に否定された。私はこれまでに何度も永年アメリカの大手輸出メーカーの一員として厳しい対日輸出交渉に従事してきた者として「アメリカの思考体系には妥協も落とし所を模索するような交渉の手法などない」と繰り返して主張してきた。故にライトハイザーUSTR代表は強硬な姿勢で茂木大臣との交渉に望んできただろうし、トランプ大統領に「良いところに落としてきました」などと復命することなどあり得ないのだ。
私は茂木担当大臣がそれこそ、私が現職当時に良く冗談交じりに使っていた台詞である「アメリカ側としての我が国との交渉は時には命を賭けて熾烈にやり合う性質であり、どちらが押し切られるかの大論争となる」などよりも懸命に、国益を賭けて身体を張ってライトハイザー氏をあの大筋で合意させられたのだと思っている。そういう対アメリカとの交渉事がどれほど大変な物かを知らずに(尤も記者諸君に経験出来るはずなどあり得ないが)「押し切られたのか」などと訳が解っていない質問が飛びだしたのだと些か憤慨している。そんな生易しい交渉ではないのだ。
トランプ大統領は250万 ton程の資料用トウモロコシを、安倍総理の表現では「民間が輸入するが」、という条件を引き出して大満足であったようだ。これは専門家の解説を待つまでもなく中国向けが関税賦課の為に不調となった過剰在庫分の処分になるので、オハイオ等の州に救いの手を伸ばす結果となり大統領にとっては重要な選挙対策となるからだろう。余談だが、私は72年に初めてアメリカに入ってオハイオ州デイトンからコロンバスの空港まで約1時間を、周囲をトウモロコシ畑に囲まれては走り続けた時に「アメリカは偉大な農業国だったのか」と思い知らされたのだった。
そして、ここでもまたアメリカ売りたい物が一次産品だったというアメリカの輸出面でも実体が良く見えたではないか。私はずっとアメリカの輸出の主要品目は在りし日のW社の如く高高度工業製品ではなく紙パルプと林産物のような素材産業がボーイングの航空機を除けば多くを占めていたのだと指摘して来た。その辺りを評して、永年交流がある上智大学経済学部教授の緒田原涓一教授(当時)は「ウエアーハウザーの製品のような一産品ばかりでは、アメリカの対日輸出は恰も植民地の如きだ」と語られたのであった。何故そうなっているかの議論はあらためて後日に譲りたい。
尤も、産経新聞は“9月の最終合意に向けてトランプ大統領の出方は読み切れない。「通称拡大法232条」に伴う高関税で日本の動きを制しつつ、更に有利な条件獲得に引き込むのではないか、最後の証明まで予断は許されない”とまで述べて、トランプ大統領の“unpredictable”な出方を警戒するのを忘れていなかった。
私はその危険性には十分な準備をしておくのは必要だとは思っている。だが、仮令自動車の関税を2.5%のままで落ち着かされたにもせよ、昨25日の為替レート¥104大と円安に振れていたではないか。為替次第では2.5%は何とかなるだろうという意見も出ていたし、アメリカは現在までもこの関税率で700万台以上も輸入してきていたではないか。USTRとトランプ大統領の自動車輸入に関する論議の根拠乃至は基礎は、日本車の現地生産に移行するまでの40~50年前の対日本の貿易摩擦頃の観念に取り憑かれているのではないかと言いたくなってしまう。
菅官房長官とのこの件の記者会見で「アメリカに押し切られてのではないか」という的外れの質問があり、長官は即座に否定された。私はこれまでに何度も永年アメリカの大手輸出メーカーの一員として厳しい対日輸出交渉に従事してきた者として「アメリカの思考体系には妥協も落とし所を模索するような交渉の手法などない」と繰り返して主張してきた。故にライトハイザーUSTR代表は強硬な姿勢で茂木大臣との交渉に望んできただろうし、トランプ大統領に「良いところに落としてきました」などと復命することなどあり得ないのだ。
私は茂木担当大臣がそれこそ、私が現職当時に良く冗談交じりに使っていた台詞である「アメリカ側としての我が国との交渉は時には命を賭けて熾烈にやり合う性質であり、どちらが押し切られるかの大論争となる」などよりも懸命に、国益を賭けて身体を張ってライトハイザー氏をあの大筋で合意させられたのだと思っている。そういう対アメリカとの交渉事がどれほど大変な物かを知らずに(尤も記者諸君に経験出来るはずなどあり得ないが)「押し切られたのか」などと訳が解っていない質問が飛びだしたのだと些か憤慨している。そんな生易しい交渉ではないのだ。
トランプ大統領は250万 ton程の資料用トウモロコシを、安倍総理の表現では「民間が輸入するが」、という条件を引き出して大満足であったようだ。これは専門家の解説を待つまでもなく中国向けが関税賦課の為に不調となった過剰在庫分の処分になるので、オハイオ等の州に救いの手を伸ばす結果となり大統領にとっては重要な選挙対策となるからだろう。余談だが、私は72年に初めてアメリカに入ってオハイオ州デイトンからコロンバスの空港まで約1時間を、周囲をトウモロコシ畑に囲まれては走り続けた時に「アメリカは偉大な農業国だったのか」と思い知らされたのだった。
そして、ここでもまたアメリカ売りたい物が一次産品だったというアメリカの輸出面でも実体が良く見えたではないか。私はずっとアメリカの輸出の主要品目は在りし日のW社の如く高高度工業製品ではなく紙パルプと林産物のような素材産業がボーイングの航空機を除けば多くを占めていたのだと指摘して来た。その辺りを評して、永年交流がある上智大学経済学部教授の緒田原涓一教授(当時)は「ウエアーハウザーの製品のような一産品ばかりでは、アメリカの対日輸出は恰も植民地の如きだ」と語られたのであった。何故そうなっているかの議論はあらためて後日に譲りたい。
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