新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

7月20日 その2 我が国の政治家に思う

2020-07-20 14:47:12 | コラム
政治家たちの実社会の経験不足が露わになってきた:

先週から始まった(彼等が自発的に始めてしまったという方が適切かも知れない)「Go to キャンペーン」騒動を見ていても、彼等閣僚と、与野党の議員たちと、中央省庁の官僚たちが「如何に実務の(儲かるか損をするかの世界)を知らないし、経験してこなかったかということが、悲しいほど露呈されている。それだけに止まらず、この度の武漢ウイルスの襲来に遭って以来、彼等はこの国家的な危機に当たって、如何に対処すべきかが分かっていない為に、右往左往しただけで過ごしてきた。遺憾ながら感染者数を少なく抑えていたのは僥倖ではなかったかと言いたくもなる。

赤羽国交相は多くの弱小旅行代理店が「0.067%の東京都を除外」という決定でどれほど混乱させられ、旅館や地方のホテルが悩まされたかを聞いてはおられるだろうが、その苦しみ方や悩み方の実態をどれほど具体的に把握できておられるのだろうか。もしも、何としても「お盆の休みがかかるようにしよう」などと善意の押し売りのような決定をしたのであれば「悲しいまでに実務の世界に暗いのが官僚たちだった」ということではないのか。

勿論、新型コロナウイルスと言うべきか武漢ウイルスとするか、COVID-19と呼ぶべきか知らないが、未だ嘗て世界の何処の国でも対応した経験がなかった“virus”(「ウイルス」または「ヴィールス」以外の訳語はない)に対処する術を知らなかったのは仕方がなかったとしても、その対応と結果は俗に言う「結果オーライ」だったようだった。その分野の知識も経験もない通産省や大蔵省出身の閣僚に大役を任せたのでは、あの程度の成果でも「良く出来ました」と褒めて上げねばなるまいかとすら考えている。その点では素人と同然の小池都知事にも同じ事が言えそうだ。

だが、一部の専門家というか医師の方々が「第二波の襲来」を云々される事態に至ってしまった現在では、実務の世界を経験されていない(私が言いたいことは、ある程度以上の組織の長として実際に身体を張ってでも利益を最大化しようと最大限の努力してきたかという経験の有無を言うのだが)方たちが「あれや、これや」と手探りで事に当たっていて良い時期ではないということだ。ただ単に特措法に従って緊急事態宣言を発出し、言葉を弄んで「東京アラート」を解除して見せた結果が、「人から人へ」感染するウイルスの「保ウイルス者」を野放しにしてしまったのではないのか。

如何に事が一刻を争ったとは言え、民主党政権下の「インフルエンザ特措法」を弥縫策で改正しただけの新特措法の欠陥が、懸念されていたように現れてしまったのが現状ではないのか。私はこれまでに西村康稔大臣と加藤勝信厚労相を扱き下ろしてきたが、お二方は持てる力以外にも持たざる力まで発揮されて、善戦健闘されていたのだとは思う。だが、現在までの所では至る所にガタが来てしまっているとしか思えないのだ。専門家会議も解散させたが、あの方々も事武漢ウイルスに対しては「未経験」のお医者様の集団ではなかったと、私はご同情申し上げている。

上記にも触れたが、この新型コロナウイルスに対応するに当たって内閣にも、与党にも、管轄しているはずの中央省庁にしても「全体を統括して指揮する命令系統が組織されていなかった」のは致命的だと思っている。言葉遊びが得意な小池都知事は「東京都にCDC的な組織を置く」などと戯れておられたが、CDCを内閣府にでも何処にでも設けるのも一案かも知れない。だが、問題の核心は「何処の誰が全責任を負って、結果を恐れずに事に当たる意欲を見せるか」である。何かと言えば専門家会議にお任せと言っているような閣僚では不適格だと言いたいのだ。

そういう重責に近い任務を負っておられる閣僚が何人もおられるが、何れもが「次期、乃至は次次期総理」の新聞辞令が出ている方々だ。そうであれば、現時点での失点は避けたいと思うのは人情の常だろう。だが、現在は人情がどうしたと言っていられる時期ではないのだ。日本式の採点は「出発点で100点を与えられて、減点された分が少なかった安全運転で、御身大事的な人物が残る」のだ。アメリカ式は私が見てきた限りでは「そこに至るまでに何点稼いだか」が評価乃至は査定の基本となっていた。私は「お国の為には身を捨てても」という覚悟を持った人物を求めたいのだ。

その為には「政治の世界での身の処し方や、要領の良さだけ」で、実務の世界を経験されていない方々では心細いのだ。だが、遺憾ながら自民党では政治家が稼業というような二世・三世の議員が多く、しかも実務の世界を本格的に働いて管理職になっていた人物は希のようだ。私が新卒で採用して頂いた会社の同期に政治家希望だった者がいた。彼は故緒方竹虎氏に私淑していたが「政治家になりたければ、実社会を経験してこい」と突き放されて、先ず就職を選んだと回顧していた。そして、結局は実務の世界に最後まで残って出世していた。こういう事になってしまった。

新型コロナウイルスの蔓延がここまでになってしまった現在で、実務の世界での実力者に政治の世界に転進して貰ったのでは遅いと思う。望むらくは、全閣僚と全国会議員たちが己の至らなさを十分に反省して、このウイルス征圧が益々難しくなってきた時期にあっては「現実の世界では物事が如何に進んでいくか」を十分に学んで、「明けない夜はないのだ。止まない雨はないのだ」という固い決意で、現実に即した手法で事に当たって欲しいのだ。PCR検査の増やし方すらも未だに出来ていない不手際を十分に反省して、国民を危機から救うべく最善の努力を望むのだ。


Joe Bidenの認知症説に思う

2020-07-20 08:54:28 | コラム
来たるべきアメリカ大統領選挙の行方:

「まぐまぐ」の19日の「マネーボイス」では、今市太郎氏の「戦略的FX投資」の7月14日号を引用して、今や民主党の候補者に実質的に決定しているジョー・バイデン氏(77歳)の認知症説(dementiaというのだそうだ)を採り上げていた。その真偽は兎も角、現時点のアメリカの世論調査では、バイデン氏は現職のトランプ大統領(74歳)を10パーセンテージポイントほど引き離している。以前から「民主党政権は我が国にとってはbad news以外の何物でもない」との説を唱えてきた私にとっては、このトランプ氏不利のニュースは誠に好ましくないのだ。

私は確かにトランプ大統領を嫌うようなことを言ってきた。だが、深く考えるまでもないことで歴代の民主党の大統領、近くではクリントン大統領とオバマ大統領の頃を思い出して欲しい。クリントン政権がどれだけ我が国に親しさを示していたか。「ジャパンバッシング」や「ジャパンナッシング」等々が出てきたのがクリントン政権下だったではないか。我が製紙業界に対して全く見当違いの「アメリカから原料ばかりを輸入せず、世界最高の紙類を買え。さもなくばスーパー301条を発動する」などと脅迫したのだ。アメリカの実力を知る者としては、身の程知らずの暴論だった。

また、オバマ大統領がどれほど我が国に親愛の情を示したか。中国を野放しにしたのは誰だったか。この点だけを考えても、現在のトランプ大統領の対中国政策が比較にならないほど望ましいのだ。しかも、バイデン氏は親中国派との定評がある。その中国の対香港政策と言い、尖閣への連日の公船派遣と言い、南シナ海での振る舞いと言い、その中華思想に立脚する侵略の意図は余りにも明白である。その横暴振りを見れば、16年6月に国民会議で講演された河添恵子さんの「中国は我が国を属国化を意図している」との説が益々現実味を帯びて思い出されるのだ。

それだけではない。何回か引用した安倍首相の記者会見の際に外国人の記者が「日本はアメリカと中国の何れにつくのか」という質問は限りなく愚問だと解釈したが、中国のと言うか習近平の言動を見ていれば、あの質問には想像以上に意味があったのではないかとすら考えるようになって来た。何度でも同じ事を言うが、我が国では未だに政財界は言うに及ばず、官庁にも媚中派が数多く存在するのは間違いないと思って恐れている。だからと言って、我々がここに居ながらバイデン氏の当選を阻止することなど出来る訳もないのだ。

と言うことは、我が国の政府も与党も、いや全ての国会議員たちも、もしもバイデン大統領が実現した場合に如何にして「安倍首相がトランプ大統領との間に確立された、世界の何処の首脳も成し遂げなかった信頼関係に等しい強力な間柄を、如何にしてバイデン氏との間に築き上げるかの万全の準備を整えておくべきではないだろうか。だが、来年早々であれば、未だ安倍首相の任期中である。トランプ大統領から乗り換えるというのが歓迎されるだろうか。そう思うときに、トランプ大統領の再選が望ましいのだが、現在はあの苦戦振りだ。ご健闘を祈りたくなる。