新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

高校野球に思わせられる我が国のスポーツの問題点

2019-08-18 14:10:49 | コラム
野球を羨むの記:

先ず高校の全国大会、就中甲子園の野球を否定する者としては、妙なことを言っているではないかと笑われそうなことから始めよう。甲子園の野球を止めてしまえと言いつつも時間がある時と興味ある対戦の時は見ている。非難されることを覚悟で言えば、本日の準々決勝戦にまで勝ち上がってくる学校には、検索してみるとどちらかと言えば偏差値に疑問を感じさせられるところが多いのである。それは子供たちの野球の技術をあの水準にまで鍛え上げようと思えばそういうことかななどと、密かに思わせられている。

だが、今回言いたいのはそういうことではない。近頃屡々聞くようになった「自分の子供にサッカーと野球の何れを選ばせようかと思えば、今やサッカーを選択する親も子供も圧倒的に増えました」という時代である。であれば、サッカーには体格、運動能力、身体能力に優れた子供たちが集まっているかと問われれば「どうかな?」と答えざるを得ない。我が国のエースと嘗て褒められていた本田圭佑、香川真司、岡崎慎司、長友佑都といった連中に、大谷翔平並みの体格と身体能力を備えている者がいるか。八村塁君のような抜群の能力を見せるサッカーの選手がいるか。

そういう視点で高校野球を見ていると、あの年齢で既に180~190 cmの身長で100 kgに迫る体重の生徒たちが当たり前のようにいるではないか。何も野球だけをやらせておかずとも、他の球技をやらせればもっと伸びると思わせられた者を何名も見かけた。例えば星稜高校の奥川君などは既にプロ級の投手としては完成してしまっているかの如くに見えるので,ここから先の伸びしろがどれだけあるかを疑問に感じた。それならば、本日も連投して潰されはしないかと危惧する間に、他の球技に転向させても立派に通用する気がする。

私が非常に遺憾に思っていることは、何人かのフットボールのトレーナーに聞かされた「サッカー界の体格作りに関する遅れ」であり、欧州に行った者たちが少しは改善されたとは言え、未だに外国人と対戦すれば当たり負けしている基本的な身体能力の弱さと劣勢な体格なのである。何故そう言うかと言えば「ラグビーの日本代表級の日本人選手たちの体格を見よ」という点だ。物が違うと断言出来るほど鍛え上がられた体格をしている。

その点に着目された元法政大学アメリカンフットボール監督でUnder Armourの販売会社「ドーム」の社長でもあった安田氏は「ラグビー選手の体格を備えたサッカーのテイームを作ろうとFCイワキを設立された。サッカー界にそういう着眼点がない時に、フットボール界では慧眼の安田氏にはそういう着想があったのだ。つまり、私が見た限りでは近い将来甲子園で肩を潰してしまおうと何だろうと、サッカーやフットボールやラグビーの世界では彼ら野球少年の体格や身体能力を活かして日本代表級にまで上がっていける機会があるということだ。

現に私が見てきた限りでも、高校時代に野球部では補欠だった者が,大学ではフットボールの世界に身を投じて全日本級の選手になった例を何名もいた。特に日大の安部奈知君などは「彼が高校の野球部では補欠だったとは,一体どのような生徒たちがレギュラーだったのか」と驚かされたという例もある。運動選手の運命などは解らないもので、体育会制度がある我が国では一旦選んだ運動部以外に転じてその先で芽を出すという例は余りに少ない。私には未だ「高校の野球部は埋もれた人財の宝庫」のように見えるのは僻目か。