Trumpcracyの行方は:
昨4日夜のTBSの「報道1930」は興味あると言うよりも、色々と問題提起をしていると思って聞いていた。確か「トランプ関税がアメリカを世界を分断」というような趣旨だと受け止めた。私はズーッと指摘してきたことで「ドナルド・トランプ氏はアメリカ合衆国のみならず、世界の王様として君臨したお積もり」なのである。この辺りをもう少し詳細に問題を提起していこう。
トランプ関税:
トランプ大統領はしきりにtariffという言葉を使われている。実は、これでは不明確なのだ。関税とは「輸入品にかける税金」なのだから、customs dutyかimport dutyと言うべきなのだ。Oxfordには「国の内と外に出ていく品物にかける税金」などとある。
視点を変えれば、普段貿易業務などに縁がない方の中には「関税は輸出業者か輸出国が負担する税金」と思っておられる人が多いのだ。トランプ大統領もその一人だったという事。これは重大且つ深刻な誤解なのである。トランプ大統領は前任期の時からズッと今もなお「tariffは他国がアメリカに輸出する時に賦課する税金」と信じて疑っていないのである。
「そんな事があるか」と言いたいだろう、だが、それだから前任期中に中国からの輸入に高率の関税をかけて「毎日大きな金額が入ってきている」と喜色満面だったのだ。当時のスパイサー報道官の誤解も取り上げたおいた。ベセント長官は年間に74億ドルの入金がある」と言いだし始末。昨夜のTBSではWall Steet Journalが「何処から税金が入ってくるのか」との記事を掲げたと報じた。
漸く、「トランプ王様の間違い」を指摘する報道機関が現れたかのようだ。トランプ大統領は関税収入無くしてはアメリカ政府の財税が困窮するとまで言い出している。忠誠を誓わせられた閣僚は、誰一人として社長の誤解を指摘せずに8ヶ月も空費していたのだ。尤も、NY Timesなどはやんわりと何度も書いていたが。そこに裁判での判決が出てしまった。最高裁まで持っていけばどうなるか不明だが、大統領が気が付くかの問題ではないか。
大統領の権限:
明らかにトランプ氏は「司法・行政・立法」の三権の上に立っているのが大統領であると思い込んでおられるようだ。それが、あの無数の大統領令(executive orderとは物凄い意訳、じゃなかった名訳か?)の中には三権を超越した例が多く、国会の議決を経なければならなかった性質のものが多いのだ。それらを大統領がこれ見よがしに掲げられるのを報道するマスコミの見識も、如何なものかと思うが。
今や、トランプ氏は完全に三権の垣根を取り払ってしまい、自らがその上に君臨しているかの如くにアメリカ合衆国を統治し始めていないか。統計局の長を大統領が恣意的に解任するのは越権というよりも、人事権の濫用のようにさえ見てくる。だから、スタンフォード大学の教授に「民主主義は何処に消えた」と言わせ、スウエーデンの研究機関に「各国の首脳が謁見の際にお追従を言うのが慣例に」とも言われてしまった。
Walmartへの指令:
大統領は「関税のコスト上昇により品物を値上げするというな」と指示したそうだ。おかしいと思うでしょう。昨夜の出席者たちも輸出国が懸命に価格を下げ、輸入者も小売業者も利益を犠牲にしても最終消費者向け価格を維持してきたが、それも限界に達していると説明。聞いていると、国全体で「トランプ様。関税のために困窮しています。何卒ご配慮を」と言い出すのを遠慮しているかの感があった。そういう実情は忠誠を誓わせられた閣僚は言上できないのか。
トランプ大統領の問題点:
冗談めかして言えば「それならば、中国その他の輸出する国に、アメリカで現地生産に切り替えろと言えば」と言われそうではないか。私の見るところでも、我が国に自動車産業でもC&Fの価格を引き下げられる限界が来ていると思う、何分にも国内価格が上昇し続けているのだから。
いや、ズバリと言えば「何時までトランプ王様のご機嫌というか、鼻息をうかがっている気か」なのだ。「王様。貴方様はお間違いです」と国外から言いに行く度胸は必要だろうよ。「デトロイトが間違えていますよ。彼等は自分たちに非を認めず、日本に責任を転嫁しているだけ」とも断言して何を失うか。相手に気を遣って自社の利益を犠牲にするのが日米親善か。
20年以上もの間、国際市場にあってぶつかり合い、言い争いをし、語り合い、意志を通じ合えるところにまで行かないと、双方にとって有意義で利益が挙がる輸出入の商売というか、仕事など成り立たないのだ。不当廉売などしていない国に向かって、いきなり高率の関税をかけて「イヤならこっちに来て作れ」という暴論が理解されるとでも考えているのだったら、側近がご忠告申し上げて是正すべきではないのか。
無知と誤解から発した関税をかけて、世界に経済を混乱させてしまって事を、閣僚は追従の他にも進言したら如何かと思っている。それが出来ないのならば、残る3年足らずの間にアメリカ合衆国がどのような形になっているかを見てから、3期目?をどうするか考えたらどうか。でも、そこまで行くと「後悔先に立たず」になりはしないか。と、悲観論者の当方は密かに危惧している。
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