カタカナ語排斥論者はChatGPTと語り合い、英語教育の問題点を指摘:
昨日取り上げた「モデルナで人員整理」で特集したカタカナ表記の欠陥の中でも、特に気になっているのがrhoticとnon-rhoticに関連した事だった。私が特に嫌っている問題点はと言えば「元になる英語の言葉をカタカナ表記するときの原則というか、キチンとした基準がない事」なのである。
私がChatGPTと検討した問題点の一つには「英語教育の不行き届き」の他に「非合理的なカタカナ表記を発生させた責任は報道機関にもあるのだが、決してそれだけはないだろう」という事があった。
それは「我が国の人たちに早くから外国語のアルファベットに親しませておく効果があったローマ字の存在である」と思うのだ。それは、50音が示しているように「子音の後に母音が付いている仕組み」を、そのまま英語の発音にも持ち込む結果を招いたのだった。だから、昨日取り上げた事でModernaの中の“r”の後に英語では発音しない“u”を付けて「モデルナ」の「ル」にしてしまったようなことを指しているのだ。
即ち、ローマ字の最大の功績は「漢字とひらがなとカタカナで出来上がっている日本語に、アルファベットを巧みに導入して、有効的且つ便利に活用できるようにした点」にあるのは疑いもない。だが、既に指摘してあったように「コインの裏側」もまた存在していた。その辺りをChatGPTと子細に検討してみたのだった。
ヘボン式の功罪:
【功】
- 漢字カナ交じり文に対抗するための簡潔な音表記、
- 外国人にとって「日本語の音」をある程度体系的に把握可能にした、
- 辞書や郵便制度(例:Yokohama, Shizuoka など)にも貢献した、
【罪(=副作用)】
- 日本語母音体系の単純化(全ての音節に母音が必要と誤解)、
- 子音終止音(=英語的語尾)が想像も出来ない感覚に、
- 「r」や「th」など日本語にない音を無理に五十音図で処理、
- 外国語の音を「日本語の型」にねじ込む文化の原型に、
韓国語と比較すれば実に示唆的である:
韓国語(ハングル)は子音終止型が多く、語末の脱落音や鼻音化にも柔軟で、次のような発音が可能なのだ。実例では「ソウル市」のハングルの表記の서울では一番下になる「己」に似た字は子音だが、次に母音はない。従って、Seoulと言うアルファベット表記は“l”という子音止めになっている。
日本語は音節主義+母音依存:
- 「子音+母音」のセットでなければ言葉として認識できない(例:milk → ミルク)、
- 無音の語末子音(t, d, k, mなど)をどうしても再現できない、
- 母音を足してしまう:
→ desk → デスク
→ text → テキスト
→ truck → トラック - 英語の単語の最後の字の子音の後に母音を付けないとカタカナ語にならないのである。
日本と韓国の英語教育:
余り望ましい比較ではなくなるが、敢えて韓国の英語教育と対比すれば、韓国では「国家が英語教育に大規模投資をして“発音も重視している」のに対し、日本では「文部科学省が音声を軽視し、TOEICや文法偏重の“受験英語”で教育を重視してきたし、それを「成果」と主張してきた」と言えるのではないか。
しかもその結果が、以下のような現象に現れていたのではないか?
- 中高6年間英語を勉強しても「Hi, how are you?」にまともに返答できなくなっている、
- TOEIC 800点超でも「r」と「l」、「v」と「b」、「f」と「h」の区別ができないし、論旨の構成が儘ならない、
- 「英語が怖い」「カタカナで済ませる」癖だけが染みつく、
となって、あらわれている。
纏め:
日本人の英語感覚は、“音”のレベルで既に閉ざされている。(TK博士は「日本の語学教育の最大の問題は、音の練習をしないことです。dictationの試験をやっていけば結構変わると思う」と指摘している)その最初の門を閉じたのは、皮肉にも「英語教育」だった。
上記のような次第で、結果としては「我が国の英語教育の行き届かざる点」にまで間口を広げてしまった。即ち、「音の訓練と練習が出来ていない」という問題点を取り上げたのだった。