新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

3月9日 その2 ご参考までにMBAとは

2018-03-09 17:36:19 | コラム
MBAとは:

メリカの企業社会では今や出世というか、その激しい競争社会の中で生き残って行く為には、MBA乃至はPh.D.が必須になってきたというか有力な武器となってきた傾向があると聞くので、ここにあらためて「MBAとは」を纏めてみようと考えた次第。

先ほど別途に述べたように「経営学修士」であり、Master of Business Administrationの頭文字を取った学位である。アメリカでは今やビジネススクールに入学する為には4年制の大学(under graduateなどと言うが)を卒業後に、最短でも4年間の実務経験を経ていないと受験できないような制度になっている。このような大学院の授業は教授が講義をするのではなく、その1コマ90分の中で教授が語るのは最低限に止め、後はそのテーマにしたがって討論というか教授を交えての議論が主になると聞いている。

採点には討論の中での発言、レポート、試験、出席点等々を単純に算術平均してAからEまでのような評価になるのだそうだ。教授はその院生の評価を学務課に届けるだけで及落というか単位が取得できたか否かには関わっていないのが普通である由だ。授業料は私立か州立大学かによって異なるようだが、私立大学のビジネススクールでは、授業料以外に寮費であるとか諸々の経費を合算すると、学費は年間に5~6万ドルに達するという高額になる。

故に、私が常に言ってきたことで、余程裕福な家か、資産家の家に生まれない限りIvy Leagueのような私立大学を卒業してから、一旦4年間は就職し更に2年間のビジネススクールで勉強するということは、経済的に大きな負担になるということ。そこに Student loan(学生ローン)がある訳だが、銀行も一流の私立大学のビジネススクールに入った者には見込みありと見て貸し出すそうで、迂闊に利用すると20~30万ドルもの借金となって、卒業後に返済に苦労することになると聞いている。

私が知っている例には、例え裕福な家庭であっても、親はビジネススクールの学費までは負担する考えはなく、新卒で4年間働いている間に貯金をし、更に車を売って学生ローンを借りてハーヴァードのビジネススクールに入学したという話がある。彼が入学した1990年代初めには大手企業からの青田刈りがあって、入学と同時に就職まで決まってしまったのだそうだ。

嘗ては大手の製造業では俗に言う Speed trackという出世街道が準備されていて、MBAかあるいはPh.D.たちは最初から幹部候補生なので、他の連中を退けて出世街道を突き進んでいったものだった。私も現役を離れて24年も経ってしまったので現在でもそういう街道が残っているか否かは知らないが、現在ではアメリカの過激な生存競争に耐えていく為には、MBAが強力な武器になっている時代であると聞いている。

そういうアメリカでも、つい先頃の2010年頃には所謂「ポスドク」と言われて、Ph.D.たちが職の確保に汲々としていたのだったから、時代の変化は早いのがアメリカの特徴であると思っている。


MBAを起用して改革しよう

2018-03-09 08:22:41 | コラム
各種の競技団体にMBAを:

この度の伊調薫に対する栄和人日本レスリング協会理事兼強化本部長による不当な圧力をかけた(「パワーハラスメント」はカタカナ語で造語だ)疑いと告発された件でのレスリング協会の対応の不手際を見るに付けても、相撲協会を最悪の例とする我が国の各種の競技団体(公益法人である例もある協会)の幹部たちの統治能力の欠如は目に余ると思う。

それは、これまでに私が何度も指摘してきたことで、幹部たちは長年その競技種目で国の内外で抜群の成績を挙げてきた名選手であったのは間違いないところだ。だが、そこに集中し過ぎた人生を送ってきた為に、ややもすると世間の一般常識に欠けるか、自らが役員に就任した団体を如何にして効率良く合理的且つ合法的に運営する才覚に欠けている例が多いのだ。

その際悪の例として前述してある相撲協会の先頃の日馬富士の貴の岩に対する暴力事件の際にも、加害者側に属する協会が被害者の貴の岩から事情徴するといってきかなかった例がある。私は師匠である貴乃花親方が拒否したのは当然であり、常識の範囲内のことだと解釈していた。だが、協会は飽くまでも加害者の日馬富士も含めて聴取すると主張し続けた。それも相撲界だけに通じる文化の中で生きてきた理事たちだからの非常識が為せる業だと思えば、何ら不思議ではない。

これまでにそういう役員たちが統治してきた各種の競技団体で何か事件か事故が発生した際に、どれほど不手際があったかを想起して貰いたい。今回も衆議院議員で文科大臣まで経験した副会長の馳浩は協会の委員会は中立であるから、協会側が伊調馨と栄和人から事情聴取すると堂々と語っていた。そんな程度だから怖い。だが、結局は第三者に依頼するといって自分たちが弁護士を選んだ。これも中々面白い発想だと皮肉が言いたくなる。

そこで、MBAである。これは「経営学修士」、即ち、Master of Business Administrationのことである。AdministrationはOxfordによれば、the activities that are done in order to plan, organize and run business とある。世間一般ではMBAは会社の経営の任に当たるたい者が取得する資格だと思われている。だが、ビジネススクールでは実際には病院、学校、各種の団体の運営乃至は経営の責任者用のコースまで設定されていると聞く。

即ち、アメリカではスポーツの団体を運営する場合には競技の専門家たちが大会を開き推進するのだが、団体の経営の実務はMBAたちが受け持って言わば分離しているのだ。また、病院では優れた医師が院長や理事長に就任するのではなく、経営はビジネススクールで学んできたMBAたちが担当するというシステムが構築されているということだ。私はこの形にはアメリカならではの合理性があると思って聞いた。

などと回りくどいことを言わなければ、我が国の競技団体もそろそろこのような競技の運営と経営の実務の分離を考えてもう良い頃ではないかと言いたいのだ。そのMBAだって何も全く関係のない分野から連れてこなくても、その競技の経験者の中でいくらでも大学院の出身者がいるだろうと思う。それでなければ、サッカー協会の川淵三郎氏のような大手企業での管理職経験者がいるではないか。「川淵氏がこれまでに示した手腕を見よ」と言えるのではないか。

そこまで考えたくないとでも言うのだったら、いっその事AIにでも理事や役員に就任して貰えば良いではないかなどと言いたくもなる。何かと言えば「第三者に」と言い出すのも問題があると思うが、何が中立で何が公平・公正かも解らないような世間知らずが運営する時代は終わったのではないか。MBAが切り札になるかどうかは別にしても、世間的な常識を備えた人物を経営担当に揃えるような改革は必要だと思う。如何でしょうか、馳浩さん。